2014年08月15日の日記です


ミスティクア   2014-08-15 14:31:54  歯車

先日、子供と科学館に行き、ミュージアムショップで「ミスティクア」と言うカードゲームを買った。


後で調べたら、去年のダイオウイカブームに乗じて作った、ということが臆面もなくプレスリリースに書いてあった(笑)


深海に行って、ダイオウイカをはじめとする深海生物を調査するゲーム。…と書くと、ありがちに聞こえる。

もしそんなゲームだったら買わなかった。


ここまで深海生物にフォーカスしながら、目的は深海生物の調査ではない

他の研究者との駆け引きを制し、昇進して教授職にいち早くつくことが目的なのだ。


…ほら、これだけで、混乱必至のゲーム展開が予想できて面白そうでしょう?

ミュージアムショップで見かけて「これは買いだ!」って思いましたよ。




まずはゲームシステムから紹介しよう。


カードは2種類に分かれる。深海生物のカードと、各プレイヤーが現在の自分の「位置」を示す、潜水調査船のカードだ。

このうち、潜水調査船のカードは各自の前に、全員に見えるように置かれる。最初に各自が持っているカードはこれだけだ。


潜水調査船カードは、最初は「海上」と書かれた面を表にしておかれている。

裏返すと、向きによって Lv.1 ~ Lv.3 の潜航深度を表せるようになっている。


深海生物のカードには、表に名前・イラスト・生態などの説明と、生息深度(Lv.1~3)、レア度(1~5)が書かれている。

ゲームに必要な情報は、深度とレア度だけ。ちなみに、レア度は「学術的な重要性ではなく、ゲーム内での撮影難易度を示すものです」と注釈つき。


深海生物のカードは、裏返しにまとめてデッキ(山札)として置かれる。

そして、裏返しのまま、中央に5枚置かれる(場札)。


この状態でゲームスタートだ。




プレイヤーは、各自の手番で、以下の行動を順番に取れる。


1) 場札に対するアクション

これには二つあり、「レーダー」か「ピクチャー」のどちらか片方を行う。


レーダーを宣言すると、場札のうちどれか一枚を、自分だけがみることができる。

見終わった後は元の位置に戻す。


ピクチャーを行うと、好きな場札を表にして、全員に見せる。

この時、自分の潜水調査船の「潜航深度」と生物の「生息深度」が一致すれば、写真を撮るのに成功したことになり、カードを手札としてもらうことができる。

(場札が無くなった場所は、山札から補充して、常に場札を5枚にする)


深度が一致しなければ、ペナルティとして手札のうちいらないものを一枚、捨てなくてはならない。

この場合、場札のカードは、再び裏にして元の位置に戻す。

(レーダーを行っていないプレイヤーも、その詳細を知ることになる)



2) 潜水調査船カードに対するアクション


潜水調査船カードを裏返したり回転させることで、違う深度に移動できる。

移動せずに「そのまま」でも構わない。



3) そのほかのアクション

そのほかのアクションを取るには条件があり、まず潜水調査船が海上にいる必要がある。

さらに手札が2枚以上あれば「発掘」が、3枚以上あれば「学会提出」が行える。

(1回には、どちらか片方しかできない)


発掘は、いらないカード2枚を捨てることで、代わりに捨て札の山から好きなカード1枚を貰うことができる。



学会提出は、手札のうち1枚を、伏せて目の前に置く。


誰かが学会提出すると、次にその人の番が回ってくるまでは、「同じ提出期間」となる。

同じ提出期間に提出されたカードは、最初に提出した人の手番の始まる前に、一斉に表にされる。


この時、一番レアなカードを提出した人が、学会で認められたことになり、昇進する。

同じレア度の場合はジャンケン勝負だ。


負けたカードは、すべて捨て札になる。

誰かが4回勝つと教授となり、その人が勝者でゲームは終了する。




ルールは以上だ。

それほど難しいルールではない。しかし、これが非常に練り込まれた、考えさせる局面の多いルールなのだ。


基本的には、レーダーして移動、次の回でピクチャー、と言う手順でカードを入手することになる。

1回では入手できない、と言うのがミソだ。


ここで、レーダーして移動した、ということは、他の人に「自分のレーダーしたカードの深度を教えている」ようなものだ。

もし、事前にその深度にいたプレイヤーがいると、自分の手番が回ってくる前に横取りされてしまう。


そこで、馬鹿正直に移動せずに、嘘を付く必要が出てくる。

カード取得のために移動した…ように見せかけて、全然関係ない深度に潜る。もしも別のプレイヤーが奪い取ろうとすると、ペナルティを負うことになる。


ただ、レア度の高いカードでこれをやると、ペナルティを負う際に「全員に公開」されてしまうので争奪戦になる。

レア度が低ければ嘘をつき、レア度が高ければ狙いに行く、という攪乱が必要になる。


最初にレーダーをかけても移動せず、もう一度レーダーをかけてから移動する、と言う戦略もある。

自分がカードを忘れず覚えておく必要はあるが、周囲のプレイヤーにはどちらのカードを狙った移動かわからず、奪われる危険性を減らせる。


しかし、他のプレイヤーが同じカードにレーダーを行う可能性もあるし、油断はできない。

ゲームの基本である「カードの取得」だけで、非常に深い駆け引きが発生するのだ。




ある程度カードが集まると、学会提出となる。

しかし、ライバルは少ないほど良い。「1週回る間」に「一番レアなカードを出した人」が勝つのだ。

つまり、自分以外誰も出さなければ、どんなにレア度が低いカードでも、自分の勝利が確定する。


ということは、後出し有利。

各自の手札は、途中で「公開」されている。公開しないと手札に加えなられないルールだからだ。


じゃぁ、提出した人を見て、その人のカードから何が出されたか…を想像することもできる。

これは確実に勝てる、とか、負けるからパス、とか考える余地が生まれる。


すると、学会は自分から仕掛けない方がいい?


学会提出後の「勝負」は、最初に提出した人に手番が回ってきたところで行われる。

ということは、最初に提出した人は、大量の捨て札が発生した後に「発掘」できるチャンスがある。


もちろん、皆が提出するカードだから、レア度が高いのは必至だ。

レア度5のジャンケン勝負で負けたカードなんて、是非発掘して手に入れるべきカードだ。


自分から進んで学会提出をするのも、ちゃんとメリットがあるのだ。




というわけで、小学生でもわかる単純なルールなのに、だまし合い、牽制し合いの状況が生まれる。

この中で、どの場札が誰も見ていない(狙っていない)のか、自分がみたカードはどれで、深度やレア度はどうだったのか、記憶していなくてはならない。


レアだったはずのカードをめくったら、隣と間違えていてペナルティ、とか、勝手に自滅することもある。

たった5枚の場札なら覚えられる…と思われるかもしれないが、別の作業もしなくてはならないし、これがなかなか難しいのだ。




ところで、このゲームは多分わざと嘘を付いているところが2つある。

いや、ゲームだから嘘はいっぱいあるのだけど、すごく気になる嘘が2つね。


一つは、深海生物の探査に「レーダー」をつかうこと。

レーダーは電波を使うので、海中では使えない。海中ではソナーを使う。


でも、そんなこと知らない人多いし、ソナーなんて名前を知らない人も多い。

「レーダー」なら理解してもらいやすいから、多分、わかっていて嘘ついている。



もう一つ「学会提出」と言っているけど、これは多分「学会誌への投稿」なのだと思う。


研究者の昇進条件として、学会誌に論文が何回掲載されること、というのがある。

学会誌は「雑誌」なので、紙面に限りがある。だから、投稿が集中すれば、より重要そうな論文だけが掲載される。


だからこれ「深海生物の写真を学会に提出」ではなくて、「撮影資料を基に論文を書いて投稿」している、と考えてほしい。

苦労して資料を集めて、それを時間をかけて論文にまとめて投稿しても、たまたま同時期に投稿した相手との比較で「捨てられて」しまうのだ。


…妙にリアルで恐ろしいゲームだ。(わかる人にとっては)


でも、多くの人は「学会」というのは聞いたことがあっても、どんなものか知らない。

「学会誌」になると、存在すら知らない人の方が多い。

だから、わかりやすく「学会」としているのだと思う。ここもわかっていて嘘ついている。



嘘の理由がわかっていると、このゲームの「リアルさ」が見えてくる。


美しいイラストと、そこに書かれた生物の説明を見るのも楽しいのだけど、実はこのゲームは「学者の生態」を上手にゲーム化したものなのだと思う。



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