今日はディズニー社が創設された日。1923年。
厳密に言えば、現在のウォルト・ディズニー社の源流となる「ディズニー兄弟漫画スタジオ」(Disney Brothers Cartoon Studio)の創設日です。
最初からミッキーマウスなどがいたわけではなく、初期の作品は「アリス・コメディ」シリーズでした。
アニメの中に実写の女の子が入って冒険を繰り広げるシリーズで、アニメでも実写でもない、実験的なシリーズ作品でした。
…ごめん。さらりと書いているけど、今調べて知りました。
ディズニーは実験的な作品や、その当時の最先端技術を使った作品が多いと思っていましたが、最初からなんですね。
他のページに書いてあるような受け売りを書いていてもつまらないので、後は僕の好きなように書きます。
実験的な作品、で思い出すのは「101匹わんちゃん大行進」。
僕が子供の頃には、すでに「古き名作」でしたね。今調べたら1961年の作品。
でも、古いからこそテレビとかでやっていることがあって、子供のころに見た覚えがあります。
原作は 1956年に発売された本です。まぁ、ちょっと話題になった本を映画化、とかよくある話。
でも、この本の映画化は、当時の技術を考えると「とても無理」な話でした。
101匹もの犬が出てきて、走り回る。実写では、犬同士がけんかしてしまって不可能です。
じゃぁアニメで…と考えても、101匹の犬をひたすらアニメーターが描き続けないといけないなんて、悪夢のような話です。
しかも…じつは、この直前の映画「眠れる森の美女」は500人ものアニメーターが参加し、作成に金がかかりすぎました。
このため、次回作はアニメーターを 100人に削減する必要がありました。
ただでさえ厄介なものを、少人数で作る。とんでもないデスマーチプロジェクトです!
ところで、1961年と言えば Xerox 社ができた年。後に Alto などを作り、コンピューター業界にも影響を与えた会社です。
もっとも、1961年は実際には社名を変更しただけで、会社の歴史は 1906年まで遡るのですが、このタイミングで社名変更したのにはわけがあります。
その直前の 1959 年「ゼログラフィ」技術を使った世界初の普通紙複写機、Xerox を発売しているのです。いわゆる「世界初のコピー機」です。
この製品が大ヒット。よく知られるようになった商品名に合わせて社名を変更した、というわけ。
そして、ディズニー社では、この最新鋭の機械を使った実験作を作ります。それが 101匹わんちゃん。
作成開始は 1959年。Xerox が出てすぐです。
先に書いたように、アニメーターが101匹の犬の動きを描き続けるのは悪夢のような作業です。
しかし、Xerox は、この作業を「十分に実現可能」なものにしました。
アニメーターはまず、各種パターンの動く犬の輪郭だけを描きます。
犬の登場シーンでは、この「元のパターン」を Xerox でコピーします。2匹同時に登場するなら2匹分、10匹なら10匹分コピーすれば、ひたすら描き続ける必要はありません。
最後に、犬の違いを示す「ぶち模様」を塗り分けます。この模様は、ちゃんと101匹分設定されていました。
適当に描かれているのではありません。細部にこそリアリティが宿るのです。こういう細かな部分に凝るのはディズニーの真骨頂。
それまでのアニメでは不可能だった表現をしたこの作品は大ヒットしました。
でもこの話、これで終わりじゃないですね。1996年には実写版(101)も作られています。
こちらもまた、新たな技術が可能にした映画です。
動物映画ではよくある話ですが、1つのシーンを撮影するために「動きを覚えさせる」のには非常に時間がかかります。
しかも、101 では「子犬」を使っています。一つの演技が終了すると、子犬は成長してしまい、次のシーンでは使えないのです。
実際には、101では20匹の成犬と、230匹の子犬が使われたそうです。しかし、そうなると今度は別の問題が出ます。
シーンごとに、犬の模様が変わってしまうことになるのです。
この問題を解消したのが、当時はまだ最先端だった CG 技術。
…まぁ、PhotoShop みたいなもので、すべてのコマをレタッチした、と言うだけですけどね。
技術的には 1990年代初頭には可能になっていたでしょうが、実用になったのはこの頃だと思います。
もう一つ、最後のシーンでは 101匹の犬が勢ぞろいします。
これも実際に犬を使うのはとても無理。そんなに集まったら、喧嘩したりじゃれあったり…とても撮影どころではありません。
もちろん、数匹の犬に演技させたものを何重にも重ね、数を多く見せているのです。
101匹わんちゃんは、アニメと実写の2回、「ありえない」ような映像を我々に体験させてくれたことになります。
これ、ディズニーを語るには「ほんの一例」ですね。同じような話は、他の映画にもたくさんあります。
「トロン」とか「ファンタジア」とかも実験的な作品で、僕は大好きです。
常に最新の技術を取り入れながら、でも技術に溺れることはない。
言うのは簡単だけど結構大変なことです。
#今は子会社になってしまったピクサーも、多少実験的過ぎて技術に溺れた話がありますね。
話変わって、ディズニーランドの話。こちらも僕、結構好きです。
小学生のころにできて…じつは、家族で初めて行く約束だった日に熱を出して僕は留守番になったのですが、その後も何度か行きました。
千葉の大学に通っていたため、その頃はディズニーランドにもよく行きました。
パスポート買って常連化しているのもいたけど、そこまでは出来なかったな。
先から「細部にこだわってリアリティを出す」話をしていますが、ディズニーランドにもそういう面があります。
そして、一番好きなのが、アトラクションごとの「トラブルの対処」。
ホーンテッドマンションは、全ての乗り物が同じベルトの上に並んでいるので、誰かが乗る際に転んだりするとすべてが停止します。なので、比較的トラブルに遭遇しやすいです。
この時には「我々の仲間がいたずらをしたようだ…少し待っていてほしい」という、オバケからのアナウンスがあります。トラブルもアトラクションの一部として織り込み済み。
スペースマウンテンでは、複数台のジェットコースターを同時に動かしているので、発進にトラブルがあった際、後続車両は「緊急用の」プラットフォームに導かれます。
この際も、「緊急離脱! 本船は危険回避のため本来のコースから外れ、付近の惑星に緊急着陸する」というようなアナウンスが流れるそうです。(これは僕は未体験で、先に書いたパスポートを持っていた友人に聞いた話)
スターツアーズでは、個室ごとに独立しているために、トラブルには遭遇しにくいようですが、機器の故障などで動かなくなることがあります。
この際は「まことに申し訳ありませんが、本船は機材故障のため近くの惑星に緊急着陸いたしました。代替便を用意いたしましたので乗り換えをお願いいたします」というアナウンスになります。
いずれも、「トラブルは起こるもの」と考えたうえで、そのトラブルさえも雰囲気を壊さないで楽しめるようにする演出がなされています。
もっとも、社会人になってから遊びに行った際、「ロジャーラビットのカートゥーンスピン」で遭遇したトラブルは、この「想定内トラブル」さえも超えるものだったようです。
薄暗くしてある館内にすべて明かりがともり、用意されたアナウンスではない肉声で「機械トラブルが起きたため、回復にしばらくかかるかもしれない」と詫び、「お急ぎの方は出口に案内するからこれから巡回する係員にいつでも声をかけてほしい」という内容でした。
ディズニーランドでもこういうことがあるのか、とむしろ驚いたものです。
結局ほとんど誰も出口には向かおうとせず、15分くらいで回復しました。
その大学生の頃、友人と一緒に新年のカウントダウンパーティに行きました。
この日だけ特別で、たしか夕方5時から入れて夜通し営業、翌日の閉園である夜8時までいられます。
…いや、ずっといる、というのはただの馬鹿がやることです。でも、大学時代はみんな馬鹿だった。27時間耐久ディズニーランドを楽しみました。
ずいぶん昔に書いた話ですが、「寒いときにはチキルーム」とか「スプラッシュマウンテンふもとのレストラン(グランマ・サラキッチン)はトイレも空いているし、寝られる」は、この時の体験で得た知識。
また遊びに行きたいけど、子連れだと案外動きが重くて、なかなか行ってやれません。
#大人なら日帰り距離なのだけど、子連れだと一泊が必要な距離になってしまって、高くつくのです。
ディズニーランドもまた、ディズニー映画と同じものを感じます。
細部にこだわることでリアルを演出している。技術を惜しみなく投入するけど、技術に溺れていない。
エンターテイメントとして大切なことです。
そして、エンターテイメントとしては自分の土俵である、ゲームの世界。
ディズニーのキャラクター物は、ゲームでも人気ありますね。特に任天堂とは仲が良いように感じます。
(任天堂プラットフォームへの提供、も含めて)
任天堂自体、ディズニートランプで大きくなった会社で、ゲーム&ウォッチでもディズニーキャラを使っていたからかな?
しかし、思い出話として語れるのはセガ社のメガドライブのこと。
人づてに聞いた話で真偽のほどは定かでありませんが、メガドライブでミッキーのゲームを出す時、ディズニージャパンの版権管理の人に「ダメ出し」をされたのだとか。
理由は、ミッキーの目が四角かったから。ドット絵の都合で 2x2 ドットで黒目を表現しなくてはならなかったのですが、「ミッキーの目は丸ですから、四角で表現するのはダメです」とのこと。
コンピューターゲームの表現ではどうしても仕方がないのだ、と丁寧に説明し、拝み倒して許可してもらったそうですが、ディズニーの品質管理の厳しさがわかります。
でも、後に同じセガ社から、UFOキャッチャー景品としてキュービックマウスが出てましたけどね。
#今では人気のシリーズですが、UFOキャッチャー景品が最初で、その後グッズ展開されました。
先のゲームとは20年近くあいていて、その間にディズニーの管理方針が変わったようです。
「面白そうなら積極的にコラボ」という方針に変わっていたようで、企画を持って行ったら「面白そうです。やりましょう。」とすぐ許可が出たとか。
…ディズニーはクオリティに厳しい、と信じていたのだけど、この話を聞いたときはちょっとショックでした (^^;
まぁ、「常に新しいことに挑む」のもディズニーの伝統ですので、「新たな境地に入った」と好意的に考えておきましょう。
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