以前、「セガ・サターン」の一連の話題を書いたときに、一緒に展開された商品群についての話も書いている。
その中に、「ジュピター」という機械の話があった。サターンと性能的には同じだが、CD-ROM ではなくカートリッジで動作する前提の機械だ。
今だから正直に書こう。
実は、書いているときから、少し眉唾なうわさ話だと思っていた。
自分は業務用の ST-V だけど関連したプログラマをやっていたし、それなのにジュピターなんて話聞いたこともなかったから。
でも、海外ではすごく有名で、信憑性をもって語られる話らしいんだよね。
サターンには、実際に土星の衛星や惑星の名前がつけられた関連商品がたくさんあり、それらの話を書こうと思い、情報を集めているときにこの話を知った。
そして、あまりに面白かったので、眉唾だと思いながらも紹介した、というのが記事を書いたときの真相だ。
ただ、同時期に見つけ出した噂話には、明らかに否定できるものもあった。
例えば、マルチカートリッジ対応の 4slot ST-V の話とか。これは、僕は記事の中で真相を明らかにして否定した。
記事に書いたのは、少なくとも「僕が否定情報を持ち合わせていない」ものだけだ。
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さて、こんな話を急に蒸し返したのも、情報が得られたから。
先に書いておくと、噂を書いた時点である程度気づいていて、やっぱりその通りだった、というところなのだけど。
海外での「噂」では、サターン以前に作られたセガハードは、大きく分けて次の4機種。
SG-1000
SEGA Mark III
Master System
MEGA DRIVE
他にもあるのだけど、同じ性能の別バージョン、という扱いになる。
たとえば、MEGA DRIVE には、性能が同じ別バージョンとして MEGA DRIVE 2 がある。
ここに書いたのは、「性能が違う」4機種だ。
だから、サターンが6番目というのはおかしいのでは? というのが、最大の根拠となる。
しかし、気をつけてほしい。
ここでもう答えが出ているようなものなのだけど、2番目の機種に「3」という名称がつけられている。
SG-1000 には、性能が同じで付属品などが違う別バージョンとして発売された、SG-1000IIがあるためだ。
この「3」を基準に考えれば、Master System が4、MEGA DRIVE が5となる。
その次の機種は「6番目」となる。第6惑星である「サターン」だ。
(SG-1000II は2機種目に数えるが、MEGA DRIVE 2 は6機種目には数えない。この場当たり的なルールが話を混乱させている)
この裏付けが、先日紹介した書籍「ゲーム戦争―遊びを創造する男たち」に書かれていた。 216 ページ目だ。
メガドライブの開発中に、名称を決定するくだりだ。以下引用する。
佐藤たちは、この新機種を、通称「M5」と呼んでいた「SG−1000」がM1、「マークⅡ」がM2、「マークⅢ」がM3、海外用の「マスターシステム」が、M4と呼ばれていた。
「いっそ、『マークV』というのはどうだろう」
「いや、これは、いままでの流れとは違うハードだから、そうはしたくない」
なかなか、タイトルが決まらない。
ひとりが、ふといった。
「『メガドライブ』というのはどうだろう」
上に引用したとおり、開発現場でもメガドライブを M5 と呼んでいたのだそうだ。
サターンは6番目で正しい。
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ところで、引用した文章、色々説明したい。
まず、マークIIという機械はない。SG-1000II のことだ。
この書籍、ゲームマニア向けではなく、当時話題となっていた「セガ」という会社を紹介するビジネス書だ。
そのため、マニアから見ると色々とおかしなツッコミどころも多い。
しかし、「マニア向けでない」というだけで、丹念な取材を行って書かれているのは事実なようだ。
書かれていることに裏付け調査は必要だろうが、ある程度は信頼して良いように思う。
その上で、M4を「海外用の」マスターシステム、と書いていることに注目したい。
僕は、Mater System を「機能が違うハード」としてカウントしていた。
しかし、海外用のマスターシステムは SEGA MarkIII と同じ性能の別バージョンにすぎない。
ただ、リージョン管理(商品の流通地域の管理)のために、カートリッジの形状変更などがある。
このため、開発現場としては大きなプロジェクトで、新しい開発番号になったようだ。
そして、国内のマスターシステムは、「海外の名称に合わせて新規発売した別バージョンで、新ハードではない」扱いのようだ。
実際、SEGA Mark III に別売りされた付属品を最初から内蔵しただけで、それまでになかった機能は一切追加されていない。
僕は「機能で見ると、サターン以前に4機種しかない」と書いていたのだけど、実は3機種しかなかったことになる。
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以上、過去に書いた記事が誤っていた、というお詫びと訂正になる。
まぁ、先に書いた通り、元々面白がって書いただけの噂話だったので、訂正する方が野暮なのかもしれないけど。
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