2017年10月16日の日記です


オーラ撮影の仕組み  2017-10-16 17:57:37  業界記
オーラ撮影の仕組み

オーラ写真倶楽部の話の続きです。


オーラ撮影の仕組みを説明しましょう。


なんかこう…自分の作ったものを否定するみたいで嫌なんですけど、オーラなんてオカルトです。

科学現象として存在しませんし、撮影なんてできるわけありません。


オーラ占いやって信じてくれていた人たち、ホントごめんなさい。

でも、丸っきりの嘘ではなくて、それなりの根拠はあるので、この後の説明(いいわけ?)を読んでください。




まず、この頃街の占い館で流行していたオーラ写真から。


ただ、こちらに関しては僕は「推測」することしかできません。

カメラを入手して分解したわけではないので…


#オムロンの人達は「同じことをもっと上手にできる」と言っていたので、分解したのかもしれません。



推測の前提となる「事実」だけ書きましょう。

一般に、オーラは人の周囲に漂うような、薄く輝く光のベールで、感情などを反映してあらゆる色彩になると言われます。


しかし、占い館のオーラ写真は、薄く輝くというよりは、いくつかの点光源です。

その点光源の周囲に、すりガラスでも通したように光が広がっている感じ。


そして、色は赤・緑・橙の3色に限定されます。


…これ以上の説明は避けます。

だって、まだこれの改良版で商売しているお店あるのだもの。変な推測でご迷惑を掛けてはいけない。


ところで唐突ですが、この頃は青色 LED はまだ新開発の高価な品で、一般に使用されていませんでした。

LED は赤と緑しかなくて、光を混ぜても橙色にしかなりません。




さて、「オーラ倶楽部」で使った方法。


簡単にいえば、ポリグラフです。

嘘発見器とか、ラブテスターと言ってもいいかも。


左右の手を電極に乗せ、体に微弱電流を流して抵抗値を測ります。

このとき、左右それぞれで3カ所の電極があり、いろいろと複雑に抵抗を測っているのだそうです。

(ここら辺はオムロンが作ってブラックボックス化されているので、よく知りません)


嘘発見器とかラブテスターとか呼ばれるものがあるように、この抵抗値によって感情などを読み取れます。

…という、似非科学があります。相関が全くないわけではないのですが、「読み取れる」と言い切れるほどのものでもない。



しかしまぁ、ここでは読み取れることにしといてください。

オムロンの営業さんは「読み取れる」と言ってきたし、セガ側も読み取れる前提で作っているので。



オーラは、その人の感情によって輝きが変化するとされます。

また、上に書いたように、体の抵抗値を測ることで感情を読み取れます。


じゃぁ、体の抵抗値から読み取った感情を「オーラ」という形で表現すれば同じことなのでは?


これがオーラ倶楽部で行っている「オーラの撮影」です。



一応、業者さん向けのチラシには、次のように説明があります。


「※本機におけるオーラ写真とは、センサーより取得した生体データをもとにコンピューター処理し、作成したオーライメージのことです。」




オーラ占いでは、オーラから「本人も自覚していない願望などの感情」を読み取り、カウンセリングを行います。

占いと言っても、未来予知ではなく、よりよい未来に向けて何ができるか、というアドバイスです。


ただ、願望を実現するためのアドバイスと言っても、本人が信じて頑張ってくれないと効果が出ません。

そのため、多少「未来予知」めいた言い回しを行うことも多く、ここら辺が「占い」らしいところになります。


#未来を予知するのではなく、よりよい未来に導くためのカウンセリング。

 多かれ少なかれ、占いというのはみな、そういうものです。



感情の読み取りはオムロンに任せ、占い文章はステラ薫子さんが担当しました。

セガとしては、この間を埋める「ゲーム」部分を作った形。

ここらへん、手相の時と役割分担が同じです。


ステラ薫子さんの会社、手相からオーラの間に社名変更しました。

なので、結果用紙に書かれている名前は変わっているのですが、同じ人です。




まぁ、オーラ撮影の「しくみ」としては以上で終わりですね。


体の抵抗変化から感情を読み取り、感情と密接な関係があるとされる、オーラの形や色を表現する。


しかし、この「オーラの色や形」がまた問題で、非常にあいまいなのです。

誰もオーラを見たことないですし、それを画面上で表現しろと言われても、どうしてよいのかわからない。


占い師さんが、オーラの形状について、柔らかいオーラ、とげとげとしたオーラ、勢いのあるオーラ、包み込むようなオーラ…って、大まかな分類を作ります。何種類かわすれたけど、5種類くらいあったのではないかな。


それをもとに、グラフィックの人が、「それらしい」画像を作ります。

このオーラ画像を自由変形 BG 面に描いて、色を「それらしく」変化させながら、全体に「それらしく」うねらせます。


…それらしい、ってなんだよ。

誰も見たことがないものを形にするので、メインプログラマーが試行錯誤していました。



描画の際には、オーラは大まかに「外側」「内側」「喉のあたり」の3層に分かれていて、この3つを別々のパーツとして描いています。


絵としてはグレースケールで描かれていて、表示の際に10種類の色に変化させています。

(色と感情の関係は、結果用紙の裏に解説されていました。この記事の冒頭に添付した画像をご覧ください。)


自由変形 BG 面、1枚しかないからね。単に絵を「表示」ではなくて、ソフト的に3枚の絵を半透明に重ね合わせて表示しないといけない。

でも、単に色演算するのではなく、アニメーションで色が変えられるように、パレットのままにしておかないといけない。



先輩が作った個所なので正確なことを理解していないのですが、外側と内側を8段階、喉を4段階のグレースケールにした、とかではないかな。

3bit 3bit 2bit になるので、合計 8bit 。256色のパレットとして描画できます。


あとは、上手にパレットを操作すれば、半透明で重ね合わさった感じのまま、パレットアニメーションできます。




最初に書いた通り、オーラなんてオカルトで、撮影できませんよ。

でも、エンターテインメントの「占いゲーム」としては、多くの人が考える「オーラ」を具現化しようとして、いろいろと考えて表現したのです。


オーラ占いがリリースされたのは、インターネットが普及し始めたころ。

当時は「日記サイト」が多数あったのですが、オーラ占いを見て、「どうやってオーラを撮影しているのだろう」と不思議に感じてくれている人は結構いました。


不思議に思ってくれるということは、ある程度信じてくれたということです。

苦労して「それらしさ」を表現したのは成功だった、と思います。




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