2016年01月10日の日記です


国立科学博物館(続き)  2016-01-10 17:27:34  社会科見学 家族

国立科学博物館の話題の続きです。



企画展は、日本館の1階だった。

日本館は、どうやら一番上の階から下に下りながら見るようになっているようだ。


そうすると、日本の古代から始まって江戸時代までの暮らし、そして江戸以降花開いた日本独自の科学技術の歴史が見られるようになっている。



しかし、企画展を最初に見たので、向かいの部屋、科学技術の歴史を先に見る。

いや、非常に面白かった。


全体に4つに分かれている。

天文観測、顕微鏡、地震観測、計時技術だ。


いずれも、非常に面白かったけど、ここでは計時技術…つまりは、時計について書いておこう。

僕が一番好きな技術だから。



現代は、一日を均等に24分割して「時間」とする、定時法を使っている。

(古代は12分割していたそうですが、いつから24分割になったのか、僕は知らない)


日本では1日を12分割した。

このうち昼が6分割、夜が6分割だ。


昼と夜の長さは、季節によって異なる。

にもかかわらず、昼と夜を、それぞれ均等に分割する。季節によって分割の長さが変わることになる。

これが「不定時法」だ。


日が昇るのが「明け六つ」、日が沈むのが「暮れ六つ」。


太陽の南中時刻が「九つ」で、真夜中も「九つ」。

ここから、明けと暮れの六つに向かってカウントダウンする。

そのままカウントダウンを続け、三つの次がまた九つ。




なんで九つから始まるのか、なんでカウントダウンなのか、その理由は知らなかったけど、解説ボランティアの方に伺うことができた。

といっても、ボランティアの方もよくわかっていないようだったので、ここではさらに僕の知識を上乗せして解説する。



陰陽では、奇数を「陽」、偶数を「陰」とする。

この二つはバランスが大切であり、どちらが良い、という意味ではない。


と言いながら、陽のほうが良いものとされ、重視される。

奇数の数字は縁起の良いものとして、今でも数字が並ぶ日を祝う習慣がある。


一月一日、三月三日、五月五日、七月七日…


一桁の中で一番大きな「陽」数である九は、一番縁起の良い数字とされる。

今では祝わなくなってしまったのだが、九月九日を「重陽の節句」という。


さて、ボランティアの方は「重陽」を知らなかったようなのだが、江戸時代の人は縁起のいい数字として重視していた。

そこで、一日の重要な時間…南中時刻と、反対の真夜中を「九」に割り当てた。


そして、一時が進むたびに、9を足した。

「九つ」の次は「十八」で、続いて「二十七」「三十六」だ。


でも、どんどん数字が大きくなるのは使いにくいので、一の位だけを利用した。これだと、一見カウントダウンに見えるのだけど、実は縁起の良い9を重ねているのだ。



このボランティアの方、割り駒式の和時計の解説もしてくれた。

先に書いたように、季節ごとに時間の長さは変わる。でも、時計が季節ごとに進む速度が変わる、というのは難しい。


じゃぁ、時計の針は一日に一周するようにして、文字盤を調整すればいい。それが割り駒式だ。

数字が「駒」になっていて、自由に動かせる。


江戸時代の不定時法を理解するには、まずはわかりやすい解説。




でも、展示の多くは2丁天符式。


振り子時計では、振り子が正確に動くことを利用して時間を測る。

天符式では、長い棒を振り回すのには結構力がいる(力学的にいえば、モーメントが大きい)ことを利用して時間を測る。


この天符を、昼と夜で自動的に切り替えて、時間の進む速度を調整するのが2丁天符式だ。



ただ時計がたくさん収蔵されているだけで、ここら辺の解説は一切なし。


そもそも文字盤と針を動かす機構を省略して、錘(おもり)式時計の「錘」の位置によってのみ時刻を示す、尺時計というものもある。


毎日錘を上に引き上げる必要があるけど、これは錘式なら当然やらねばならないこと。

普通の錘式との違いは、引き上げる際に正確な位置に合わせる必要がある、という手間で、大幅に機械を簡略化している。


「正確な不定時法への挑戦」という、一見して矛盾しているような解説もあった。

江戸末期、技術が進んで、西洋よりややこしい、不定時報を採用した時計が次々作られている。



そのあと、明治になって定時法が導入されます。

定時法で作られた柱時計(しばらく前に理科ハウスで見たのとほぼ同じ奴)や、懐中時計などが多数展示されます。


最期はセイコークオーツの1号機で締めくくられています。

1秒を正確に測る方法として、振り子や天符が使われてきた中で、「水晶発振子」によって正確性を飛躍的に高めた時計ですね。


でも、ここら辺も解説一切なし。せっかく面白いものが多数あるのにもったいない。


でも、科博の展示って、基本的にすべてそんな感じ。

国の最高機関としての科学博物館だから、わかっている人への資料性が高く、わからない人への解説はしないのですね。




この後、上の階に登りながら展示を見て回ります。

時代的には、どんどん古代の日本に遡っていく形。


途中で長女がおなかすいた、と言います。

でも、もうちょっと見たら全部だから、そしたらご飯食べよう…と言いながら引っ張る。


全部見終わったら3時前。。

地球館のレストランに行きます。


長男はマカロニグラタンを頼んだけど、ほかはみんなケーキ。


地球館は前回来た時にみっちり見たのですが、まだ時間があるので少しだけ回ります。

骨の標本などが多数ある区域、前回は次女が怖がって近寄れなかった。今回は大丈夫。


#まだ、人骨標本は怖くて嫌い。

 動物は大丈夫になった。


チビトガリネズミをはじめとする、非常に小さな剥製標本が並べてあるコーナーがありました。

ちいさい、かわいい、と長女も次女も喜びます。


ふと後ろを見ると、アフリカゾウやキリンの骨格が後ろにあります。

あー、なるほど。一番大きな生物と、一番小さな生物なのか、と理解して、子供に説明します。


チビトガリネズミは、ほ乳類最小の生き物です。そして、アフリカゾウは地上最大のほ乳類。

大きさ全然違うねー、と解説しながら、あれ? この流れはもしや…と、周囲を見回す。


ありました。頭の上に、天井からつりさげられた、シロナガスクジラの骨格標本。

世界最大のほ乳類です。象よりもはるかに大きなサイズに、長男も「大きさのスケールが違う」と驚く。


なかなか良い展示方法です。

相変わらず、説明はあまりないのだけどね。




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