2014年08月06日の日記です


Copyright 表記について  2014-08-06 17:09:51  その他

ある漫画で著作権侵害があったとかで、ゲーム会社ともめているようだ。

まぁ、その漫画を僕は全く読んでおらず、何の情報も持っていないので、そのことについて書きたいのではない。


これでいろいろ騒いでいる人たちが、著作権についてあまりに知らないため、これはちょっと書き留めておかないと…と思っただけ。

僕だって専門家じゃないから詳しくない。でも、ゲーム会社に勤めていたので著作権は非常に重要で、仕事で叩きこまれた。




著作権を知らない、というのは別に悪いことではない。普通は気にする必要もないと思う。

でも、何らかの著作物を作って利益を得ている人(金銭に限らない。ネットで有名人になったりするだけでも利益だ)なら、著作権は知らないといけない。


著作権と言うのは、細かな権利にいろいろ別れているけど、


・勝手にコピーされない権利

・勝手に改変されない権利


あたりが軸になっている。


つまり、コピーしてはならないのは当然のこと、改変であるパロディなどの作成も侵害となる。




ただ、ここが難しいところだけど、社会風刺としてのパロディなど、公益性が高い場合には許可されている判例がある。

日本の法律では認められないが、アメリカの著作権法などでは「フェアユース」と言って、フェア(公正)な使用は認められている。


たとえば、漫画のコマが気に入ったから拡大コピーして部屋に貼った、としても、これはフェアユースだ。

でも、日本の法律では、厳密に言えば著作権違反だ。


ただ、アメリカの法律では著作権違反となれば、懲罰の意味も込めて高い罰金が科される。

日本の場合、損害を算出して請求するのが限度だ。だから、漫画のコマを拡大コピーして部屋に貼ったとしても、特に損害が出ているわけではないため、訴えられることもないだろう。

(せいぜいが、ちゃんとポスター買えや、とポスター1枚分の代金請求が認められる程度。裁判の手間に見合わない)


2016.8.30 追記

上の例は説明が足らずに不適切でした。お詫びいたします。

「自分の部屋に」貼っていても、私的複製は著作権の例外として認められるため、問題にはなりません。


私的ではない…たとえば、部室に貼ったとかの例だとお考え下さい。

それだけで、「私的」の適用範囲を超えるため、厳密には違法となります。

でも、裁判の手間に見合わないので訴えられることはないだろう、というのは変わりません。


アメリカでは、同人活動(fun make)は、フェアユースとされる。

気に入った物語などの世界観で別の小説を書いたり、仲間同士で見せ合ったり、多少なら販売したとしても問題はない。


でも、日本では漫画の世界観を使った同人誌などは、厳密に言えば違法だ。

日本の著作権法は親告罪(権利者が訴えない限り罪にならない)なので、多くの作者がお目こぼしを与えているが、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で足並みをそろえるために、アメリカに倣って親告罪ではなくそう、という動きもある。


アメリカに倣うならフェアユースも取り入れてくれれば問題ないが、法律を大きく変えると混乱するため、非親告罪化だけが取り入れられそうで、危機感を持っている漫画家さんなんかも多い。




日本の法律でも、たとえ誰かの著作物の一部が使われていたとしても、引用の範囲であれば問題はない。

引用は特に相手に許諾を得る必要はない、誰でも行使できる権利だ。


ただし、どこまでが引用か、という線引きは一意に出来ない。

今回の漫画というのは内容を知らないのだが、特にパロディなどというわけではなく、お話の中にゲームが出てきていた、という使われた方だったようだ。


であれば、引用、もしくは事実の報道のたぐいではないかと思う。これらは、著作権侵害とはみなされない。

(ただし、最後のボスを表示しているとか、そのコンテンツにとって秘密にすべき部分を開示するようなことであれば、著作権侵害と見做されることもある)




今回問題になっているのは、Copyright 表記がおかしい、ということも問題の一因のようだ。

お話の最後に、作中に登場したゲームなどのコピーライト表記を、エンディングロールのように入れたようだ。


これはおかしい。コピーライト表記はそのように使うものではないからだ。


ただ、これを「違法行為だ」と言っている人がいたのだけど、それも違う。

もともとコピーライト表記自体、法的な拘束力の一切ないものだからだ。



普通、コピーライト表記は、「著作権者が、自分の著作物に対し、権利を有していることを公示するために使う」ものだ。

著作権者に写真などの使用許諾を得る際に、「使ってもいいけど、ウチの権利を主張する」と言われたら、コピーライト表示を入れなくてはならない。

これは、権利者が権利を有することを示したうえで、他人に使用許諾したことを意味するためだ。


そんなの無しで使かっちゃっていいよ、という人もいるかもしれない。

コピーライト表記には法的な拘束力はないし、今となっては慣習化しているだけでほぼ無意味だからだ。

権利は「公示」しなくてもちゃんと発生している。ただ、公示しておけば後々面倒が起りにくい。




では、使用許諾も受けていないものが、勝手にコピーライト表記をしていいのか。


コピーライト表記を「他人の著作物を使っている、という表示」だと勘違いしている人が(少なくとも自分の見た中では)多数いるようだったが、それは間違っている。



たしかに、本などに使われている写真にコピーライト表記が付記されていたら、そこは本の著者から見れば「他人の著作物を使っている」部分だ。

しかし、コピーライトは「権利者が権利を主張するために使う」ものなので、写真の権利者がコピーライトの明記を条件に使用を許諾した、という場合以外では、表記してはならない。


そうでないなら、他人の物を「引用」した形で、引用元を示して使うべきだろう。「○○は□□社の著作物です」などの表示だ。

いずれにしても、引用物のそばに表記を添えなくては意味がない。



それが、引用個所でもない、お話の最後にまとめてコピーライト表記を行う、と言うのは訳がわからない。



先に書いた通り、コピーライトは法的な拘束力のない慣習にすぎないため、違法性は無いともいえる。

しかし、慣習としては実際残っており、「許諾された」際に表示するものなので、許諾も受けずに表示するのは事実誤認を招く不当表記方法である、とは言える。


著作権法は、先に書いた通り「コピーされない」「改変されない」ための権利だけど、知名度に便乗させない、という目的もある。

だから、たとえば「知名度のある大会社が多数、公的に許諾を与えて作られた物語だ、と誤認させ、大会社の知名度に便乗した」という訴え方も可能だ。


多分コピーライトの正しい表記方法を知らず、なんとなく格好良さそうだからやった程度なのだろうけど、裁判になるのであれば、表記した方に不利に働くだろう。


著作物で生計を立てるものであれば、著作物の権利を主張するためのコピーライト表記には詳しくないといけない。

これは、明らかに漫画家・編集側の知識が不足しているように思える。




コピーライトの表記方法について、正確なところを知らない人が多いようだ。

…と言ったところで、法的な拘束力がないものなので正確に表示しようとそうでなかろうと、特に意味はないし、最初に書いた通り、著作物を作らないような人が知っている必要もない。


しかし、どんな駄文一つだって著作物だ。誰だって著作者にはなれる。

また、コピーライト表記は法的な拘束力がないとはいえ、先に書いた通り慣習としては残っている。


そして、裁判では「一般化した慣習」は、法律と同じような効果を持つ、と判断されることがある。

コピーライト表記は、注意して扱うべきだろう。正確な表記については知っておいた方が役立つ。



コピーライト表記は、COPYRIGHT の文字、または © の記号、そして記号を使えない場合は (c) の文字のいずれかと共に、著作権者の名前(法人名や通名でも良いが、公に認識されていない偽名ではいけない)、そして、初公開された西暦を表記しなくてはならない。


コピーライト表記には法的拘束力がない、と再三書いたが、これは現在の話で、過去には法的な意味があった。

ただし、国内法ではなく国際条約として。

そこで定められていたのが、上記した、COPYRIGHT の文字、著作者名、初公開年の3つの表記だ。これがあれば、どこの国でも著作物は保護された。


ただ、その後世界的にはもっと強力な枠組みが出来上がり、現在はほとんどの国がそちらの方式を採用している。

「特に権利を主張しなくても、著作物の権利は著作者が有する」という仕組みだ。


だから、コピーライト表記は現在においては特に意味はない。

ただ、先に書いた通り、慣習として残っている限りは裁判などになった際に意味は持つだろう。

書くのであれば、正しい表記を心がけなくてはならない。



2016.8.28追記 8.30改定

テレビゲームのタイトルに表記される年号によって、発売年が誤認されている、という話題を見かけたので追記。


タイトルの年号は、著作権表記だ。

上に書いたように「初公開年」を書く。


たとえば、ロケテスト(作成中にお客さんの反応を見るために、仮完成のゲームをゲームセンターに置くこと)は公開したことになる。

ゲームショーなどで、まだまだ完成していないゲームを「こんなゲーム作ってますよ」と置いておいたら、公開したことになる。


ただ、タイトルの年を見て「古そうなゲーム」だと遊んでもらえないのも事実で、発売年を書きたがる人もいる。

これは著作権表記として誤っているため、法的に「虚偽記載」となってしまって、権利主張の上でまずいことになる場合もある。


この件、詳細をさらに別記事に書いた。

詳しく知りたい人は読んでほしい。




西暦が間違っているのを、特に WEB で良く見かける。

Javascript で「今年」を表示してしまったりしている。初公開年が入っていないと意味がない、というのは重要ポイントなので、自動で書き変えてはいけない。

(初公開年を入れたうえで、最後の改変年を入れるのは良い。改変履歴を全て入れるかどうかはお好みで)


逆に、個別記事の公開年を示さず、WEBサイト全体の「初公開年」で統一している例もある。

これは、下に書く通り、自分の権利を狭くしてしまうのでもったいない。



なぜ公開年が重要かと言えば、法人の場合公開から一定期間で著作権が切れるためだ。

個人は、死んでから一定期間で著作権が切れる。今はだいたいの国でこの方式だが、昔は個人でも公開年から一定期間で著作権切れになる国も有り、公開年の表示は重要だった。


そして、最後の改変年を書くのも、著作権の延命に意味がある。

改変したものは「2次著作物」とみなされ、2次著作物の著作権は、元の著作物とは別に扱われるのだ。


有名なところでは、「ポパイネクタイ事件」というものがある。

ポパイが公開されてから一定期間がたち、著作権が切れたので、最初の漫画をデザインに取り入れたネクタイが作られた。


しかし、ポパイは連載漫画だった。最初の1回の公開から見れば著作権切れだが、最新作から見ればまだ著作権は切れていない。そこで争いが起きた。


この結果は、連載第1回は「元となる著作物」であり、それ以降は「第1回を元とした2次著作物」とみなされ、第1回のデザイン流用は問題なし、とされた。


古い映画などのリマスター版やディレクターズカット版が作られる理由もここにある。

リマスターしたものは2次著作物に当たるため、新たに著作権保護期間が設定されるのだ。




以上、専門家ではないので間違いもあるかもしれないけど、知っておけばちょっと役立つ…かもしれない豆知識でした。




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申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています

あきよし】 表記する年に関しては、指摘された条文が根拠です。
しかし、「発行」も「複製」も通常の日本語ではなく、法律用語です。ここでの「発行」は最初の公表を意味します。
詳細を書くと長くなるので別記事を起こしました。
本文中にもリンクを張りましたが こちらにあります
 (2016-08-30 09:56:15)

あきよし】 フェアユース・私的使用の指摘に関しては、その通りですね。 判り易いように極端な例を挙げようとしたのだけど、極端すぎてあまり例が良くなかった。 ただ、そのあとの話で同人誌を出したかったので、同人誌の例にはしたくなかったんですね。 ちょっと例を考え直そうと思います。 (2016-08-29 17:57:28)

【ななし】 持ってる著作権本調べましたが全て「最初の発行年」と解説されてます。発売年でいいでしょう。 (2016-08-28 22:55:19)

【ななし】 私は逆に発売年でない公表日を書くゲーム会社が無知だと常々思ってました。 (2016-08-28 22:38:07)

【ななし】 万国著作権条約には(日本語訳)「©の記号、著作権者の名及び最初の発行の年」と書かれていますが?条約に発行の定義もあります。「第六条 〔発行の定義〕 この条約において「発行」とは、読むこと又は視覚によつて認めることができるように著作物を有形的に複製し及びその複製物を公衆に提供することをいう。」なぜ提示が含まれるとお考えで?http://www.cric.or.jp/db/treaty/bap_index.html (2016-08-28 22:36:05)

【ななし】 「漫画のコマが気に入ったから拡大コピーして部屋に貼った」たしかに日本にはフェアユースはありませんが、私的使用のための複製の例外をご存知ないのですか? (2016-08-28 22:31:21)


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