以前も書きましたが、1997年頃になると自分も中堅社員になってしまい、忙しくなったために部署内のゲームでもあまり見ていません。
なので、どうやら発売したらしい、もしくは発売した程度には知っていても、あまり詳しくないゲームもあるのです。
▼ダイナマイトベースボール 97
4月リリース。
以前に僕も携わった、ポリゴン野球こと「FINAL ARCH」は、1996年から「ダイナマイトベースボール」と名前を変えてシリーズ化されました。
97 は、名前の通り 97 年の選手データに入れ替えたバージョン。
この後、98、99と毎年発売されています。
AM1研では、プロジェクトごとにプログラマ・デザイナーなどが割り振られ、特に固定されたチームはない、という形式でやっていました。
しかし、このシリーズは、プログラムに関してはほぼメンバーが固定。シリーズなので仕方ないのですが…
企画の方は結構変わっていたと思います。
どこのタイミングだったか忘れましたが、割り振られた人が野球に詳しくはなかったようなのです。
それまでの前任者は、一人で企画の仕事を全部やっていました。
でも、野球が「好きだからできる」部分が多くて、作業量が多くても楽しくやっていたようなのね。
新しい人は、それほど野球好きだったわけではなく、でも前任者が一人でやっていたのだから一人でやらないといけない、と仕事を抱え込んでしまい…
ある日「探さないでください」と書置きがあり、失踪しました。
驚きました。
こういう話、本当にあるんだ。
仲のいい人が自宅に様子見に行ったら、普通にいたそうですけどね。
「失踪」ではなくて、単に出社拒否だっただけ。
そんなに辛かったのなら、早く言えばいいのに、と、もう一人企画者がアサインされました。
と言っても、サポート扱い。別の人に交代、とはならなかった。
詳しい事情は知りませんが、途中までやった責任もあるし、人材が足りなかったのもあると思います。
▼SEGA WATER SKI
9月リリース。
1996 年に、SEGA SKI Super G というゲームが発売になっています。
水の上を走る、Waverunner ってゲームも同年発売です。
じゃぁ、水上スキーやっちゃおうよ、と作られたゲーム。筐体は Super G と同じ、スキーコントローラーです。
Super G のコンバージョン(ソフト入れ替え)目的で作られたのではないかな。
特殊筐体を使うゲームの場合、通常のゲームより高価になりますし、買ってくれたお店に対しても「儲けが出る」ようにしないといけません。
でも、ゲームのヒットは運もあります。なかなか思うようにヒットが出るものではない。
そんな時、買ってくれた特殊筐体を使用するゲームを発売し、「ソフトを入れ替えることで新しいゲームにする」ことで、少しでも筐体稼働率を上げる必要があります。
それがコンバージョン。
バーチャフォーミュラに対して、Indy500 の特別版作ったりしたのも、コンバージョン。
つまりは、Super G が思ったようにヒットしなかった、ということの裏返しですね…
▼モーターレイド
10月リリース。
こっちもあまり覚えてない…
当時「銃夢」って漫画が流行していて、その世界観イメージで作っていたのではなかったかな。
いや、それともそれは、単に先輩が好きで漫画読んでいただけか…
なんか、開発していた先輩の机に銃夢が並んでいた覚えがあるんですよ。
でも、その程度の記憶しかありません。すみません。
▼マルちゃんdeグー!!!
12月リリース。
ST-V 基板で作られた、東洋水産の「マルちゃん」キャラクターを使ったゲームです。
当時のセガは、ゲームに広告を入れてスポンサーを募る商売を実験的に行っていました。
「バーチャファイターキッズ」で、大塚製薬の「ジャワティーストレート」が出てくる、とかね。
FINAL ARCH でも、日本テレビの「進め電波少年」のロゴ入れました。
でも、どれもゲームがまず作られ、そこに「無理やり」商品CMを入れ込む、という感じなのね。
どうしても、唐突にCM入れた感じがする。
マルちゃんdeグー!!!は、もともと東洋水産からの依頼だったようです。
どういう経緯でそうなったのかはよく知らないのですが、おそらく製作費も東洋水産持ち。
…つまりは、制作費が少ないのです。広告費とかの枠組みだと思うから。
社内で作るには割に合わない仕事なので、全部外注に任されました。
少なくとも「唐突なCM」という感じはないです。
ゲーム丸ごとCMだから。主人公からマルちゃんだし、ミニゲームも東洋水産の商品名とかを冠している。
ゲームとCMの融合、という実験としては完璧でした。
惜しむらくは、ゲームを「作る」程度の制作費しか出ておらず、「面白くする」ところまで踏み込めなかったことか…
▼バーチャル麻雀
リリース2月。
ここまで時系列で書いてきたのですが、これは最後にしました。
AM1研作品ではなく、外注ですらないから。
サターン用に作っていたゲームを ST-V でも発売したい、という会社があり、「面倒見てあげて」と、AM1研が事務処理を頼まれたのです。
そのまま、部署内の基板などの管理を任されていた先輩に処理が丸投げされ、先輩が「ちょっと ST-V 基板使わせて」と僕の席を訪れました。
#先輩は Model2 のチームにいたので、ST-V ゲームを頼まれても、動作確認もできなかった。
それがバーチャル麻雀だったのですが…
作ったのは、サターンで何本か麻雀作っている会社なのですね。
でも、本格派の麻雀ではなくて、勝てば相手が脱ぐ、いわゆる脱ぎ麻雀。
サターンの性能を活かし、CD-ROM の大容量で、実写の写真を表示するように作ってありました。
それを、CD-ROM のない ST-V に移植…タイトルも変えて完全に新作でした。
(あとでサターン版も発売になっています)
ポリゴンで「お姉さん」を表示しています。
勝つとご褒美シーンがあるのだけど…
…えっと、悪夢?
ご褒美シーンのはずなのだけど、背景がおどろおどろしいし、ポリゴンカクカクだし、踊っている(?)動きが悪い。
(ポリゴンに関しては技術の進化もある…と擁護したいのですが、当時見ても「カクカク」と感じました)
#Youtube動画で走査線がおかしな感じになっているのは、エミュレータの出来が悪いのだと思います。
担当者の先輩、こんなんじゃいかん、脱ぎ麻雀で求められる美少女グラフィックとは…と、熱く語りだしました。
この先輩、当時でいうところの「美少女ゲーム」マニアだったらしい。
この時まで知りませんでしたよ。
確かこのとき、一緒にもう一本のソフトを見せてもらったと思います。
こちらは営業の人が持ってきたみたい。
「ペブルビーチ ザ・グレートショット」
T&Eソフトが作った3Dのゴルフゲームで、業務用を 1996年3月に発売していたそうです。
パソコンで話題になった「遥かなるオーガスタ」のシリーズね。
これが、3Dなのだけど、ST-V の機能に頼りません。
自前のプログラムで描画を行っているらしく、少し遅いのですが、非常に美しい風景を描き出します。
ハイクオリティなソフト。
サターンから移植して ST-V で発売したサードパーティソフトなのですが、これが評判良かったらしいのです。
それで、他の「サターン用ソフト」を作っていた会社にも、ST-V 移植の門戸を開いたようなのです。
その第一弾が「バーチャル麻雀」。
…同じ「サードパーティソフト」として扱うには、クオリティに歴然とした差が。
これで「前例」ができたので、その後はAM1研でそれらのサードパーティ作品の事務処理を行うことになります。
外注ではなくサードパーティなので、ゲーム内容などには口をはさみません。ただ事務処理だけ。
でも、今後はそうしたゲームのことも(思い出したら)書くかと思います。
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