先日書いた、右目の一部が見えない問題、経過観察で医者に行ってきた。
結果から言えば、ほぼ何も変わっていない。
視野欠損の原因は眼底の動脈の炎症なのだが、まだ炎症は残っていた。
ただし、範囲がわずかに小さくなっている。
まだ薬は残っているので、治療は続けることになる。
医者としては、この段階で炎症が無くなることを期待していたようだ。
まだ治っていない、という点で、あまりよくない結果になるかもしれない、と伝えられた。
良くないというのは、最悪、今見えない部分はずっと見えないまま。
そうでなくとも、完治するのに数か月から、数年かかる可能性が高いということだ。
自分としても気になるので、セルフチェックをしていた。
人ごとのように…ちょっと楽しんでいる。
まず、医者に行く前に、「少し見えない範囲が減った」気はしていた。
その後、炎症範囲が減ったことが分かったので、「炎症範囲が減った分だけは、見える場所が増えるのかもしれない」という希望に繋がる。
ここで「見えない」について説明しておこう。
前回、見えない部分の視野角については説明した。
視点の中央から下に 10度ほど離れた部分、弧を描くように、時計の5時方向から8時方向に、縦幅 1.5度程度の範囲が見えなくなっていた。
この「見えない」というのは、黒くなっているとか、そういう感じではない。
ちょっと薄暗さを感じはするのだが、見えている「気はする」のだ。しかし、本当は見えてない。
生体においても、画像処理というのは情報が非常に多い。
これをそのまま脳に送ると脳の処理が大変だし、そもそも送るのに必要な神経線維の量が足りない。
そこで、目の中である程度情報を処理してしまい、意味的に「圧縮」した情報を脳に送っている。
体の中で情報を処理している、というと、多くの人は脳がその役割を担うと考えるだろう。
しかし、眼の中には脳と同じような細胞のネットワークが作られていて、高度な情報処理を行っている。
ここで、「意味」をとらえることが重要なので、細かなノイズなどは省かれる。
視野角にしてわずか 1.5度程度の細い見えない部分というのは、いうなればノイズだ。
完全に省かれてしまい、見えない部分があるということ自体を、脳が認識できない。
じゃぁ、見えないというのはどういうことかというと、その狭い隙間にハマるようなものをその場所にもっていくと、急に消失してしまうのだ。
横に細い欠損部分は、上下からの情報により、何があるかを「推察」されて、なかったことにされる。
そこで、上下に存在しないものを、欠損部分にだけ入れ込んでやると、「消える」ように感じるのだ。
自分でやると、腕を伸ばした状態での人差し指が、だいたいきれいに消えるサイズだった。
で、毎日このチェックをやっていたのだ。
それが、うまく消えなくなっていくのを感じていた。
割りばしなどを使い、もう少し細いものを試すと消える。
どうも、細い範囲で見えないのが残っているが、周辺は見えるようになってきたようだ。
もう一つ、範囲が「5時から8時」だったのが、「6時から8時」になっているようにも感じる。
ただし…ここからが新しい展開だが、以前と違って「見えない範囲に入ると、急に消失」ではなくなっている。
その周辺部分で、面白いノイズが出るのだ。
これは個人的な体験で伝えるのが難しいのだけど、そのあたりだけピクセレート - 水晶 フィルタをかけた感じ。
もしくは、視点を急に変えたときなど、一瞬動きに追随できずに、見えない範囲の更新が遅れる感じになる。
横に細長いのも相まって、MPEG にノイズが乗った時(バースト誤り)のように感じる。
周辺にノイズが出ることから書こう。
これについて、2つの可能性を考えている。
1つは、炎症部分が小さくなったことで、血流が回復するとともに、その部分の視野が回復した可能性。
ただし、しばらく血流が悪くなっていたために、一部の網膜細胞は死んでしまった。
一部が死ぬと、先に書いたように眼の中での情報圧縮の際に、「ノイズ」が増える。
周辺の情報から補おうとすると、間違った補い方が増えて、それがノイズとなってしまう。
生きている網膜細胞を極力活用しつつ、周辺に情報を広げることで推察しようとすれば、水晶フィルタのようになるのも納得できる。
もう1つは、推察としては似たようなものだが、情報を処理する機能が大幅に組み替えられた可能性だ。
脳や眼の中では、ニューラルネットワークが形成されている。
今流行の AI である「ディープラーニング」なんかは、これを模倣したものだ。
ニューラルネットワークの特徴は、非常に柔軟なことだ。
状況が変われば、その状況に適合するように組み変わる。
先に書いたセルフチェックだが、自分で見えない範囲を探すとき、すぐにその場所がわかるわけではない。
見えない部分の情報は、周囲からの推論で「見えている」ように感じるためだ。
だから、指などを見えないあたりでゆっくりと動かす。すると、ある個所で急に消失して、「あぁ、見えてない」と気づく。
でも、これを繰り返せば、やがては学習するだろう。
やがて、「見えている範囲で動いていたものが急に消えたのだから、見えない範囲に入ったのだろう」と考え、そのものを「見えている」風にふるまうようになるだろう。
多少ノイズは乗るが、見えない範囲が狭くなった…というのは、これでも説明がつく。
もうひとつ、この形での学習が進むと、「急に見える範囲が変わった場合、直前の動き情報に惑わされ、見えない部分の情報更新が遅れる」という可能性が出てくる。
…先ほど書いた、「動きがあるときに MPEG にノイズが乗ったように感じる」は、これで説明がつく。
#時間変化まで考えるのは少し高度なので、眼だけではなく、脳の側の処理かもしれない。
実際には、両方が同時に起こっているのではないかと思っている。
前者は、眼の機能が回復しているという朗報で、後者は、思ったより回復してなくても同様のことは説明できるという悲報だ。
網膜は、上に書いたように情報処理も行う、非常に複雑な器官だ。
細胞は新陳代謝しているので、「再生されない」ということは無い。
しかし、個々の細胞が置き換わる新陳代謝ならともかく、この複雑な構造が完全に死滅した時、回復させるのは非常に長い時間がかかる。
回復したとしても、時間がかかるかもしれない、というのはそういうことだろう。
完全な余談だが、脳ではニューロンによる結合で情報処理を行っているが、眼ではほかの手段も使われている。
画像情報処理の方が、処理速度が必要なためだ。
(ニューロン伝達は結構遅い)
いろいろと調べると面白い話が出てくるのだけど、ここでは余談なので特に書かない。
語れるほどの知識もないし。
網膜についていろいろ推察しているが、僕は専門家でもなければ医者でもないので、間違っているかもしれない。
一応、大学は情報科を卒業しており、ニューラルネットワーク(現在「ディープラーニング」として注目されている物)は、さわり程度には理解している。
また、網膜の情報システムについても、学科の先生の一人に「網膜の情報処理」を専門に研究していた人がいて、講義を受けている…が、その程度。
なので、上に書いた話の論理的な根拠は、少しあやしい。
でも、せっかく珍しい病気にかかったのだからと、自分の体で実験してみているのだ。
#余談だが、右に広告を載せた本は非常に面白い。おすすめ。
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