2015年03月28日の日記です


X68000発売日(1987)  2015-03-28 11:33:57  コンピュータ 今日は何の日

ちょうど、ぎーちさんとの対談話X68k の話題を書いたところだったけど、今日は X68k の発売日でした。


これはもう、熱い思いを18年前に書いている


でも、18年も経つと、その後の思いも多少はあります。

ちょっと書かせてもらいましょう。




定価は 36万9千円だったそうです。

正確な数字がすぐに見つかる。18年前に書いたときはそこまで調べなかった。



当時のパソコンは、だんだん性能が上がってきていて、ビジネス用の PC98 で一式40万円くらいだったかな。

ホビー用の PC88 だと、一式 30万円くらいでした。


…これだけ聞くと、X68k は案外高くないように思えますね。

PC88 と違って 16bit 機だし、同じ 16bit の PC98 より少し安い。


でも、X68k は「一式」じゃなくて、本体価格だからね。


X68k は、テレビ事業部が作ったもので、「テレビの可能性を広げるパソコン」という思想がありました。


だから、専用ディスプレイはテレビとしても使える。チューナーが付いているんです。

テレビの画面にパソコンの画面を重ねることもできる。これ、パソコン側ではなく、専用テレビ側で制御していました。


せっかく画面を重ねられるのだから、ビデオに録画できるように、テレビに「出力」機能が付いている。


さらに、パソコン側からテレビのチャンネルを変えたり、音量を変えたりできる。

本体の電源を切っている時でも、キーボードでテレビを操作できました。



技術的なことを言えば、テレビは 15KHz の映像周波数で表示を行っていて、当時の一般的なパソコンは 24KHz の映像周波数を使っていました。

X68k は、他のパソコンより画面が細かかったので、31KHz を使っています。


専用ディスプレイは、この3種類の信号入力を適切に見分け、自動的に表示を変えるように作られていました。



なんだかすごいね。

この、専用テレビがめちゃくちゃ高い。


パソコン専用ディスプレイって、細かな文字を表示しないといけない都合もあって、一般にテレビより高いのね。


それが、X68k 専用だとディスプレイだけで 12万9800円。

パソコンの機能の一部を、ディスプレイ側に入れ込んじゃってあるからね。


合計で50万円弱。1987年だから、消費税導入前ですね。




「5年間は設計を変えない」と言った、ということにされていることが多いのですけど、ちょっと違うと読んだことがあります。


当時としては、ものすごい性能の機械だった。

発表会見に集まった記者たちが驚き、こんな高性能にして採算に合うのか、と聞いた。


それに対して「5年先を見越して設計しています」と答えた。

ただそれだけ。


今はすごい機能に見えるものでも、5年後には普通になるだろう。

だから、それを見越していろんな機能を入れてある、というだけで「設計を変えない」とは言っていない。


でも、「設計を変えない」と雑誌などに書かれ、ユーザーがそれを信じるようになった。


性能が高いマシンを発売したら、ユーザーに対する裏切り行為になってしまう。

進化の激しいパソコン業界で、5年間性能を変えるわけにはいかなくなった。



これで、X68k は「性能の低い機械」となって、パソコン業界の中で取り残されていきます。

やっと5年が過ぎて、性能を上げた機械を出しても手遅れ。




まぁ、設計を変えられたのか、というと難しかったとも思います。

5年目のマシンも、ただ CPU を高速化しただけだったし、その高速化も周辺が遅いからあまり活かされなかった。


設計が美しすぎた、というのが X68k の弱点だったと思います。


全てが一体となって設計され、一分の隙も無かった。

だからこそ、後から改良を入れる余裕もなかった。設計した時点が「最高」で、その後の展開がなかったんです。


IBM-PC なんて、最初から設計が汚かった。つぎはぎだらけだった。

その代り、ツギハギ部分を叩き切って、別の機能に挿げ替えることも簡単だった。


結果として、時代に合わせて変わりつづけられました。




実は、「美しいものははかない」って、このページの開設当初からの隠しテーマなんだよね。

今は使われない昔の機種・機械を紹介しているけど、やっぱ紹介する機械は、僕なりの「審美眼」で選んだものだけになっている。


でも、その「美しいもの」はもう使われていないのです。

大抵は、設計が美しすぎて改造できず、時代に取り残されたものなのね。



僕は、大学生の頃までは「美しいことは正義」だと思っていた。

でも、そうじゃない。時代を超えるには清濁併せ持たねばならないのだ、と教えてくれた機械が X68k でした。



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