2014年09月21日の日記です


HARLIE に興味がある人へ  2014-09-21 12:26:12  その他

長々と、3回にわたってあらすじを書きました。

(有名な、ウィルスに関係するところだけで1回、それ以外の部分のあらすじを、前半後半に分けて1回づつ)


かなり詳細に書いた理由は、おそらく入手困難だと思うから。

わざわざ探している人も少ないとは思うのだけど、「ウィルス関連の話題で有名」と知って探している人が、全体がどんな話か知ることができるといいな…程度に考えています。


あらすじ読んだからと言って、実物を読んだ時につまらなくなる、ということは無いと保証します。

紹介しきれてないエピソードも多数あるから。


最後に向けて話が二転三転していくところは、あらすじを知っていると少しツマラなくなるかも。その点については、ごめんなさい。



でも、解説の途中に何回か書いたように、「不思議の国のアリス」のような趣のあるお話です。


言葉遊びが多いし、禅問答のような社会風刺も多い。

あらすじでは、そういう細かな部分はとても書けないのですが、そうした細かな部分こそ、このお話の本体だとも思います。



あと、HARLIE はコンピューターウィルスの出現を「予測した」ように言われていますが、同様に「~を予測した」と思われる個所が多数あります。


これには2つの意味があって、論理的に可能なことを発展させた結果、たまたま未来予測らしくなってしまっている部分と、SF らしい空想部分が、論理性を飛躍しているがゆえにどうにでも解釈できて、読み手が勝手に「~のことだな」と思ってしまう部分。


ウィルスに関しては、当時の「最先端」技術を、それらしい名前を付けたに過ぎない、とすでに書いています。

でも、たった1つしかない技術例を「技術者の好奇心が」拡大させ社会問題にまで発展する、とした部分は確かに当たっている予測。


1990年の書籍、「パソコンを思想する」に書かれた論文では、HARLIE の動作原理が「ニューロ素子のLSI版」だろうと書いてある。

これは、1990年当時の最先端コンピューター科学の話題の一つが、ニューラルコンピューティングだったためにこのように思えただけでしょう。


確かに HARLIE の素子の説明は、ニューロ素子と類似したところがあります。しかし、HARLIE は多値論理だと書かれているのに、ニューロ素子は2値(Yes / No)です。

むしろ、多値であることに注目すれば、ファジーコンピューティングと言ったほうが良いはずです。


ここら辺、「SF の想像だから、読み手が勝手に当てはめてしまうだけ」の部分。



でも、コンピューターが処理過程で別のコンピューターの力を借りるグリッドコンピューティングとか、どこかのコンピューターにデータを預けるクラウドストレージとか、そうしたものを「予期した」ような記述は実際に書かれています。

当時から、可能性としては存在したのでしょう。…今ほど使われるとは思っていないにしても。


ここら辺、あらすじには十分書いていないので、入手して読んだ人だけのお楽しみです。




そんなわけで、HARLIE を入手したい、と思っている人は、あらすじと解説を読んでしまったとしても、入手する価値はありますよ。


むしろ、当時の社会風俗がわからなくては理解できない部分も多いので、HARLIE を持っているが解説を読んで「そんな意味だったのか」と思った人は、もう一度読み直してみてください。

(いるのか?そんな人…)



ただし、解説は僕の「ファーストインプレッション」にすぎません。

僕もこないだ入手して、1回読んだだけなので。


もっと深読みできるかもしれないし、勘違いもあるかもしれません。

そもそも、僕だって当時のアメリカに住んでいたわけではないし、この時代の雰囲気も知らない。

(生まれてない、とは言いませんが、まだ赤ん坊の頃です)


前提知識が間違っている可能性も多々あり得る、と断っておきます。



ただ、この作品が「SFマニア向けに書かれた、当時の社会風俗やニュース、先端技術、有名 SF 等の要素をてんこ盛りに詰め込んだ物語」だというのは間違いないと思います。


だから、いくらでも深読みしていい。深読みされることを前提とした物語。

実のところ、その社会に身を置いていた筆者自身にすら意識できずに書いている部分もあるかもしれません。


すでに「古典」となった 40年前の SF を楽しむのであれば、古典のように分析的に鑑賞する方法だってあると思います。

そういう鑑賞方法をするのであれば、「あらすじ」を読んでいても、解説を読んでいても、ちっとも楽しみは減らないと思います。



そして、分析的に鑑賞したければ、実物を入手するしかない。

…興味を持った人は、あきらめずに古本を探してみてね。




英語では日本語版発行後に手を入れた第2版もあるそうで、ウィルスのエピソードが削除されている、等とも聞きます。

「古典鑑賞」であれば、細かなエピソードの違いも調べると面白いかもしれませんが…

僕は英語それほどできないので、文学作品の比較研究まではちょっと無理 (^^;




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