2013年09月05日の日記です


ジョンおじさん  2013-09-05 16:16:59  コンピュータ 今日は何の日

偶然知ったのだが、昨日(9月4日)はジョン・マッカーシー(アンクル・ジョン)の誕生日だったらしい。

そして、これも知らなかったのだが 2011年10月24日に亡くなっていたらしい。


誕生日祝いと、追悼を込めてすこし記事を書いておこう。


「人工知能」という言葉を考え出した人。

300万ドルもするコンピューターに、「チェスの相手をさせる」という無駄遣いをさせた人。

人工知能のアセンブラとも呼ばれる LISP を設計した人。

LISP で必要だったから「ガベージコレクション」という、今ではコンピューターに必須のアルゴリズムを考え出した人。


他にも数々の業績があるが、詳しくはWikipediaでも読んでくれ。


ともかく、彼がいなければ現代のコンピューターは全く違うものになっていただろうし、それは今の世の中が全然違うものだっただろう、と言うことを意味する。


「現代を形作った」レベルの偉人だが、コンピューター史にでも興味がない限りあまり知られていない。


ここでは Wikipedia ではあまり語られていない話を。




ジョン・マッカーシーは、MITでは学生から親しみを込めて「ジョンおじさん」(アンクル・ジョン)と呼ばれていた。


まだ TX-0 が設置される前、MIT に IBM 704しかなかった時に、学生向けにプログラムの講義を行って、実際に作ったプログラムが動かせるように取り計らってくれた人物だ。


おかげで、300万ドルもして、1分使うにも莫大な使用料が発生しそうなコンピューターを、学生は使うことができたのだ。


とはいえ、ここでいう「使う」というのは、プログラムを動かせた、というだけ。

実際に触ることは許されないし、IBM のオペレーターにパンチカードの束を渡したら、そこらへんで結果が出るまでぶらぶらしてきて、後でプリントアウトを受け取るという使い方。


それでも、ジョンおじさんの後押しもあって大学院生は IBM 704 に「少しだけ」触らせてもらえた。

彼らは、早速 IBM 704 に「ゲーム」を仕込んだらしい。


FX-マイコンのテニスゲームみたいな単純なものだけど。

(IBM 704 にはディスプレイは接続されていないが、動作状況確認のための1列のランプはあった)


後には IBM 709 が IBM から寄贈される。

(なんで寄贈したのかは知らない。MIT は SAGE や APT で IBM にずいぶん恩を売っていたし、当時は誰かがつくったソフトはみんなで共有するのが当たり前だったから、IBM としても開発力のある人々に機械を提供するのは有益だったろう)


すると、ジョンおじさんは、古くなった IBM 704 を改造して、複数人数が直接扱えるタイムシェアリング機能を付けてしまったらしい。

とにかく、コンピューターが高価で一般人は触ることも許されなかった時代に、「直接いじり倒す」ことにこだわっている。


#ジョンおじさんは、タイムシェアリングを最初に考えた人物ではない。

 でも、「自分で」タイムシェアリングの概念を考案し、学生たちを通じて後に大きな影響を与え、現在のマルチタスク処理の元となるものを作り上げた。




TX-0 が来てからも、学生たちはジョンおじさんの指導の下 TX-0 用 Lisp を作ったり、チェスプログラムを作ったりしている。

ハッカーズにも、他の歴史書(?)にも記述がないので不明だが、Tic-Tac-Toe だって迷路のねずみだって「人工知能」の応用なのだから、ジョンおじさんの影響は全くないわけではないだろう。

(もちろん、直接的にかかわってはいないだろうが)


だから、彼がいなければ PDP-1 の「SPACE WAR!」も生まれなかっただろうし、そうなればテレビゲームの歴史もずいぶんと変わっていたはずだ。

もちろん、時代の流れでコンピューターはどんどん安くなっただろうし、どこかで誰かが似たようなものを発明したとは思うが。




ある日、ジョンおじさんは学生たちに「ついにチェスのプログラムが出来上がりました」と、PDP-1 の前に座らされた。


当時のディスプレイ表示は「高度な技法」だったので、人工知能ではあまり使われない。

Qubic もそうだが、チェスのプログラムもチェスボードを横に置いて、どのように動かすかをキーボードからコンピューターに伝えると、コンピューターからもプリンタで「動き」を返してくる、と言う方法だ。


ジョンおじさんが1手目を指すと、プログラムがしばらく考えてから動きをプリントアウトする。

しばらく対局していても、なかなかいい手を指してくる。


しかし、ジョンおじさんはプリントアウトが1文字づつとゆっくりで、妙に間が空いているのに気が付いた。

チェスの「動き」は3文字で表現されるが、コンピューターがプリントアウトするなら、3文字を連続して出力するはずだ。


ふと気が付くと、PDP-1 から何やらケーブルが伸びている。

そのケーブルは TX-0 が置いてある隣の部屋へ続いていて…


ジョンおじさんが隣の部屋への扉を開けると、同じように TX-0 の前でチェスをしている、別の教授がいた。

学生たちは TX-0 と PDP-1 を接続して、二人の教授をだましたのだ。


学生たちが気軽にこういうイタズラをするところが、ジョンおじさんがみんなから慕われていた証拠だと思う。

仲の良い人でないと、イタズラなんてしないもの。


#チェスプログラムは、その後ちゃんと完成しましたよ。



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