2007年01月22日の日記です


ドーラと大冒険!  2007-01-22 17:04:29  家族

子供が最近お気に入りのアニメの話。


東京MXテレビ(ローカル局)で、「DORA the EXPLORER」という番組をやっている。

元は米国の子供向け専門チャンネル、Nickelodeonで放映されている、3〜5歳児向け番組。(製作は Nick Jr.)



この番組が、非常に面白い。

いや、もちろん大人からみれば、内容的に大したことはない。

それでも、大人の鑑賞に堪えうる「興味深さ」があるのだ。



まず、あらすじを紹介しておこう。


お話は、毎回30分で1話完結。

主人公は5歳の女の子「ドーラ」と、仲良しの4歳の猿「ブーツ」。

ドーラは日本語と英語のできるバイリンガルだが、ブーツは日本語しか出来ない。


そして、他に登場する仲間は、大抵日本語だけか、英語だけしか喋れない。

ドーラだけが通訳をすることが出来るのだ。

(元の英語版では、英語とスペイン語のバイリンガル)



お話の導入部で必ず「どこかに行かなくてはならない」用事が出来るが、ドーラもブーツも、どうすればそこに行けるのかわからない。


そこで登場するのが「マップ君」。

彼はドーラの背負うリュックサックのなかに住んでいる地図であり、世の中のありとあらゆる場所を知っている。


そしてマップ君は言うのだ。「(目的地)に行くには、(A地点)を通って、(B地点)を通って、そうすると(目的地)にいけるよ!」



ドーラとブーツは旅に出る。(大抵は、他にも仲間が出来る)

それぞれの中間地点では、先に進むのを阻む困難が待ち受けるが、「テレビの前のみんなの力を借りて」問題を解決することが出来る。


途中、必ずキツネのスワイパーに出会う。

スワイパーは、常に何かを盗もうとしているのだ。

時には盗んだものを取り返すためにまた「テレビの前のみんなの力」を借りることもあるし、盗まれる前に撃退することもある。


時には、特別な道具が必要になる時もある。

こんな時は、ドーラの背負っているリュックサック、「リュック君」の出番だ。

リュック君は何でも持っている。物が多すぎて、適切なものを選び出すのに「テレビの前のみんなの力」を借りなくてはならない。


しかし、こうした仲間たちの力を借りながら、ドーラとブーツは目的地にたどり着き、目的を達成するのだ!



彼らはまた、常に歌を忘れない。

目的地に進む途中、目的地に着いた後、いつも決まった歌の歌詞を一部を変えて、状況にあった歌を歌っている。

「僕はマップ」、「リュックサック」、「どこまで行くの?」「やった!」

状況を示した歌に彩られたストーリーは、ミュージカルでもある。





…と、これが本当に「あらすじ」である。

毎回毎回、シチュエーションは変わる。


例えば、無くしてしまったお気に入りのぬいぐるみを探しに「無くしたものの町」まで行ったり、迷子のロボットを家に送り届けたり。

「サッカーの試合なのに、ゴールがどこにあるかわからない」という状況で、野を越え山を越えゴールを目指すこともあれば、地球に不時着した宇宙人を助けてロケットで遠い星を目指すこともある。



しかし、話のバリエーションは非常に豊かでありながら、必ず上に書いた「決まりごと」は守っている。

それはもう、見事なまでのワンパターン。




ワンパターンを守りながらこれほど豊かな話を作り出せるのだ、ということは、大人の鑑賞ポイントの1つである。


実は、これは幼児教育としては非常に重要だ。


まだ3歳程度の子供は「知っている世界」が狭い。なので、新しい物が出てきても戸惑ってしまうだけだ。

多彩なお話を見せて興味を引きながらも、必ずワンパターンの部分を見せて安心させる、というのは、非常に巧妙なつくりだ。


そして、テレビを「ただ見るだけ」のメディアではなく、一緒に遊ぶ仲間にしてしまっているのも巧妙だ。



上のあらすじで「テレビの前のみんなの力を借りて」ということをところどころに書いたが、実は全編この繰り返しである。


ドーラとブーツが行き先に迷った時、かならず言う台詞は


ドーラ:「どこに行けばいいかわからない。こんなときどうしたらいいの?」

ブーツ:「マップ君だね!」

ドーラ:「そう、みんなでマップ君を呼びましょう。」

みんな:「マップくーん」


という感じ。


ここには、ワンパターンもあると同時に、子供に声を出させ、(擬似)インタラクティブな話を作り出す工夫がある。


同じように、リュック君を呼ぶときも、進むべき道を探す時も、スワイパーを撃退する時も、スワイパーに隠されてしまった物を見つけるときも、子供はドーラやブーツとの対話をし続けることになる。

(これも、多分子供一人で見せていてもやらない。親が一緒に楽しむことが大切)



最初に書いたが「ドーラだけがバイリンガル」であるという設定もうまい。


子供に英語の早期教育をする際には、「英語と日本語をちゃんぽんで使わない」ということが鉄則として言われる。

親が英語を教えようとして、日本語・英語のちゃんぽんで会話しても、子供は混乱するだけ。

でも、ある人に「英語しか通じない」と思えば、子供はその人に対しては自然に英語を使うのだ。


そのとき、子供はそれが「英語であるかどうか」すらあまり気にしない。

ただ、話す言葉がちょっと違う人がいるから、その人の真似をしてコミュニケーションをとろうとしているだけなのだ。



ドーラのお話の中では、これが自然に行われている。

ドーラは「英語が喋れないブーツのために」、適当に翻訳は行いつつ、あまり細かな英語の教育をしようとはしない。その適当さ加減がなによりも理にかなっている。



ただ、どうやらこの原則は最近になって多少崩れているようで、ドーラの最新シリーズでは無理に英語を使おうとする箇所が多々見受けられる。これはあまりよくない。


#東京 MX テレビでの放送は、新旧を取り混ぜて順不同で行っているようだ。


#どうも、翻訳の問題ではなく、元の英語版から不自然にスペイン語を増やす傾向にあるみたい。

 アメリカでもきっと「もっとスペイン語教育を充実させて!」みたいな、勘違い意見を出す親がいるのでしょう。




…などなど。

熱くなって長く書いてしまっているが、昨年の秋に偶然 MX テレビで発見して以来、子供はお気に入りだし、僕も出来のよさに感心しながら見続けている。


ちなみに、Nickjr のホームページにある、Dora のページ(英語) も非常に出来が良い。


Flash や Shockwave で作られた、絵本やゲームなのだが、そのまま CD-ROM にして売れるんじゃないかというほどの出来。

もちろん、無料公開。



日本の子供番組では、NHK でもここまで「良く出来ている」と感心できるようなものがない。

さすがは米国。テレビ多チャンネル文化がこういうものを生み出しているのだろう。



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申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています

あきよし】 ご意見ありがとうございます。現在はMXテレビでの放映は終了し、「ドーラ!」と改題されてテレビ東京で放映しています。これがテレビ愛知で放映されているのと同じものです。その他、この日記を書いてから2年半のあいだに思ったいろいろを新しい日記として書きました。 (2009-08-28 11:51:58)

【りおこ】 はじめまして。ドーラでたどりついた者です。とても興味深い分析だな、と思いました。ちなみに、私は現在愛知県在住ですが、テレビ愛知(ドーラ)だと、リュック君ではなくバックパックになっていて、女性を連想させるような仮想もありました。 (2009-08-27 09:34:45)


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