目次
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2015-05-17 JAMSTEC一般公開日
2015-08-10 アクアマリンふくしま
2015-08-10 アクアマリンふくしま・本館
2015-08-10 アクアマリンふくしま・展示内容
2015-08-10 アクアマリンえっぐ
2015-08-10 アクアマリンふくしま・締めくくり
2015-11-23 「ちきゅう」一般公開
2015-11-23 三菱みなとみらい技術館
2016-01-10 国立科学博物館
2016-01-10 国立科学博物館(続き)
2016-01-10 上野公園
2016-07-26 ソーセージ作り体験
2016-07-30 相模原JAXA公開日
2016-09-04 海辺散歩
2016-09-26 箱根小涌園ユネッサンに行きたい人へのまとめ(1/3)
2016-09-26 箱根小涌園ユネッサンに行きたい人へのまとめ(2/3)
2016-09-26 箱根小涌園ユネッサンに行きたい人へのまとめ(3/3)
2016-09-26 小田原城
2016-09-26 おもしろ歴史ミュージアム・かまぼこの里
2016-09-26 ホテルグリーンプラザ強羅
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16日、土曜日は次女の保育園の遠足だった。
…朝から雨。「行きたかった」と泣き出す次女。
中止じゃなくて延期なのだけど、本人はとても楽しみにしていたらしい。
でも、実は僕としては予定が重なっていた JAMSTEC の公開日に行けることになったので、内心喜んでいた。
家族で JAMSTEC 行くために、お弁当は作る。
「遠足のお弁当自分で作りたい」と言っていた次女も手伝い、機嫌がなおる。
一般公開は9時半からだが、家を出たのが9時半過ぎ。
しかも、ガソリンがほぼなくなっていたのを忘れていて、遠回りしてガソリンスタンドに寄ってから。
JAMSTEC に付いた時点で、すでに11時近かった。
お弁当は持ってきたので、どこででも昼飯は食べられる。
でも、雨だとそこらへんの芝生の上で、というわけにはいかない。
屋台村の中のテントに空席があったので、先に昼ご飯を食べてしまう。
その後は、まずスタンプラリー。
去年見たばかりなので、子供たちは しんかい6500などにそれほど興味がない。
今年のしんかいは一味違う。…建造から25周年のステッカーが大きく貼ってあったのだけど、それも特に興味なし。
片っ端からスタンプを押して、さっさと景品をもらった時点で、1時前。
去年は機材などの展示を中心に回ったので、学術研究の発表みたいなー、という親の意見に従ってくれて、研究棟へ。
…1時まで昼休みでした。
次女が船乗りたいというので、白鳳丸へ。
順番待ちの列に僕が並んでいる間に、妻と子供たちが近くにあった「ロープワーク」のブースでロープを貰ってくる。
去年のロープは興味を失って捨ててしまったのだけど、久しぶりに見ると楽しいらしい。
#長男はもやい結びできます。是非覚えておくべき結びの一つ。
白鳳丸には、旗がいっぱいはためいています。
…これ、国際信号旗だよね。
去年は、船の名前を示すように並んでいた。
今年はどうなっているのだろう、と思って読むのだけど、読めない。
HAKUHOUMARU だとすれば、H や U が2回以上出てくると思うのでそのつもりで見ても、同じ文字が出ない。
乗船前に定員の都合で少し待たされたので、その時に整理を行っていた船乗りの方に聞いてみた。
「今年は、これ適当に並べてますね。意味のある並びではないです」
乗船後、ブリッジで旗と文字の対応がわかったので調べたら、A B C D E …とアルファベットが並んでいるだけだった。
白鳳丸の中での見どころ。
ラウンジとダイニングが豪華。
昨年見た船(何だったか忘れた)はお客さん用の部屋でも質素だった。
(それでも、通常クルーの部屋より広かった)
ラウンジは来賓専用の応接室で、非常に広く、カウチソファとローテーブルの応接セットもある。
ダイニングは上官用の食事室で、こちらもゆったりした広さ。
壁新聞スペース。
ファックスで送られてきた新聞が掲示されている。朝・夕刊届くようだ。
この時も、当日の朝刊が貼ってあった。
世間から隔絶された洋上では、こうしたニュースは大切な娯楽なのだろう。
なんかのデータロガーに書いてあった注意書き。
最近の機械の交換で、それまで RS-232C でしか取り出せなかったデータが、イーサネットにも対応したという。
RS-232C って単語を久しぶりに見た。
研究室へ。
事前に、研究室での内容のチラシを貰っていて「超臨界水」という言葉に長男が興味を持っていた。
超臨界水が何であるか、事前に少しだけ教えて置いたけど、きっと展示を見れば詳しくわかるから…と詳細は教えなかった。
見に行ったら、MAGIQ乳化、という状態のものを見せられた。
乳化というのは、本来分離してしまう水と油が混ざった状態。
2つの小さな瓶があり、1つは普通に水と油を混ぜて乳化した状態。
もう一つは、超臨界水を使ったMAGIQ乳化。
よく見ると、MAGIQ乳化の方がすきとおっていて、ちょっと違うのがわかります…と説明。
僕から質問。
これ、水と油だけですか? 乳化剤入ってないの?
実は入っています、との答え。超臨界水のままなら乳化剤なしに乳化するのですが、瓶などに入れておくとまた分離してしまうので、安定させるために乳化剤を少し入れてあるそうです。
妻からも質問。
透き通っているように見えるのは、油が細かくなってレイリー散乱しているから?
レイリー散乱っていうのは、光の波長より細かな粒子によって起こされる、光の散乱現象。
空気中などで起こり、空が青いのも、夕焼けが赤いのも、レイリー散乱によるものです。
これは、まさにその通りです、との答え。
MAGIQ 乳化は超臨界水を利用した「応用」の話で、長男が興味を持っていた「超臨界水って何?」に対する答えは無かった。
そこで、僕から少し説明。
水は、陸上(1気圧)では 100度で沸騰する。
水深 100m では、180度まで沸騰しない。
水深 1000m になると、312度でやっと沸騰する。
深海 2000mまで潜ると、350度にならないと沸騰しない。
では、3000m くらいまで潜ると何度で沸騰するか?
#正確な数字を覚えてなかったのだけど、説明を始めたらそのデータをプロットしたグラフをすぐに持ってきてくれた。
さすが研究室。欲しいものがすぐ出てくる。
答えは、「3000mでは水はどんなに温度を上げても沸騰しない」。
その代り、水とは明らかに違う特性の液体に変化します。
水のはずなのに、ほぼ油と同じ特性を示し始める。塩は溶けにくくなり、親油性を示します。
この親油性を活かし、超臨界水で油を溶かすのが MAGIQ乳化、という事でした。
#後で調べたら、深海で温泉が湧きだしている、熱水鉱床で MAGIQ乳化が起き、これが生命の起源に関係するのではないか、という基礎研究でした。
ここで長女から基本的過ぎる質問。
「にゅーかってなに?」
えーと、ドレッシングって、混ぜないと油と水に分かれてるでしょ?
混ぜても、しばらくすると別れちゃう。
でも、同じように油と水を混ぜても、マヨネーズは分離しない。
こういう、綺麗に混ざった状態が乳化。
#とっさの説明だったけど、厳密に言えば、後で分離してしまうとしても「混ざっていれば乳化」です。
「乳化剤」が入っていると分離しなくなる。
卵黄は乳化剤としての効果があるので、卵入りドレッシングであるマヨネーズは分離しません。
…と、説明していたら、説明担当の研究者の同僚の方(?)から、「おー、すごく上手で的確な説明。説明役変わって貰えば?」と軽口。
すぐ隣、新型の顕微鏡を実演していました。
この顕微鏡の機能には驚いた。
目で覗くものではなく、コンピューター制御でパソコン画面に映し出すものなのだけど、「厚み」を捉えることができる。
それを元に、3D 表示を行ったり、調べたい個所の幅や厚さを即座に表示することができます。
ナノメートル単位で厚みがわかるようです。
一見すると普通の顕微鏡。
上から光を当てているだけで、一体どうやってナノメートル単位を測っているのか?
質問したら、計測を実演してくれました。
厚み計測には時間がかかるそうです。
顕微鏡を覗いたことがある人ならわかると思いますが、顕微鏡って、「厚み」に対して焦点が当たる部分が狭い。(カメラ的に言えば、被写界深度が浅い)
プレパラートとカバーガラスの間のわずかな隙間の水の中に微生物が泳いでいても、上と下では明らかに焦点が異なる。
また、顕微鏡では光の当て方で「コントラスト」を変えられる。
光を絞り込んで狭く対象に当てていると、焦点の合ったところ以外を暗くしてしまい、コントラストを上げられる。
この二つを利用すると、「明るさによって、焦点が合っているかどうかわかる」ことになる。
焦点距離を少しづつ変えながら何度も撮影を行うと、高さがわかることになる。
なるほど、知っていることを応用して組み合わせただけだった。
でも、コンピューター時代になって正確に操作ができるようになったから、ナノメートル単位で焦点を変えて計測、ができるわけで、今の技術でないと出てこなかった顕微鏡なのだろう。
別の研究室では、論文のポスター展示を行っていた。
たまたま目に付いたのが英語のポスター。
他のものは日本語なので一瞥して研究内容がなんとなくわかるのに、英語で一切わからないから気になったともいえる。
一生懸命読んでいたら、「英語の論文読んでる人がいる!すごい!」と研究室の人に言われた。
うーん、同じ内容で日本語があればそちらを読みたいけど、気になっちゃったら英語でも読むしかないじゃないですか。
英語でよくわからないので斜め読み。
長男が「なに書いてあるの?」と質問するので、斜め読みしながら説明もする。
最初に見た部分、写真がついていて、電気回路の一部に「チムニーの壁」を挟んでいるのに、LED が点灯している。
英語を斜め読みすると、チムニー(海底温泉である、熱水鉱床の噴出孔)の壁は岩石なのに、グラファイトと同じように電流を通す特性がある、ということが書いてある。
ポスター横に立っていた研究員の方に、「グラファイトってなんでしたっけ?」と聞くと、鉛筆の芯のような炭素、と教えてくれた。
あー、そういえばそうだった。知っていても、忘れていた単語。
説明員の方によれば、「グラファイトのように」というのは、抵抗などがほぼ同じ意味なのだそうだ。
鉛筆の芯は、抵抗はそれなりにあるけど、よく電気を通す。シャーペンの芯を使って PC-E500同士で通信したことある人も多いだろう。
へー、岩石なのに電気透すんだ。興味深い。
つづいて、その上に書いてあった内容を読む。
こちらは、チムニーから噴出する熱水はいろいろな成分を含んでいるが、化学変化によって電子が余っていて、回路を作ってやれば周囲の海水との間で電気が取り出せる…という事が書いてある。
熱水鉱床から電気を取り出せる。これは興味深いのだけど、次の「壁が電気を通す」ことを合わせて、この記事繋がっているのだな、と思って結論の方へ。
熱水鉱床の周囲に住んでいる微生物などは、従来硫化水素などをエネルギー源として生きていると考えられてきたが、チムニーから電気を取り出して、電気エネルギーを直接「食べて」生きている可能性がある…と。
電気を食べる生物がいる!
このポスター、今回いろいろ見た中で、一番僕の興味を引いたものでした。
隣に立っていた研究員の方、この論文書いたご本人だそうで、長男に説明しながら読んでいたので「そこまで理解していただけるとありがたいです」と言われた。
英語だから、ほとんど読む人もいないみたいなのね。
僕も、たまたま目についたから読んだけど、もしかしたら素通りしていたかもしれない。(英語は苦手)
でも、読んで良かった。非常に興味深い。
研究員の方によれば、これはまだ可能性を示唆しただけで、電気を食べる生物は見つかっていないそうです。
でも、確かに電気を食べている、という状況証拠はあるのだとか。
あとは、「どの微生物が」電気を食べているのか特定するだけ。
普段は流化水素などからエネルギーを得ながら、電気「も」食べているだけだと考えられるので、特定条件を満たさないと電気を食べないのかもしれないし、なかなか生物の特定に至らないようです。
以前に JAMSTEC の方の講演会で聞いて感心した話なのだけど、生命の起源は熱水鉱床である可能性があるそうです。
そのつもりで「電気を食べる」ということを考えると、それが生命の最初の姿かもしれない、ということなのでしょう。
生命は最終的には電気で動いているだけど、この電気は、外部から取り込んだ物質を化学変化させることで取り出している。
このメカニズムはそれなりに複雑で、いきなり作られたとは思えない。
最初に「電気が湧き出す場所」としての熱水鉱床があり、そこで生命が生まれた後、電気が無いところでも電気を得る方法を獲得した、と考えると生命の発生が説明しやすくなる。
先の「MAGIQ 乳化」も同じね。
生命は油と水の微妙なバランスの上に成立しているのだけど、通常は水と油は分離してしまうので、「微妙なバランス」なんて作り出せない。
熱水鉱床の環境は超臨界水が存在するので、そこで「微妙なバランス」が作られていれば、生命が偶然生まれる条件が整いやすくなります。
他にも面白い論文ありました。
まだ研究中の最先端の成果を見せていただいているわけで、結論が出ていなかったとしても知らない世界を覗けます。
うちの子たち、最近T4ファージを知ったのだけど、熱水鉱床の微生物群の中で発見したファージについての論文もあった。
電子顕微鏡写真もついていたけど、たしかに丸い頭に棒が付いたファージが見える。
(ファージはウィルスの一種で、細菌に取り付くもの)
ざっと説明すると、熱水鉱床はそれぞれが別の生態系を保持していて、そこに住む細菌なども全く異なるのだけど、遠く離れた熱水鉱床でも共通するファージが居ることがわかった、というもの。
こちらも、生命の誕生とほぼ同時に、その生命に取り付く「ウィルス」も誕生していたのではないかと示唆するものです。
生命が誕生した時すでにウィルスがいて、感染したまま広まってから、環境が隔離されて生命が独自進化を遂げたのではないか、ということ。
そうすれば、遠く離れ、生息する生命も異なる熱水鉱床に、同じファージがいる説明になります。
そもそも、ウィルスは生命のようで生命に「なり切れていない」、半生命みたいな存在です。
生命の誕生とほぼ同時に生まれた、というより、ウィルスが先なのかもしれません。
…と、こんなポスター展示を感心しながら見ていたら、子供がつまらないと言い出した。
親としてはもっと見ていたいのですが、別のところを見に行きます。
深海生物「ゴエモンコシオリエビ」が生きたまま展示されている、というのでそのコーナーへ…行く途中、子供たちが、別のものを発見し、気を取られます。
「おもしろ科学たんけん工房」主催の、「くるくるリングを作ろう」。
持って歩いている子がいる、とは思っていたけど、ここで作っていたのか。
すごい人気で長蛇の列。それを並んでも欲しい、というので並びます。
長蛇の列とはいっても、並んだのは15分くらいだったかな。
次女には難しかったので僕が手伝って、長男と長女は自分で作ります。
すごく単純だし、回している子のを見てて、「原理」はすぐに理解できた。
でも、自分で回してみると、頭で理解しているのと違う楽しさがある。非常に「手触り」の良いおもちゃです。
直線運動を回転運動に変え、リングがくるくる回る。
単純化すれば「それだけ」のおもちゃなのですが、回転方向は必ず1方向になるようになっているし、上手に回すのに、適切な「直線運動」の速度もある。
しくみを考えると興味深いです。
このあと、しんかい6500のモックに乗りたいと次女が言うのでまた列に並びます。
(この日は見学だけで乗れなかったのだけど、満足した様子)
さらに、昨年も見た「火山噴火実験」を見学。
火山の噴火を模擬的に起こす…と、難しい説明ですが、やることはコーラメントス。
去年もそうでしたが、単純に盛り上がります。楽しい実験。
これで、公開時間終了。
スタンプラリーの景品、しんかい6500 のパスケースと、アンケートのボールペンを貰って帰ります。
パスケースは、透明のビニールの中に、青と透明の液体(混ざらないので水と油でしょう)が入っていて、その中に透明プラスチックに印刷されたしんかい 6500 が浮いています。
子供たち、早速白い紙に、貰ったボールペンで「深海生物」の絵を描いていました。
パスケースに入れると、深海にいる感じになる。
去年見たものは、今年はほとんど見てない。
実は見たものは少ないのだけど、去年とあわせて「沢山回った」感じがする、充実した見学でした。
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別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 |
毎年恒例、夏の家族旅行で福島に行ってきました。
その時、すぐ近くに「アクアマリンふくしま」があるというので妻が行きたがった。
でも、日程などの都合でその時はいけなかった。
今回、旅の主目的はアクアマリンふくしま に行くことでした。
家族日記としての旅程より先に、アクアマリンふくしま についての感想を書いておきましょう。
アクアマリンふくしま(長いから、以降アクアマリンと書きます)は、水族館です。
水族館だったらどこにでもあるのに、妻がなんでそれほど見たがるのかわからなかった。
でも、行ってみたら認識の間違いを知りました。
確かに水族館なのだけど、扱っている情報が非常に多い。博物館と呼んでも差し支えありません。
でも、「生命」に関することを展示の中心としていて、その中でも中心となるのは水生生物。
だから、水族館というのは間違いではないけど、普通の水族館とは全然違う。
見終わった後に、長女が「水族館だからイルカがいるかと思ったのに、いなかった」と言ってました。
楽しめなかったわけではない。この後書くけど、ものすごく楽しみました。
でも、予想していたのとは全然違った、ということ。
普通の水族館とは全然違っている、というのを端的に表す言葉でもありました。
アクアマリンの入り口に入り、チケットを買って入り口ゲートを通ると…いきなり屋外に出ます。
この時点で、かなり虚を突かれる。水族館だから屋内だと思っていたのに、いきなり外に出るの?
この日は暑くて、水族館なら涼しいだろう…と期待していたのでなおさら。
まっすぐ先に水族館の建物が見えるのですが、「順路」は右に進むことを示しています。
最初に見せられるのは、「縄文の里」と題された展示。植物園だと思って良いです。
ただ、オープンしたのは訪れた2週間前。縄文時代に普通に存在した雑木林を作る計画のようですが、まだすべて苗木です。
これを見て何かを感じ入るのには想像力がいるようで、多くの人が何も見ずに通り過ぎて行ってしまいます。
雑木林の周りには屋根の付いた回廊があって、そこに展示の意図などが説明された説明文があります。
細かな解説などを読みながら進む構造。
読みながら進むと…意図が理解できました。そして、今は苗木だけど、10年後に木が育った時には素晴らしい展示になるだろう、と想像できます。
ここは、日本に昔からある植物だけで作られた雑木林。その中を川が流れ、奥には大きな滝もあります。
植物園では普通はあり得ないことですが、雑草もわざわざ植えてあり、管理されているようです。
恐らく、帰化植物の種が飛んできて、日本にいなかったはずの植物が生えたら、すべて抜かれるのでしょう。
ただの雑木林ではなく、「縄文の雑木林」というのは、そういうこと。恐ろしく手間のかかる計画です。
回廊の中央部分は、雑木林にある「滝」の裏側になっています。
となると、ここは「回廊」ですが、滝の裏に続く洞窟を進んでいるイメージなのでしょう。
回廊の中には、2か所ほど、丸太から削り出したテーブルセットが置いてあります。
丸太から背もたれを含めて削り出された椅子と、非常に大きな丸太を輪切りにしただけのテーブル。
…おそらく、テーブルは屋久杉ではないのかな。一番大きな屋久杉は「縄文杉」と呼ばれています。
回廊には、写真と説明文のみですが、「縄文動物園」と題して、昔の日本に暮らしていた動物たちの説明もあります。
「ニホンカモシカ」など、日本が付く生き物。「ホンドタヌキ」など、本土のつく生き物。「エゾリス」など、蝦夷のつく生き物…。
そして最後に、「河童宣言」と題された文章があります。
最近、日本カワウソが「おそらく絶滅したと思われる」という見解が発表されました。
この日本カワウソが、水辺にすむ子供のような存在=河童だ、として、河童が復活できる環境を作りたい、という宣言です。
そして、「縄文の里」の最期は、カワウソの展示で終わります。
日本カワウソと近縁の、ユーラシアカワウソ。
水族館らしく、非常に大きな「川」を再現した大水槽…恐ろしい透明度で、遠くに泳ぐ魚まで見えます。
一匹のカワウソのテリトリーは数キロ四方。
この程度の手つかずの自然が、数百キロ四方残せていないとカワウソは生きていけないのだ、という主張です。
「河童の復活できる環境」というのが、今の日本では途方もない夢であることがわかります。
展示の最後に、「最新のカワウソの写真」がありました。1979年に撮影された、生き生きとした連続写真。
絶滅した、という言葉を信じるのであれば、これは最後の写真です。
しかし、我々はあえて「最新の写真」という言葉を使います、という文章が添えられていました。
…泣けてくる。最初から、ガツンとやられた感じです。
まだ水族館の本館に入っていないのに、普通の水族館ではないことが伝わってきます。
さて、本館に至るまでの順路はまだまだ遠い。
つぎは「アクアマリンアグリ」と名付けられたプランター菜園。
いや、多分展示ではないのだけど、ナスとかピーマン、コンニャクなどが植わっている。
その横には緑のトンネルが作られ…「斑入りの葛なんてあるんだ!」と妻が驚いています。
植物好きの妻が驚くような植栽なのです。
さらに、「さばくの生き物」の展示。こちらは主にパネル展示のみ。
クウェートの水族館と友好提携を結んだ記念だそうで、クウェートの暮らしなども説明されています。
そして、やっと水族館の本館に入ります。
(続く)
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アクアマリンふくしまの話の続きです。
本館は、比較的普通の水族館。
「比較的」ね。やっぱ普通ではない。
まず、普通の部分を先に書いてしまいましょう。
魚の生息地域をテーマとしてゾーン分けして、いろいろな水槽を展示しています。
うん。これは普通。
その間をストーリーで繋げています。まぁ、これもよくあること。
最初は福島の川の源流で始まって、沼や川を下り、海へそそぐ。
そこからオホーツク海、太平洋、東南アジア、サンゴ礁の魚などを紹介しつつ、やがて福島に戻り、福島の深海生物へ。
うん。これも非常に上手にまとめているけど、普通。
普通でないのは、これらの展示の合間に、博物知識を添えてあること。
東南アジアのゾーンでは、その周辺の植生まで再現しています。
温室の中に、マングローブを中心とした熱帯植物。マングローブに寄生する蘭の花まで咲いています。
水族館というより、まるで植物園のよう。
東南アジアゾーンの前には、唐突に盆栽が置かれています。
水族館に盆栽があっても、ほとんどの人が気にも留めず、先を急いでしまいます。
でも、説明を読むとそこに置かれている理由に納得。
盆栽は、日本的な趣味「BONSAI」として英語にもなっています。
でも、その源流は中国。中国で作られた陶器の鉢に植栽をしたのが始まりで、韓国を経由し、日本に入り、世界に伝わりました。
その説明により、「アジアの国々」を非常に身近な存在に感じさせてから、東南アジアの魚…と、熱帯植物を紹介しているのです。
また、盆栽は水族館の象徴でもあるようです。
出来るだけ自然に近づける努力はするが、自然と切り離された存在。
水族館でも「本物」を見せる努力はするが、できれば自分で本物を見に行ってほしい、という意思表明のようです。
また別の例。
福島の海を示す水槽は、2つの大水槽を組み合わせ、その隙間にトンネルを作る形で表現されています。
2つの大水槽は、福島沖でぶつかる二つの海流、親潮と黒潮。
#実際にはぶつかる場所は季節変動がありますが、ここでは「福島沖」としていました。
親潮と黒潮は、水温も塩分濃度も酸素含有量も違います。
そのため、棲んでいる魚も全然違います。それを、2つの水槽を組み合わせて見せているのです。
そして、その水槽を一番よく眺められる位置に、お寿司屋さんがあります。
親潮と黒潮のぶつかる海域は良い漁場で、おいしい魚がたくさん捕れるのです。
だから、お寿司を食べることも水族館で学べる体験のうち。
こことは別に、もう一つレストランがあります。
こちらも、ただのレストランではなく、「魚を食べる」ということについての学習の場。
水産資源として利用可能な魚をまとめたパネルが、店内にあります。
赤信号のともる「食べてはならない絶滅危惧種」と、黄色信号の「食べても良い魚」、青信号の「積極的に食べてよい魚」に分かれている。
レストランで提供するのは、黄色と青の魚です。
ズワイガニのドリアとか、イカフリッター入りカレーとか。
お子様ランチにも、鯵つみれのナゲット等が入っている。
鯨のフライと鯨汁、なんていうセットメニューもありました。
(続く)
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アクアマリンふくしまの話の続きです。
本館に入ると、いきなり原始地球に生命が誕生する2分程度の映像が展示されています。
多くの人が、良く見ずに通り過ぎるのですが、シアノバクテリアの誕生から三葉虫の時代くらいまで。
そして、ストロマトライト(シアノバクテリアの化石)から展示が始まります。
これが地球最初期の生命の一つ。
初めて光合成を行い、大気中に有毒な「酸素」をまき散らし、他の生命のほとんどを絶滅に追いやりました。
地球史上最初の大規模環境破壊だ、という人もいます。
まぁ、酸素の毒性が強いのは非常に不安定だからで、それはエネルギーが得やすいということでもあります。
シアノバクテリア以降の生命は、この酸素を積極的に利用してエネルギーを得るようになっています。
そして、三葉虫、オパール化したアンモナイト、シーラカンスの化石…と、化石だらけの展示が続きます。
やがて、化石生物の「子孫」が現代にも生きていることを示すように、化石と生物の交互展示となります。
ごく初期の脊椎動物である無顎類(口を持つが、顎が無い生物)として、化石と共にヌタウナギが展示されます。
肺魚のように、しっかりしたヒレと水中でなくても呼吸できる肺をもつものが展示され、ヒレが完全に手足に進化したオオサンショウウオが展示されます。
進化順に、化石と現在の生物が示されつつ、いよいよ陸に上がる準備ができたところで、エレベーターで上の階へ…
このエレベーターは、長い時間を過ぎるタイムトンネル、のイメージのようです。壁にはいろいろな化石が展示され、最後は人間の頭がい骨が並んでいます。
ここから先は、先に書いた「福島の川」から始まる、比較的普通の水族館。
比較的、であって、あまり普通ではないのは先の説明の通りです。
特筆したいのは、パネル展示による学習スペースの中にあった「河童」の説明かな。
ホモサピエンス ヒト科 の、「カワガキ」である、と書かれたパネルがあります。
つまり、河童とは川で元気に遊ぶ子供である、ということ。絶滅危惧種。
ふざけて展示しているわけではなく、昔は当たり前だった川遊びが「危険だから」という理由で消えていくことを憂れいています。
危険極まりない銛を扱うことや、川に罠を仕掛けること、水の怖さを知ること…
危険だからこそ、責任を持たなくてはならない。水は怖いから、自分の身を守らなくてはならない。
そうした経験なく大人になった子供は、自分の身を守れませんし、他人も平気で傷つけます。
絶滅危惧種である「カワガキ」を増やすために、大人は協力しましょう、という呼びかけです。
素晴らしい。全く賛同します。
川に限らないけど、子供はいろいろな経験をすべき。
うちの場合、目の前に安全な川があるので、ドジョウ捕ったりしてますけどね。
さて、本館スペースは、バックヤードを案内するツアーもあります。1回30分程度で無料。
水族館は水をろ過する循環系などが必要なので、見えている面積の倍以上のバックヤードを持っている…というのは聞いたことがあるのですが、実際見せてもらったのは初めて。
水槽のまま魚を運ぶための、3トン載せられるエレベーターがありました。油圧式。
これに感心していると、魚を運ぶための水槽を見せられました。水を入れると重さ6トン。
エレベーターに乗らないじゃん、と思ったら、6トン水槽は屋上からクレーンで釣り上げるんだって。
屋上には、10トンクレーンが設置されていました。
先に書きましたが、展示の最期は福島の海底生物。
大水槽のトンネルの中に入っていくと海底に着く…という趣向になっています。
こういう部分も含め、ただ展示するだけではなくて「ストーリー」になっている。よく出来ています。
(続く)
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アクアマリンふくしまの話の続きです。
本館に隣接して、「アクアマリンえっぐ」という施設があります。
水族館は見るだけ、受動的だけど、「えっぐ」では子供に能動的に学習してもらおう、という施設。
1フロアだけですが、いくつかのゾーンがあり、テーマに従った展示をしています。
例えば、「海から陸へ」。
水辺付近に住む爬虫類や、湿った環境を好む虫など、さらには「空へ」飛び出した鳥などを、小さな箱に入れて多数展示しています。
中には光を嫌う生物もいる。外からでは観察しにくい。
箱の真ん中に頭を突っ込めるようになっていて、そうした生物が逃げ込んでいる部分を直接見られます。
…頭ツッコむと、マダガスカルゴキブリがうじゃうじゃいるんですけどね。
#エビ・カニのコーナーでは、同じ構造で岩陰に潜むエビを見られますし、ユーラシアカワウソも水の中に頭を突っ込む形で、泳いでいるところを見られます。
ここには、小さい子向けの塗り絵・点繋ぎ遊びのコーナーもあります。
我が家は次女・長女がこれに熱中。
でも、これだってちゃんと学習の役に立っている。
点繋ぎや塗り絵で出てくる絵柄は、すべてそこにいる、それほど普通には見られない生物。
スタッフの人も、「ここ何色?」と聞かれたら「あっちにいるから見てきてごらん」と返しています。
生き物に興味を持ってもらうための仕掛けの一つ。
えっぐ には中庭があって、「えっぐの森」と名付けられています。
特に何もない草原。そうげん、じゃなくて くさっぱら ね。どこにでもある空き地みたいなところ。
周囲には雑草が生えていますが、わざとそのように残しているようです。
土を積み重ねただけの山があったりする。
空き地があれば子供は工夫して遊び始めます。どうも、そういうことを狙ったスペースみたい。
雑草に囲まれた片隅に、いきなり鶏が飼われていたりしますが、これは地元特産の会津鶏。
さて、えっぐ の真骨頂は、屋外に作られた人工の砂浜でしょう。
元々は、磯の生物に触れあえる「タッチプール」を作っていたらしいのですが、そんな小さなものでは本当の体験はできない、と、砂浜にしてしまったのだそうです。
うちの子供たちも大喜びで遊びました。
…知っていれば着替えを持ってきて思い切り遊ばせたのですが、素足になってお尻を濡らさないように注意しながら遊ぶ程度。
どうも、イメージは「砂浜」ではなく、潮が取り残された潮だまりみたい。
時々、音を立てて水が入ってきますが、波はありません。
でも、生きている貝はいるし、時々魚も跳ねます。
お金を払えば釣りをすることもできますし、土日では釣った魚を子供が自分で調理することもできます。
魚を「かわいい」と言って見るだけでなく、殺して食べるところまで体験させる。
「カワガキを増やしたい」という途中の展示は、ちゃんと体験施設として実践されています。
片隅には身体を洗う水道もあるので、思いっきり汚して遊んでも大丈夫です。
(続く)
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アクアマリンふくしまの話の続きです。
砂浜の横にはビオトープ…虫などが暮らせるように作られた小さな沼があり「河童の里」と名付けられています。
どうも、アクアマリンの人は河童が好きなようだ。
この河童の里を通り、本館1階へと戻ります。
じつは、本館にはまだ展示物がある。
これが、アクアマリンふくしまの展示の締めくくり。
縄文の里を見て、カワウソを守るには多大な努力が必要と学びました。
地球生命の進化の歴史を学び、地域によって異なる、魚の多様性を学びました。
それらを殺して食べる、命の尊さも学びました。
磯遊びも体験しました。
そのうえで、最後の締めくくりは2つありました。
1つは金魚。
金魚は、多種多様なものが、類似した種類ごとに水槽に入れられて展示しています。
本当に美しい。特に説明はありませんが、すべて人間の手によって作り出された種です。
自然界では生きていけないであろう、過度に美しくなった魚たち。
本来生存競争によって進化するはずの魚が、人間の目を楽しませるために、人間によって異常進化した姿です。
そしてもう1つは、シーラカンス。
流石に生態展示は無理ですが、よく出来た模型…ロボットで少し動くものが、水槽に他の魚と一緒に入っています。
一瞬本物かと思うほどリアル。
シーラカンスは、進化せずに何万年も生き抜いてきた魚です。
進化していないからこそ、進化した他の魚に生存競争で負け、ごくわずかな海域でしか見つかっていない。
展示は以上で終わり。
最後の展示について、特に説明はありません。
でも、僕は「なにか」を感じずにはいられなかった。
進化しすぎた金魚は、人間の保護なしには生きられません。
一方、進化しなさ過ぎたシーラカンスは、生存競争に負けて数を減らしながらも、保護なしに何万年も生き残ってきました。
この二つは両極端ながら、簡単に絶滅してしまう儚い命である、という点では同じ。
進化の不思議さ、生命の不思議さを感じます。
生命の発生・進化からはじまり、生命の多様性。
それらを保護しなくてはならないと同時に、殺して食べなくてはならないこと。
絶滅した種は二度取り返せないこと。絶滅させないためには大きな努力が必要であること。
非常に壮大なテーマですが、アクアマリンでの展示を見ていると、素直に納得できます。
頭でわかっていただけだったことが、体験として体に入ってくる感じ。
…とはいえ、「頭ではわかっていた」のが前提。
多くの人が、細かな展示は横目で見るだけでさっさと通り過ぎていたし、それほど深く感じ入ってはいないのではないかな。
感じ入らないといけない、というわけではありません。
サンゴ礁の海の展示なんて、他の水族館とは全然違うのだけど、すごく美しい。それを見て美しいと感じるだけでも来る価値がある。
本気で見ていると、時間がいくらあっても足りません。
だから、横目で見て進む、だって悪いことじゃない。
パンフレットには、所要時間1時間半から3時間、とありました。
でも、我が家は朝10時に入って、閉館時間の5時半までキッチリ滞在したのに、時間が足りなくて見られないところ・体験できないところがあった。
縄文の里は出来たばかりで、見ごろになるのは10年後だと思います。
非常に遠いのだけど、5年たったらまた来てみたい。そんな水族館でした。
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JAMSTEC の所有する地球深部探査船「ちきゅう」を一般公開する、というので家族で見に行ってきた。
時々書いているけど、妻の友人に JAMSTEC 勤務の人がいるため、子供たち(と僕)は JAMSTEC 関連の話題にそれなりに詳しい。
でも、「ちきゅう」は、話としては知っているけど実際に何をやっているのか、などは全然しらない。
しんかい 6500とかは何度も実物見ているのだけどね。
「ちきゅう」は、地球の中がどうなっているのかを探るために、海の底に穴を開けて土壌サンプルを採取するための船。
海の上に浮かんでいる船から、深い海の底までパイプを伸ばし、さらにそのパイプからドリルを繰り出して穴を開ける。
この際、穴を開けるといってもただ掘るのではない。真ん中に一本、綺麗に「掘り残し」を作るように周囲だけを掘る。
そして、この掘り残しを海上に浮かぶ船まで、そのままの形で持ち上げる。
これによって研究者は「海底の地層」をそのまま手に入れられる。
海の底よりもさらに深いところまでパイプがつながっているわけだけど、内部にものをきれいに通すためにも、このパイプが僅かでもたわむことは許されない。
波や潮の流れがあるにも関わらず、ハイテク制御により船は微動だにしないように作られている。
とにかく最先端技術のかたまり。
なんで、わざわざそんなに掘りにくい海の底を掘るのか、と子供が疑問を持った。
話は簡単で、「地球の内部」を知りたいからだ。
山のてっぺんと海の底、どちらが地球の中心に近いだろう、と考えると船の意義は自然に見えてくる。
船は24時間体制で研究を続けていて、ほとんど寄港しない。
人員交代や物資補給はヘリコプターで行われる。
建造5年目に、定期点検で一度日本に戻ってきて、その時は神戸で見学会を行ったらしい。
今回は10年目の定期点検で、横浜で見学会が行われた。
見学会は予約制で、1時間ごとに区切られている。
うちは、22日の12時の回に予約を入れた。11時に受付開始だった。
さて、我が家から受付となる横浜みなとみらい地区の最寄り駅である桜木町まで、電車で30分ほどかかる。
家から駅までも 30分程度。桜木町から会場までも、歩いて 15分は見といたほうが良いだろう。
12時の回だと、子供がおなかすいたと言いそうなので先にご飯を食べていこう。
…などと考えると、9時には家を出たい。休みの日だとはいえ、平日とあまり変わらない朝のスケジュールとなった。
桜木町から日本丸の前を通り、汽車道を通ってワールドポーターズへ。
これ、1年半前にも通ったコースだ。
次女(6歳)に「プリキュア映画で出てたところ」といっても、あまり覚えていないようだ。
1年半前に、通る前と後で2回ビデオ見たのだけどな。
プリキュアに別に興味はない長男(11歳)は映画のシーンまでよく覚えているようで、あそこに誰がいた、みたいなことまで言っている。
ワールドポーターズに入ればなんかご飯食べられるだろ…と思ったら、まだ開店していなかった。
マクドナルドは8時から営業している、と書いてあったのでマクドナルドを探す。
探している間に音楽が鳴り始めてシャッターが開いた。
10時半営業開始らしい。
じゃぁ、マクドナルドよりもう少しいいもの食べよう、とフードコートへ。
いろんな店があるので各々好きなものを食べる。
食べ終わったら11時15分。あと15分で受付しなくちゃ。先を急ぐ。
受け付け会場がどこかよくわからなかったのだけど、すぐ見つかった。
受付のあと、実際の船までバスで輸送していた。この列が長くて、30分ほど。
子供たちをトイレに行かせておいたほうが良いだろう、と考え、目の前の赤レンガ倉庫にトイレを借りに行く。
妻が付いていき、僕はバス待ちの列へ。
バスに乗って20分程度、「ちきゅう」は本牧ふ頭の、普段は関係者以外立ち入り禁止の区域に停泊していた。
見た人は大きさに驚く…と散々言っていたのだけど、まずバスが遠くにいる段階で見えてしまったことで、そのような驚きはない。
小さく見える段階で姿を見てしまい、だんだん近づいても「予想できた大きさ」に見えるだけなので。
大きさは大体、8階建てのビルくらいを想像してもらうといいと思う。
ざらにある大きさ。特に大きい、という感じはない。
ただし、そのビルの屋上に、大きな櫓が立っている。掘削のためのパイプを下に送り出すための装置。
それでもまだ、高層ビルを考えると全然小さい。
大きいといっても想像を絶する大きさではないんだな…という感想。
でも、いざ船に乗る段になって気づく。
これ、ビルじゃない。しっかりした地面の上に立っているのではなく、水の上に浮いているんだ、と。
そう考えると、とんでもない大きさ。
船をよく知らないから大きく感じないだけで、船を知る人が見ればみんな「大きさに驚く」のだろう。
素人ゆえの勘違いで驚愕していないだけだったのだ。
ちきゅうは、最大乗員 200名だけど、常時 150人程度で運用しているそうだ。
船員が 50人、掘削技術者が 50人、研究者が 50人。
これが、2チームに分かれ、2交代制で 24時間働いている。
ということは、12時間労働。過酷な仕事環境だ。
ヘリコプターで乗船して、大体1か月滞在すると、ヘリコプターで下船する。
乗員が200人の船、というと、旅客船としてはそれほど大きくはない。
でも、この 200人が1か月暮らせる設備が整っていると考えると、ここは人口 200人規模の村なのだ。
その村が、8階建てのビルに収まり、水の上に浮いている。5年の定期検査の時くらいしか寄港しない。
SFのような世界だ。
「ちきゅう」に乗船しても、全然揺れない。
船が大きすぎて揺れにくいというのもあるし、そもそも微動だにしないための装置がつけられている船なのだ。
船内ツアーはコースに従って自分で見て回る形だったけど、基本的に研究設備部分の紹介だった。
地層サンプルは、10m 程のものが、1~3時間で掘れるそうだ。すごい速度。
そして、これが船上にあげられると、CT スキャンや超音波により、非破壊検査が行われる。
この非破壊検査の結果、「貴重な部分」を避けるような形で、1.5m 程度の長さに分断される。
長いままでは研究しにくいからね。
さらに、縦に真っ二つにスライスして、中身を直接観察できるようにする。
1.5m もある、泥も石も一緒に含まれるものを、形を崩さないように真っ二つにできるのだ。すごい技術だと思う。
その後の作業は必要に応じて違うようだ。
酸素を追い出して窒素を充填できるグローブボックスがあった。
映画なんかで見たことある人も多いと思うけど、ガラスの箱に、手を突っ込むグローブがついているやつね。
あれで、完全に外の環境と遮断した状態で、サンプルを操作できる。
というのも、深海のさらに海底の泥の中に生きる生命がいるのだとか。
そんなところでは酸素は届かない。酸素がなくても嫌気性細菌なら生きられる。
そして、嫌気性細菌にとって、酸素は猛毒だ。だから、殺さずに研究するためには、酸素を追い出せる環境が必要なのだ。
サンプル表面の写真撮影をできる特殊装置もあった。
1.5mの長い表面に密着する形で、細長い写真を撮影できる。
特筆すべきは、この「写真」が、人間が見るためのデータではない、ということだ。
RGB 分解するのではなく、連続スペクトルデータとして撮影を行える。
光の三原色って、人間の目がそういう仕組みになっている、というだけで、光の性質とは違うものだからね。
ここで使われている撮影装置は、人間の目では見えないものも含めて、完全なデータを記録するものなのだ。
同じように、X線を照射して蛍光を記録する撮影装置もあった。
サンプルの質量と密度を精密測定する機械もあった。
面白い、と思ったのが「電子天秤」。
重さと質量は違う。
たとえば、体重計に乗って体重を測るとする。
同じ体重計を使って北極点で測ったデータと、赤道上で測ったデータではわずかに重さが違う。
赤道上のほうが、遠心力によって重力が相殺されていて、体重が軽くなる。
(コップ1杯の水程度にも変わらないけど、厳密には軽くなる)
正確に測りたければ、天秤を使う。
10g の分銅と釣り合う試料は、北極点で測っても赤道で測っても、10g の分銅と釣り合う。
重力が変動するとき、その影響は分銅と試料の両方に現れるためだ。
このようにして、重力変動の影響を受けないように正確に測られた重さを、「質量」と呼ぶ。
さて、科学では質量が大切なので、今でも科学者は古臭い天秤ばかりを使う…と子供の頃に聞いていたし、今でもそうだと思っていた。
でも、ここには「電子天秤」というものがあった。
電子天秤と呼ばれるものは世の中にもあるのだけど、ここにあるのはそれを改造した特別なもの。
天秤と名前がついているように、やはりものを載せる場所が2つある。
というか、改造した精密な「はかり」を、2台コンピューターに接続してある。
でも、この2つで「釣り合うように」分銅を交換したりする手間は必要ない。
片方に質量のわかっている分銅などを載せ、その質量を電子天秤に「教えて」やると、もう片方に載せた資料の「質量」を教えてくれる。
片方をキャリブレーション用に使い、もう片方の値を計算で補正しているのだな。
詳しくは教えてもらわなかったけど、この「2台の秤」の個体差も時々キャリブレーションする必要があるのではないかと思う。
これも簡単で、全く同じものをそれぞれに載せて、重さが違うというような判定になってしまったら、計算で補正すればよい。
さて、様々な測定機器があったけど、電子天秤のようなものは、揺れる場所では使えない。
地上でも、わざと機器を重くしてあって、しっかり据え付けて使うようなものだ。
それが船の上で当たり前に使えるという。
これもまた、「ちきゅう」のすごさがわかるエピソードでもある。
見学順とは前後するが、操舵室も見学できた。
普通の船の操舵室は、レーダースクリーンが「波長別に」いくつか並んでいる。
でも、地球では1つの波長ごとに、2つのスクリーンがある。
というのも、船体中央に大きな「櫓」が立っているため、櫓が邪魔でレーダーの死角が生じてしまうため。
現代のレーダースクリーンは、ベクタースキャンの CRT ではなくて、パソコン画面上にデータをプロットしたものになっている。
じゃぁ、2枚を合成することだってできそうなものだけど、これはあえてやっていないのだろう。
合成すると「元データ」を加工することになるし、レーダーに一番求められる機能は、生のデータを提供することだから。
以前別の船を見たときにも感じたけど、レーダースクリーンを含むパソコン画面は、トラックボールで操作されるようになっている。
狭い制御パネルの中でマウスを動かすスペースは確保できないからね。
今回は違ったけど、以前見た船では Logicool のトラックボールとかそのまま使っていたな。
各種装置にもそのまま Intel Inside マークがついていたり、案外普通のものを組み合わせて作られている。
「船」というハードウェアはすごいけど、それを制御する部分は、信頼性が確保できるのであれば何でも構わないのだろう。
そうそう、船の中でハッピーハッキングキーボードが使われているのを見つけられたのも有意義でした。
見学時間はわずか1時間程度だったけど、なかなか興味深いものをたくさん見せていただきました。
下船後、仮設テントのお土産屋さんで、「ちきゅう」の来年版カレンダーを買って帰りました。
以前もらった普通ではないカレンダーとは違って、普通のカレンダーだったよー(笑)
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さて、先に書いた「ちきゅう」の一般公開が終わってみなとみらい地区に戻った時、まだ時間は2時過ぎだった。
「これで帰るの?」と子供たち。
帰りたいか、まだ遊びたいかと聞くと、まだ遊びたいとのこと。
じゃぁ、以前から興味あった場所に行ってみよう。
ランドマークタワーのすぐ横、「三菱みなとみらい技術館」。
ずっと前から存在は知っていて気になっていたのだけど、来たことがなかった。
ワールドポーターズからはちょっと遠い。
次女の足では歩くだけで疲れるだろうから、肩車。
歩いて15分くらいはあったかな。
三菱重工のビルがあって、その一角に技術館はあった。
こども科学館ではあるものの、企業科学館なので、企業技術の宣伝の色合いもある。
でも、ここは宣伝色が低めでよくできている、という評判を以前から聞いていた。
入館してすぐ、次世代交通システム「トラム」の運転シミュレーションがあった。
他にもこうしたシミュレーションは多数あったのだけど、大抵長蛇の列。今回は遊ぶ時間が短いのでパス。
その先に、ちょっとしたゲームコーナー。
真っ白のジオラマで作られた「街」に、プロジェクションマッピングで様々なものが映し出される。
ここに、トラックボールで操作可能な「カーソル」が表示され、様々なものを探すゲーム。
8人同時プレイ可能。
2つのシナリオがあるようだけど、とにかく街の電気供給バランスが崩れることが予測される。
そこで、街中の「発電システム」と「蓄電システム」、それに「節電可能なポイント」を探し出して調整していく。
ゲームプレイの前にはカーソルを動かして街の中の様々な「次世代技術」を見つける形のチュートリアルもある。
もちろん、すべてのシステムは、実際に三菱重工が手掛けている技術だ。
奥のスペースは JAMSTEC コーナー。
はからずも、また JAMSTEC 。しんかい 6500 がメインの展示。しんかい 6500 は三菱重工が作ったものだ。
「ちきゅう」の模型もおいてある。ちきゅうはあまりに大きいので数社で作っているけど、やはり三菱重工も参加しているらしい。
今計画中のしんかい 12000…または「スーパーしんかい」をイメージした操作シミュレーションもあったけど、これも先に書いたように長蛇の列。
シミュレーション系は1回のプレイ時間が長いので、並んでいる人数がそれほど多くなくても、なかなか順番が回ってこない。
しんかい 6500の組み立てゲームとか、ソナーを使って深海探検するゲームとか、ゲームも多数。
次女のお気に入りは、コンピューター画面で「ロボット深海魚」を自由に組み立てると、大スクリーンで泳ぎだすもの。
チームラボがやっていたようなやつを、もっと簡単にした感じ。
1階の別コーナーは、JAXA コーナー。
JAMSTEC と JAXA は、最近一緒にイベントを行ったりもしているけど、それぞれ深海と宇宙を研究する組織。
ライバル関係なのかな。協力できるところでは協力し、競うところでは競っている感じ。
で、三菱重工は JAXA のロケットなんかも作っている。
JAMSTEC と JAXA はライバルだけど、三菱重工の技術が両者を結び合わせているのかもしれない。
JAXA コーナーの片隅に、MRJ の操作シミュレーターも置いてあった。
三菱リージョナルジェット。
1965年の YS-11 以来、国産旅客機はなかったのだけど、現在作成中の新しい旅客機。
先日初飛行しました。
MRJ の開発には JAXA も協力しているのね。
その関係もあって JAXA コーナーの一角なのだろう。
2階は、予約が必要な実験コーナーと、「乗り物の歴史」「発電」コーナー。
汽車の時代、プロペラ軍用機の時代、戦艦の時代からいろいろ模型が並べてある。
もちろんすべて三菱の手掛けたもの。
てこや油圧ピストン、動滑車など「力と距離を交換する」仕組みについても、触って実験しながら学習できるようになっている。
先日長男に「動滑車」について聞かれて仕組みを説明したのだけど、実物を見て理解を深めたようだ。
発電に関しては、各種発電所の仕組みや、世界中でどこに存在しているかの一覧など。
洋上風力発電所が波で倒れないための工夫、みたいなものも模型でわかりやすく展示してある。
実験コーナーは予約してなかったので全く見てません。
5時閉館で、2時間程度しか見られなかったので、あわただしく見て回った。
子供たちはもっとゆっくり見たかった様子。また機会があったら来ましょう。
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長女が「どこか科学館行きたいー」という。
遊園地に連れてけ、とかいう話ではなく科学館というのが我が家らしい。
そういえば先日妻が「湘南台のこども館にまた行きたいね」とか言ってた。
あそこは科学館ではないが、似たようなものだ。行くか。
…と思って妻に相談したら、発言は別にすぐに行きたいというものではなくて、それほど遠くないうちに、程度の話だという。
今すぐであれば、国立科学博物館でやっている「江戸時代の天文学者」展を見たいという。
じゃぁ、そちらに行こう。
電車で上野まで。
到着は10時過ぎで、ちょっと小腹がすいたので上野公園の入り口にある休憩所、上野グリーンサロンで食事。
無料休憩所なのだけど、食事(もちろん有料)も提供している。値段は安めで、750円前後のものが多い。
次女は「パンダカレー」という、見た目がかわいらしいけど 800円のメニューを注文。家族の中で一番高い。
そして、食べきれないと残す。まぁ、いつものことなのだけど。
この店、いたるところにパンダのぬいぐるみやシールが配置され、子供は大喜びった。
科博へ。
前回来た時は、特別展目当てで、地球館を回ったら時間切れで終了となった。
今回は特別展がワインの話。…興味はあるが、特別展をまわっているとまた時間が無くなる。パス。
日本館の1階に、目当ての展示があった。広いかと思ったら1部屋だけで小さくまとまっていた。
時々書くけど、僕は小学生の時に「尊敬する人物」と聞かれて、周囲が「お父さん」とか「王貞治」とか答える中で、そんな誰もが知っている人じゃつまらないと思っていろいろ考えた挙句「伊能忠敬」と答えた。
その時は、江戸時代に日本地図を作った人、程度の認識で、尊敬する等ほど知っている人ではなかった。
でも、「そう言ってしまったから」その後調べて、今ではそれなりに知っている。
伊能忠敬もまた、天文学者の一人だ。
星の運行を調べ、星の観察によって地球上の「緯度」を調べられることを知り、緯度の1度がどの程度の距離になるのかを確かめようとして測量術を学んだ。
徒歩で歩数を数えることによる測量、縄やチェーンを使い距離を測る測量、歯車を組み合わせた車を地面の上で動かすことによる測量、山などの位置関係を調べることによる三角測量、星を観察することによる測量…などなど、複数技術を組み合わせ、それぞれの結果をその状況での信頼度を加味しながら組み合わせて、驚くほど正確な地図を作った。
伊能忠敬が浅草にあった天文所でこれらの技術を学んだ、ということは知っていたのだけど、僕は浅草の天文所がどのような所かは知らなかった。
今回は、浅草の天文所の様子を伝える貴重な紙資料、実際に残されている器具などの資料と共に、それらを元に再現したジオラマ模型の展示もあった。
そもそもは、渋川春海から始まっている…そうだ。今回の展示で初めて知った。
日本では、昔から中国大陸から伝わってきた情報をありがたがった。
無条件に、中国は日本よりも優れている、と考える傾向にあった。
渋川春海は江戸初期の天文学者で、800年前に中国から伝わり、使い続けられている暦がおかしいことに気づいた。
中国から入ってきたものをなんでもありがたがる、という風潮の中で、「疑った」ことが重要だ。
そして、自分でも天体観測を行い、暦が800年の間に2日分ずれていることを発見し、修正した暦を作り上げる。
ここに、日本独自の天体観測が始まる。
中国と日本では、地理的な違いから見える星にも違いがあるし、それらの「南中」時刻も異なる。
中国で観測されたデータは日本では使えない、ということが明らかになったため、天体観測の重要性が認識されたのだ。
将軍徳川吉宗も、江戸城の中に天文台を設置し、天体観測を行っている。
天体観測熱の高まりを受け、天体観測のための機器を製造し、販売する専門業者まで現れる。
専門業者がいる、ということは、名もない無名の天文家が多数いた、ということだ。
元々「暦が間違えている」ことに気づいて始まった天文観測は、最終的に正確な暦の策定をもたらした。
天保暦。現代では、「旧暦」と呼ばれているのがこれだ。
世界中で、およそ30日の単位を「ひと月」と呼ぶけど、月の満ち欠けの周期が30日程度のためだ。
現代の暦(グレゴリオ暦)では、地球が太陽を1周する期間を「1年」と定め、12か月に固定した日数を割り振っている。
太陽との位置関係のみで暦が決定され、最早「月」は、30日程度という周期に名残を残すのみになっている。
天保暦では、ちゃんと月の運行を元として暦が決められている。
そのため、朔日(月の初めの日)は、必ず新月の日。15日は満月になる。
1か月は、30日か29日。これは新月から次の新月までの間隔が、実際には 29.5日であるためだ。
1か月が30日足らずなので、1年間は360日よりも短くなる。これでは太陽の運行とずれてしまうので、数年おきに1か月増やして「閏月」を設ける。
…と、ここまでは実は天保暦以前でも行われていた。
天保暦が優れているのは、このルールを細かく定めたことだ。
太陽の位置関係を元に、1年を12に区切る。(実際には24節気のうち、1つ置きの12を使用する)
特に重要な、春分・夏至・秋分・冬至の日が属する月を、2月・5月・8月・11月とする。
先に書いたように、ひと月は新月の日から始まる。
上に書いた2・5・8・11の月の間が2か月づつであれば、素直に連番を割り振って暦が決まる。
でも、時折3か月入ってしまう時がある。
このときは、先に書いた「12の区切り」が入っていない月があるはずだ。
その月を「閏月」として、前の月の繰り返しとする。
たとえば、5月の次が閏月となった場合は、閏5月、と呼ばれる。
展示の最後には、自分で実際に暦を割り出せるコーナーがあった。
新月・満月と、24節気が示された2016年の新暦カレンダーが配布されていて、そこにルールに従って「旧暦」を書き込んでいけば完成する。
上手なのは、「上級編」として、来年、2017年のカレンダーも置いてあったこと。
天保歴では、2017年は閏年に当たるそうで、閏月の適用規則が必要となるため、少し処理が難しくなる。
ところで、天保歴は2033年に破たんする。
このことは今回の展示では触れられていなかったのだけど、面白いので書いておこう。
今でもカレンダーに旧暦を印刷してあることは多いので、ここ数年カレンダー業者の間で、2033年にどうするのかが問題視されている。
先に12の区切り、と書いたけど、これは太陽との位置関係によるものだ。
太陽との角度を均等に12分割して、区切りとしている。
ところで、地球は太陽の周りを「きれいに」回っているわけではない。
楕円軌道で回っていて、太陽に近いところは速く、遠いところはゆっくり動く。
それに対し、「月の形」の周期は一定で、29.5日になっている。これは、1か月の時間がほぼ一定ということだ。
これで何が起こるか。
タイミングによっては、1か月の間に、12の区切りが2つ入ってしまうことがある。
いや、これだけなら大丈夫。
先に書いたように、天保歴は2・5・8・11月を先に決めて、そのあとで間を埋めるようになっている。
これは、もともと1か月に区切りが2つ来る、というような問題を考慮して決められたルールだ。
しかし、2033年は、11月に2つの「区切り」が入ってしまう関係で、8月と11月の間に1か月しかなくなる。
いや、これでもまだ大丈夫。過去にもこういうことはあった。
例えば、8月と11月の間が1か月で、5月と8月の間が3か月であれば、8月を特別にずらせば解決する。
特に問題はない。
2033年がややこしいのは、この前後に閏月が入ってしまうためだ。
5月と8月の間が3か月で、8月と11月の間が1か月、そして11月と2月の間が3か月ある。
閏年なのだから、5月と8月の間か、11月と2月の間か、どちらかに閏月が挟まるのだろう。
どちらかが決まれば、8月と11月の間が1か月、というのも特別な処理で解決できるかもしれない。
でも、どちらが本当の閏月か、天保歴では決まらない。
200年近く使われてきた天保歴で、こんなことは初めてなのだ。
カレンダーの問題なので、国立天文台に決めてもらいたい、という要望もあるようだ。
しかし、国立天文台は「現代の」暦を決める業務は行っているが、すでに法的に廃止された旧暦に関する権限を持たない。
旧暦は勝手にカレンダー業者が印刷しているだけなので、カレンダー業者の組合などで決めてほしいという。
でも、カレンダーを印刷するような印刷業者は多数あり、それらは特に組合など作っていない。
結局、誰もが心配していて、誰もが決める権限を持っていない状態のままになっている。
まだ17年も先の話、とも思えるけど、「権限を誰が持つか、誰もが納得する方法で決める」という大事業を考えると、タイムリミットは近い。
また話は変わるのだけど、この日記につけた画像。
天体観測をするための、当時の精密な計時装置(時計ではない)の文字盤なのだけど、ちょっとおもしろいことがわかる。
漢数字で書かれているのに「0」が使われているのだ。
この計時装置自体は、元々科博の別の部屋に置いてあった覚えがある。今は企画展で、こちらに移しているのだろう。
以前見たときには気づかなかった。
明治になって、外国の文明と共にアラビア数字も入ってきた。
その際に、日本人は初めてゼロの概念を知った、ということになっている。
ゼロがないと位取りができないので、計算がややこしい。
江戸時代には和算という独特の計算方法が発達していた。
でも、この文字盤…写真は「1」単位の文字盤で、十単位で数が示してあるのだけど、最初が「0十」から始まっている。
十には達していないよ、と示すために、わざわざ「0」を使ったのだ。
まぁ、学者の多くは蘭学(オランダから入ってきた学問)を学んでいるのだから、一般人に先駆けてアラビア数字にも親しんでいただろう。
でも、漢数字に混ざってアラビア数字の「0」だけを使っている、ということが興味深い。
企画展の話だけで長くなりすぎたので、ここでいったん区切る。
続きは別ページに。
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企画展は、日本館の1階だった。
日本館は、どうやら一番上の階から下に下りながら見るようになっているようだ。
そうすると、日本の古代から始まって江戸時代までの暮らし、そして江戸以降花開いた日本独自の科学技術の歴史が見られるようになっている。
しかし、企画展を最初に見たので、向かいの部屋、科学技術の歴史を先に見る。
いや、非常に面白かった。
全体に4つに分かれている。
天文観測、顕微鏡、地震観測、計時技術だ。
いずれも、非常に面白かったけど、ここでは計時技術…つまりは、時計について書いておこう。
僕が一番好きな技術だから。
現代は、一日を均等に24分割して「時間」とする、定時法を使っている。
(古代は12分割していたそうですが、いつから24分割になったのか、僕は知らない)
日本では1日を12分割した。
このうち昼が6分割、夜が6分割だ。
昼と夜の長さは、季節によって異なる。
にもかかわらず、昼と夜を、それぞれ均等に分割する。季節によって分割の長さが変わることになる。
これが「不定時法」だ。
日が昇るのが「明け六つ」、日が沈むのが「暮れ六つ」。
太陽の南中時刻が「九つ」で、真夜中も「九つ」。
ここから、明けと暮れの六つに向かってカウントダウンする。
そのままカウントダウンを続け、三つの次がまた九つ。
なんで九つから始まるのか、なんでカウントダウンなのか、その理由は知らなかったけど、解説ボランティアの方に伺うことができた。
といっても、ボランティアの方もよくわかっていないようだったので、ここではさらに僕の知識を上乗せして解説する。
陰陽では、奇数を「陽」、偶数を「陰」とする。
この二つはバランスが大切であり、どちらが良い、という意味ではない。
と言いながら、陽のほうが良いものとされ、重視される。
奇数の数字は縁起の良いものとして、今でも数字が並ぶ日を祝う習慣がある。
一月一日、三月三日、五月五日、七月七日…
一桁の中で一番大きな「陽」数である九は、一番縁起の良い数字とされる。
今では祝わなくなってしまったのだが、九月九日を「重陽の節句」という。
さて、ボランティアの方は「重陽」を知らなかったようなのだが、江戸時代の人は縁起のいい数字として重視していた。
そこで、一日の重要な時間…南中時刻と、反対の真夜中を「九」に割り当てた。
そして、一時が進むたびに、9を足した。
「九つ」の次は「十八」で、続いて「二十七」「三十六」だ。
でも、どんどん数字が大きくなるのは使いにくいので、一の位だけを利用した。これだと、一見カウントダウンに見えるのだけど、実は縁起の良い9を重ねているのだ。
このボランティアの方、割り駒式の和時計の解説もしてくれた。
先に書いたように、季節ごとに時間の長さは変わる。でも、時計が季節ごとに進む速度が変わる、というのは難しい。
じゃぁ、時計の針は一日に一周するようにして、文字盤を調整すればいい。それが割り駒式だ。
数字が「駒」になっていて、自由に動かせる。
江戸時代の不定時法を理解するには、まずはわかりやすい解説。
でも、展示の多くは2丁天符式。
振り子時計では、振り子が正確に動くことを利用して時間を測る。
天符式では、長い棒を振り回すのには結構力がいる(力学的にいえば、モーメントが大きい)ことを利用して時間を測る。
この天符を、昼と夜で自動的に切り替えて、時間の進む速度を調整するのが2丁天符式だ。
ただ時計がたくさん収蔵されているだけで、ここら辺の解説は一切なし。
そもそも文字盤と針を動かす機構を省略して、錘(おもり)式時計の「錘」の位置によってのみ時刻を示す、尺時計というものもある。
毎日錘を上に引き上げる必要があるけど、これは錘式なら当然やらねばならないこと。
普通の錘式との違いは、引き上げる際に正確な位置に合わせる必要がある、という手間で、大幅に機械を簡略化している。
「正確な不定時法への挑戦」という、一見して矛盾しているような解説もあった。
江戸末期、技術が進んで、西洋よりややこしい、不定時報を採用した時計が次々作られている。
そのあと、明治になって定時法が導入されます。
定時法で作られた柱時計(しばらく前に理科ハウスで見たのとほぼ同じ奴)や、懐中時計などが多数展示されます。
最期はセイコークオーツの1号機で締めくくられています。
1秒を正確に測る方法として、振り子や天符が使われてきた中で、「水晶発振子」によって正確性を飛躍的に高めた時計ですね。
でも、ここら辺も解説一切なし。せっかく面白いものが多数あるのにもったいない。
でも、科博の展示って、基本的にすべてそんな感じ。
国の最高機関としての科学博物館だから、わかっている人への資料性が高く、わからない人への解説はしないのですね。
この後、上の階に登りながら展示を見て回ります。
時代的には、どんどん古代の日本に遡っていく形。
途中で長女がおなかすいた、と言います。
でも、もうちょっと見たら全部だから、そしたらご飯食べよう…と言いながら引っ張る。
全部見終わったら3時前。。
地球館のレストランに行きます。
長男はマカロニグラタンを頼んだけど、ほかはみんなケーキ。
地球館は前回来た時にみっちり見たのですが、まだ時間があるので少しだけ回ります。
骨の標本などが多数ある区域、前回は次女が怖がって近寄れなかった。今回は大丈夫。
#まだ、人骨標本は怖くて嫌い。
動物は大丈夫になった。
チビトガリネズミをはじめとする、非常に小さな剥製標本が並べてあるコーナーがありました。
ちいさい、かわいい、と長女も次女も喜びます。
ふと後ろを見ると、アフリカゾウやキリンの骨格が後ろにあります。
あー、なるほど。一番大きな生物と、一番小さな生物なのか、と理解して、子供に説明します。
チビトガリネズミは、ほ乳類最小の生き物です。そして、アフリカゾウは地上最大のほ乳類。
大きさ全然違うねー、と解説しながら、あれ? この流れはもしや…と、周囲を見回す。
ありました。頭の上に、天井からつりさげられた、シロナガスクジラの骨格標本。
世界最大のほ乳類です。象よりもはるかに大きなサイズに、長男も「大きさのスケールが違う」と驚く。
なかなか良い展示方法です。
相変わらず、説明はあまりないのだけどね。
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科学館が閉館時間になったのだけど、せっかくだから上野公園を歩いてみます。
動物園の前まで行って、こっちはまた今度来ようね…と言う程度のつもりだった。
そしたら、何やら楽し気な明かりが見えます。次女があれなに? と気にしています。
僕も知らなかったので近寄ってみたら、上野こども遊園地でした。
上野動物園には何度か来ているし、上野こども遊園地は1946年から営業している、ということだけど、今まで気づかなかった。
#子供がいないときは、僕がこうしたものに興味なかったので見落としていたのでしょう。
非常に狭いところに、古い遊園地の遊具を押し込めたような、昭和の屋上遊園地を5倍濃縮したようなスペース。
次女が、空飛ぶ象の乗り物に乗りたがります。
実は、先日ディズニーランドに行ったときに、時間の都合でダンボに乗れなかったのです。
乗れなかったのを残念がっていたので、これでよければ乗りましょう。
1人百円。長女も載るというので、僕と合わせて300円。
これで満足してくれるなら安いものです。
周囲には、デパートのゲームセンターなどにも置かれることのある、子供ライドものが多数ありました。
わくわくマリンとわくわくトーマスもあったよ。
(マリンは故障中で画面消えてたけど)
さぁ、暗いしもう帰ろうか…と駅に向かう最中、大噴水が動いているのを発見。
子供たちが慌てて駆け寄りますが、ちょうど終わるところでした。
そしたら「もう一度動いているのを見たい」とその場で待つことに。
えー、いつ動くかわからないし、寒いから帰ろうよ、といっても、子供は見る気十分。
無駄に噴水の周囲を走り回って「寒くない」と言っています。
妻が愛用の一眼レフで、夜景などをとっています。さすがにいいカメラではとれる。
じゃぁ、僕も…と honor 6 で夜景モードを試してみる。
持ち運べる小型の三脚しかないのでアングルに制約が出るのですが、暗い中でそれなりに綺麗に撮れています。
携帯のカメラとしては十分な感じ。
どのくらい待ったのだろう…まぁ、30分は待っていないと思いますが、また動き出しました。
しばらく見て、子供がやっと満足しました。
これでやっと終了。
子供と約束したから、今度は動物園に来ないとな…
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鎌倉ハムの工場が家からそう遠くないところにある。
車で出かけるときなど、時々近くを通るのだけど、半年ほど前には工事をしていた。
そのころから、完成したら工場見学ができるようになるということは知っていた。
完成したのは2か月ほど前。
見学に行こうと思ったけど、夏休みになったら「ソーセージ作り体験」を実施すると知ったので、申し込んで待っていた。
そして、やっとその日が来たので、ソーセージ作りと工場見学を楽しんできた。
料理は好きなので、もう20年くらい前に自分でソーセージを作ったことがある。
ぼそぼそとした、それほどうまくないソーセージができた。
「肉を冷やし続けないとぼそぼそになる」ということは読んでいたのだけど、どの程度冷やすのかわからない。
よく練らないといけない、ともあって、練っている間に温まってしまったようだ。
氷を入れることもあるけど、水っぽくもなるという。
冷えた牛乳を代わりに使うと水っぽくならない、ともいう。
その時は牛乳を入れてみたのだけど、冷やす力を考えると氷を入れるべきだったか、とか、よくわからなくて、ある程度は道具を買って挑んだのだけど、再挑戦しないままに道具も捨ててしまった。
#道具と言っても、腸に肉を詰めるための絞り出し袋と、特殊な口金だけ。
さて、ソーセージ作り体験。
「行ってみたい」と思っている人のために、鎌倉ハムのページではわからないことを書いておこう。
エプロンと三角布が必要、と書いてあるけど、ようは衛生的な格好で、という意味。
うちの子供は、給食当番の時の白衣と帽子を持って行ってみた。それでいい、とのこと。
持って行かなかった場合も、使い捨ての帽子とエプロンを借りられるのだけど、エプロンは大人サイズ。
小学生の子供には大きすぎるようで、みんな苦労していた。
(使い捨てなので、裾の部分は切ってしまう形になる。
また、これは体験教室を始めたばかりだから準備不足なのだと思っている。きっとそのうち子供用も用意される)
工場内は撮影不可なのだけど、体験教室は撮影可。
ただし、衛生に気を使うため、撮影機材などを触った後、調理する際は再度手を洗うこと。
#調理後に撮影したければ、また手を洗う必要があるので、何度も手洗いすることになる。
材料は1セットで2~4人分、となっているのだけど、肉を詰めるための機材に、4回半分程度の肉があるため。
皆均等に体験したければ4人までが適正なのだろう。
だけど、今回は5人で1セットで申し込んだ。子供と妻を優先して体験させ、僕は最後に余った分を詰めた。
#撮影係をやりたかったこともあるし、先に書いたように自分で作ったことはあるから。
作るのはボイルドソーセージ。燻製にはせず、ゆでて仕上げるタイプ。
燻製にしないので、煙の臭いが付かない。逆にいえば、材料に入れた香辛料の香りを楽しめる。
そこで、ノーマル、レモン、チョリソーの3種類の香辛料があり、選べるようになっていた。
ノーマルじゃ面白くないし、子供がいるならチョリソーは避けたいしで、レモンが一番人気。
肉は「よく練る」必要があるし、僕が以前に自分で作った時はその間に温度が上がってしまって失敗したようなのだけど、練済みの肉が冷蔵庫で良く冷やされた状態で提供される。
香辛料を混ぜ、腸に肉を詰める部分のみを体験する形なので、肉が温まる心配はない。
…そうか。練ってからもう一度冷やせばよかったのか。
以前に作った時は「温まると失敗するので氷などを入れながら」と書いてあったのだけど、途中で冷蔵庫に入れるとは書いてなかった。
気付いてしまえば単純な話。
肉に香辛料をよく混ぜたら、肉を押し出す銃のような器具を使って、羊腸に肉を詰め込んでいくだけ。
成形の方法は、その場で教えてくれるし、難しくない。
というわけで、ほどなくソーセージが出来上がる。
全員のソーセージを、タグ付きのひもを通して束ねて完成。
完成後は、記念撮影がある。作ったグループで、ソーセージを持って1枚。
後で記念品のポストカードに印刷してもらえる。
カメラがあるなら、渡せばそのカメラでも撮ってくれる。
使った器具は洗って返却。
ほとんどのグループでお母さんが洗っていたのだけど、うちは子供たちが「洗いたい」と言い出したので、最後に教室を出る形になった。
ボイルが終わるまで、展示見学。
鎌倉ハムの歴史などを説明した展示室がある。大体知っていたのだけど、自分の知識が間違っている部分などもあるようだ。
「鎌倉ハム」を名乗る工場などは、日本全国にもある。
鎌倉ハムというのは会社名ではなく、ブランド名でもなく、「製法」に着いた名前だから。
鎌倉でハム事業が起こったのが関東大震災前。
ここで学び、のれん分けした人々が被災し、全国各地に疎開したために全国に鎌倉ハムが広まった、と聞いたことがある。
展示によると、ハム事業を起こした外国人は、その製法を極秘として誰にも教えなかった。
しかし、関東大震災の際に周囲の日本人に助けられ、その心に感動して徐々に秘密を開示するようになった、とのことだった。
多分、どっちかが間違えているというような単純な話ではなく、製法を聞いてから、親戚などの家に疎開したものだっているのだろう。
「疎開」と言ったって、震災後すぐに行く人ばかりではなく、1~2年頑張ってから、どうしても生活が立ちいかずに避難、という人だっているだろうから。
現在も鎌倉に残る鎌倉ハム製造業者は「富岡ハム」だけなのだけど、戦後米が不足している折に、大船駅で代用駅弁として「ハムサンドイッチ」を売り出している。
当時はまだハムは高価なものだったけど、これによって一般にハムのおいしさが知られて普及した、と聞いていた。
でも、実際には「ハムサンドイッチ」の発売が先で、その時は高価な輸入ハムを使っていたそうだ。
翌年、ハムを自前で作るために富岡ハムが創業される。
大船駅で駅弁を売っている大船軒と、富岡ハムは創業者が同じだ。
当時の富豪がそうであったように、地域一帯の発展のためにずいぶん私財を投入している。
その関係で、大船駅に駅弁を、と言うときにもいち早く声がかかったようだし、それがきっかけとなってハム工場の設立もしたのだろう。
見学していたら、ボイルが終わったので試食にどうぞ、と言われた。
各自のグループで作ったソーセージの中から、小さめのものを適当に人数分、皿に取り分けてくれた。
作った時点で「これは僕が作った奴」とか、目印になるものを覚えていたのだけど、すでにバラバラになっていて誰のものかわからず。
しかし、作り立てのソーセージは本当にうまかった。
「温め直す」のではこのおいしさが出せないから、手作り体験した人にはぜひ食べてほしくて出来立てを出しているのだそうだ。
残るソーセージは、氷で急冷され、お持ち帰り用に。
アツアツのソーセージを、持って帰れる温度まで冷やすので、また少し時間がかかる。
展示室に戻って展示の続きを見る。
その後、冷えたソーセージを自分たちでビニール袋に入れ、密閉してもらう。
単に密閉しただけで真空引きなどはしていないし、賞味期限は3日だそうだ。
袋は大きく、ソーセージは1袋に入る程度の分量なのだけど、密閉されるので食べるときのことを考えて分けるといいでしょう。
うちは大体半分づつに分けました。
ゆで直してしまうと味が逃げるので、フライパンに少量のお湯を入れて蒸し焼きにするのがお勧めだそうです。
この日の夜に半分食べました。
お土産の写真をポストカードに印刷したものももらい、終了。
この後、折角なので工場見学に。
でも、工場見られるのはほんの少しだけ。説明などがあるのだけど、この説明はソーセージ体験教室をやった人は、すでに知っているもの。
スライスハムを作る工場で、結構な割合で「製品にならない規格外品」が出ていた。
あれ、おそらくは大船祭りや、鎌倉オクトーバーフェストで提供されるのだろう。
「規格外品」だけど味は変わらないハム・ソーセージを屋台で安く提供するのが、毎回大人気です。
余談。
今回作ったものは、羊腸に詰めている。ウィンナーソーセージ。
豚の腸に詰めると、フランクフルトソーセージ。
牛の腸だとボロニアソーセージ。
「ウィーンはサウンド・オブ・ミュージックの舞台になったあたりの街。
フランクフルトは、ハイジの中でクララの暮らしていた街」
と説明。
#サウンド・オブ・ミュージックの舞台は、実際にはザルツブルグなのだけど、子供向けの説明なので「そのあたり」で。
そしたら「ボロニアは?」と聞かれたのだけど、ボローニャを舞台とした、子供でも知っている有名なお話ってあったかな?
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JAXA へ行った。
相模原のJAXAが一般公開していたので、子供と遊びに行ってきた。
実は、数年前に子供と一緒に行ったことがある。
その時は公開日ではなくて、過去の衛星の模型などを見られる展示室が1つあっただけ。
一般公開日となると、やはり規模が違った。
マッハ4の風を吹かせられる大型風洞実験や、電波ノイズを完全になくしてしまう電波暗室など、大掛かりな設備も公開される。
いろいろと面白いものを見られたのだけど、全部書いているととりとめがないので、ざっと気になったものだけ記しておこう。
裏門側に駐車場があり、そちらから入ったので、メイン展示である「正門側」は最後に行った。
その都合で、地味な研究を細かく見ていて、普通は見た人が喜ぶようなハヤブサの模型とかは、疲れていてどうでもよくなっている。
なので、心に残ったのは「研究」が中心だ。
まず、宇宙太陽光発電衛星の話。
まぁ、SFでおなじみ。ジオラマなどを使って概念説明をしたり、実際にマイクロ波で離れた場所にある LED をつけて見せたり。
ここら辺は以前から度々見たことあるのね。
でも、どこにでもある普通のトランシーバーで、模型自動車を走らせるのは興味深かった。
子供たちは、ラジコンとの違いが分かっていない。
ラジコンは電池を模型に搭載し、電波で「操作するための信号」を送る。
でも、この模型は信号は送ってないから真っすぐしか走れない。
電池がないのに、走ることができる。
トランシーバーの電波は、どこにいるかわからない相手に届けるために、四方八方に飛んでいく。
それだけパワーが分散するので、距離が離れるとあっという間に受けられる電力が減ってしまう。
(実際、模型自動車はトランシーバーを近づけると速くなる)
宇宙発電では、できるだけ減衰しないように、特定方向に向けて電波を飛ばす。
…と、ここまで説明してやっと「おー、すげー」って長男が納得した。
進化したテクノロジーは魔法と変わらない、とはアーサーCクラークの言葉。
裏を返せば、「なんかすごそう」と思っていても、何がすごいのかわからない。
ある程度理解して、やっとそのすごさが伝わる。
小型レーダー人工衛星を開発中のグループ。
CCD カメラが小さく安くなり、画像で地球を監視できる衛星は非常に増えた。
でも、可視光は自然の影響を強く受ける。夜では写らないし、曇っていても地上が写らない。
災害が起きたとして、その災害現場の状況を速やかに知りたいとき、「曇っているからダメです」では役に立たない。
そこで活躍するのがレーダー衛星。雲や雨でも地上の様子を知ることができる。
しかし、分解能の高いレーダーを搭載した衛星を作ろうと思うと、今までは 1000Kg級になってしまっていたらしい。
そんなに重いと打ち上げるのもお金がかかるし、衛星自体の開発にもお金がかかる。
そこで、100kg 級で高解像度レーダー衛星を作ろうと頑張っていて、2020年ごろの打ち上げを目指しているらしい。
レーダーでどの程度の画像が得られるのかと聞いたら、分解能 1m 程度で、10km 四方くらいの「写真」が撮れるそうだ。
レーダーって、パラボラみたいな指向性の強いアンテナを動かしながら「スキャン」していくイメージがあるのだけど、強い電波を照射し、帰ってきた電波を小さなアンテナの集合体で受けることで、写真のように画像を得られるらしい。
ハイブリッドロケットの開発。
ロケットを宇宙に飛ばすには、燃料だけでなく「酸素」が必要になる。
よく使われているのは、冷やして液体にした酸素と、液体燃料を混ぜて燃やす方式だ。
これを液体・液体方式と呼ぼう。燃料漏れなどがあると、液体であるがゆえに食い止めることができず、爆発するという危険性がある。
扱いにくいのであまり使われず、日本のお家芸となっているのが、固体燃料と、固体の酸化剤を使う固体・固体方式だ。
あらかじめ混ぜてロケットの中に詰め込んである。酸化剤は酸素化合物なのだけど、熱を加えると還元されて酸素を放出する。
その酸素と燃料が結合して燃焼する。
反応が始まると止められず、爆発するという危険性がある。
これらの方式の危険性をなくすために、ロケットエンジン内に固体燃料を詰めて置き、液体の酸化剤を少しづつ振りかけながら燃やす、という方法が研究されているそうだ。
固体・液体方式。「ハイブリッド」と呼ばれている。
海外の例で、この方式で研究中のロケットが事故を起こした例があるそうだ。
エンジンは燃焼を停止し、地上に落下。パイロットは脱出し、怪我はしたが命に別状はないという。
平面指向性アンテナ。
最初の方に書いたけど、電波が四方八方に飛ぶと力を失う。地球から遠く離れたところに電波を送るには、指向性を高めたい。
パラボラアンテナなんかがよく使われるのだけど、これは繊細なものだし、微妙な湾曲があるので、ロケットにコンパクトに詰め込みにくい。
そこで、最近の人工衛星では平面で指向性を持ったアンテナが使われることが多い。
…と、ここまでは知っていた。
実際には、平面にして強度を保つため、ハニカムを金属板で挟んだ構造にしたりしているらしい。
また、パラボラを使わないのは、単にコンパクトにしづらいから、ではないそうだ。
パラボラが太陽に向いてしまうと、光が焦点である「アンテナ」に集中してしまい、すごい熱を発生する。
宇宙では空気がないため、熱を空冷することもできず、熱をどう逃がすかは重要課題だ。
パラボラはこの面でも、使うのが難しいようだ。
その「熱を逃がす」話では、ヒートパイプと、同じ太さの様々な金属の棒を持って、氷水に突っ込むという実験が大人気だった。
あまりに人が並んでいたのでやらなかったのだけど。
ヒートパイプは、銅などで作ったパイプの中に金属などで編まれた「リボン」を入れ、少しの液体を入れ、気圧を下げて密閉したもの。
一部のハイスペックなパソコンなどでも使われているので、原理を知っている人も少なからずいるだろう。
気圧が低いので、液体は蒸発しやすい。
ちょっと熱を持ったところがあると、蒸発して気化熱を奪う。
そして、冷えたところでは結露して凝集熱を放出する。
液体に戻ると、リボンに吸収され、毛細管現象ですぐに全体に広がり、乾いてしまった「熱いところ」に移動する。
気体分子は、邪魔をするものがなければ音速で移動する。
なので、ヒートパイプは音速で熱を伝えることができる。
これは、どんな金属で作られたヒートシンクよりも熱伝導が速い。
JAXAではなく、国分寺市の特設ブース。
日本初のロケット、ペンシルロケットの実験を行ったのが国分寺市だったそうだ。
ペンシルロケットの実験話は知っていたけど、場所までは記憶になかった。
その「実物」のうち1つが市に寄贈されているそうで、実物展示してた。
実物は、後部の羽根以外失われているため、欠損部分は木で作ってある。
市報で「ペンシルロケットと私」という、いろいろな人にインタビューした記事が載っていて、連載第1回~4回までのコピーと、最新版である第8回の載った市報が配布されていた。
5~7回も置いてあった形跡はるのだけど、もらいに行った時点で無かった。
人によって書いてあることの面白さは全然違うのだけど、だからこそ読んでみたかった。
中庭休憩スペースは、銀河連邦の他の国からの出店でいっぱいだった。
…銀河連邦は、JAXA の施設がある町で構成している…まぁ、お遊びだな。
実質的には姉妹都市提携しているのだけど、本来の名前ではなくそれぞれの市が「共和国」を名乗り、全体で連邦としている。
それぞれの特産品の屋台を出していた。
そして、それとは別にリポビタンDのブース。
JAXA といえば…というか、「はやぶさ」といえばリポビタンDだからね。
ブースの前にいくと、スタッフの人が「ファイトー」と声をかけるので「いっぱーつ」と返せば、無料で1本もらえる。
栄養ドリンクは子供が飲んじゃいけないんじゃ…とおもったら、リポビタンD Kids という商品があるそうで、それをいただいた。
次女は「美味しいからもう一本もらいたい」と言っていたのだけど、薬だから用法用量を守りましょう。
宇宙ヨット(と言っていいのか?)のイカロス、ペーパークラフトになっていた。
単にペーパークラフトが作れる、というのではなくて、あの独特の帆の畳み方を学習してもらうためのもの。
次女が作りたい、というので、順番待ちを並ぶ。
数人しか並んでいなかったのですぐに順番が来るだろう…と思ったのだけど、その場でペーパークラフトを作るので、一人当たり5分くらいかかる。列が全然進まない。
やっと順番が来たころ、長蛇の列になっていたので「家で作りたい方、紙だけお持ち帰りできますよー」とスタッフの方が配布し始めた。
なんだ、そんなのあるなら、それでよかったのに。
イカロスの仕組み展示。
イカロスは、太陽の光を受け、その光の圧力で移動することができる。
ここまでは知っていた。
その姿勢制御は、液晶を使っている。
液晶を透明にすると、帆に直接光が当たり、強い力となる。
液晶を半透明にすると、光は乱反射し、力は弱まる。
これで、エンジンを使わずに姿勢制御ができる。
よく考えたなー、という感じ。
そういえば、SoftBank のペッパーいました。
会話できるようにはなってなくて、一方的に研究内容の説明していただけだけど。
よくできたロボットではあるけど、ハードウェアとして使われていただけで、自慢の人工知能は見られず残念。
…と、思いつくままに書いたのだけどこんな感じかな。
なかなか楽しめました。
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夏休みは過ぎてしまったのだけど、子供との約束を一つはたしていなかった。
夏休み前に、家族で特に理由もなく鎌倉まで自転車で行ってみた。
このときに由比ガ浜の端っこの方に貝殻がたくさん打ち寄せられていて、長女がたくさん宝貝を拾った。
ちょうどその少し前に、別の場所で「マンカラ」というボードゲームを遊んだ。
世界最古のゲームと呼ばれるものの一つで、駒としての小石がいくつかあれば遊べる。
でも、遊んだものはたまたま、駒として宝貝を使っていた。
ただこれだけの理由で、長女は「宝貝をたくさん集めて、自分でゲームを作る」と言っていた。
しかし、駒は50個くらいは必要なんだよね。このときは、そんなに集まっていなかった。
それで、夏休み中にまた貝を拾いに行きたい、と言っていたのだけど、今年の8月後半は週末が来るたびに台風が近づいてきたため、海に行けずじまいだった。
そんなわけで、海に行ってみることにするのだけど、海に行くなら行ってみたいところがあった。
いつも我が家が海遊びに行くときは、材木座か由比ガ浜あたりだ。
その間に稲村ケ崎があるのだけど、稲村ケ崎ってサザンの映画の舞台になったりして、あこがれている観光客が結構多いのね。
駐車場とかいつも混んでいるので避けていたのだけど、最近「稲村ケ崎には砂鉄が多い」という話をきいた。
源頼朝が鎌倉に幕府を開いた理由は、海と山に囲まれているために自然の要塞となっているから、と言われる。
でも、武士は当然のことながら剣を必要とする。
稲村ケ崎で砂鉄が取れるから、というのも、鎌倉を選んだ大きな理由の一つだと考えられているそうだ。
この話をきいてから、確かめて見たくて仕方がなかった。
と同時に、当時の人はどのようにして砂浜の砂から砂鉄を選別していたのだろう、とも思っていた。
磁石があれば簡単に砂鉄を集められるけど、当時は磁石というのは貴重品で、宝石のような価値があったはずだ。
重さが明らかに違うから、砂金を水で選別するように、砂鉄も水で選別したのではないだろうか、と妻は推測した。
砂浜だから、水はいくらでも使える。
なるほど、これはあり得そうな説だ、と思っていた。
稲村ケ崎。
鎌倉海浜公園の前に駐車場があるのでそこに車を止め、公園から海岸に降りる。
降りるとまず岩なのね。砂浜ではない。
すごく大きな見事な岩で、ところどころに地層がある。
全体に層の見えない泥岩なので、層が見えるところは何か天変地異があったのだろう。
思っていたのと違う風景で、長男はここで砂遊びを始めた。
次女も長男と一緒に砂を掘り、水を流し込んで遊んでいる。
まずはそのあたりの波から離れた奥の方へ。
磁石で砂鉄を集めるにも、濡れていてはやりにくいからだ。
ここら辺の砂は黒い。鉄分が多いことが予想される。
…と、磁石を近づけると、砂がごっそりと磁石にくっついた。
砂の中から砂鉄がどれほどとれるのだろう、と思っていたのだけど、ほとんどが砂鉄のようだ。
小さな川が流れているので、その川を超える。
そちら側の砂はさらに黒く…単に黒いのではなく、青黒かった。
砂がサラサラではなく、くっついて小さな塊を作っている。
磁石を近づけると、塊ごとくっついてしまう。力をかけて潰すとサラサラに崩れ落ちる。
これ、なんか知っているぞ…
使い捨てカイロで、発熱する際にあまり振らずにほおっておくと、内部で塊ができるやつだ。
砂鉄が何らかの現象で同じような塊を作っているのだろう。
波打ち際は、白と黒の砂が混ざっていて、水の流れで筋ができている。
どうもこれは、2種類の岩石でできている砂で、比重の違いで波で模様を作るようだ。
そして、波から遠く離れたあたりに砂鉄が寄せ集められている。
重いために、波の力でより奥まで届くのだろう。
妻が想像した、水で選別できるのではないか、というのは半分当たりだったというべきだろうが、人が選別する以前に、自然に選別されている。
砂鉄を採取したければただ掘ればよいだけで、選別の必要なんてない。
これは、鎌倉時代には宝の山だったのだろう。
砂鉄から鋼鉄(玉鋼、と呼ばれる)を作るたたら製鉄では、非常に高い温度を維持するために精錬が難しい。
しかし、鎌倉の砂鉄は一般に考えられる製鉄方法よりも、温度が低い方が純度が高くなることが確かめられている。
確かめたのは、鎌倉高校の科学研究会で、この研究で県知事賞を受賞している。
たたら製鉄の方法だと、純度の低い部分と高い部分が同時に出来上がり、純度の高い部分だけを使って刀剣を作る。
じゃぁ純度の低い部分は無駄かと言えばそんなことはなくて、農具などを作るのに十分活用された。
もっと言えば、当時は普段は農民で、戦の時だけ刀を持つ農民兵もいた。
そういう人なんかは本職の武士よりも、質の悪い刀でも十分だったのではないかと思う。
さて、ある程度砂鉄を採取して気が済んだので、次女と一緒に海辺散歩。
長男は相変わらず波打ち際で遊んでいるので、妻が近くについていてくれた。
数百メートル歩いただけだけど、何も打ち寄せられない場所、小石ばかり打ち寄せられている場所、なぜか海藻だらけの場所、貝がたくさんの場所…と、波打ち際と簡単に言っても、いろいろな表情を見せてくれる。
数キロ離れれば全然違う海岸、というのはわかっていたけど、ほんの数メートル単位で環境が変わることには驚き。
海の底の地形とか関係しているのだろうなぁ。
もちろん、砂鉄の割合もずいぶん違う。
最初に採取したあたりが一番砂鉄が溜まっていたようだ。
角に当たる部分だったのでたまりやすい、というのもあるのだろう。
この日は、2時間程度遊んだだけで終わり。
また台風が来ていて、午後から雨が降ると天気予報で言っていたのでね。
台風はまだまだ遠いけど、台風が近づいている時に海にいてはいけない。
砂鉄入りのスライムを作りたい、と長女が言ったので、帰りに PVA 糊を買って帰った。
スライム作る予定で以前ホウ砂を買ったのだけど、PVA がなくてそのままになっていたんだよね。
とはいえ、この日は帰宅したら疲れてお昼寝してしまった。…僕が。
なのでまだスライムは作っていない。
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家族旅行で、ユネッサンに行ってきました。
旅行記は後で書くとして、興味を持ち、行きたい人向けの情報を先にまとめておきます。
なお、我が家は以前に「スパリゾートハワイアンズ」に行ったことがあります。
また行きたい、という子供に対し、近場で似た場所として行ってみた形。
先に結果を書いておけば、類似施設ではあるけど、全然違う楽しみ方です。
ハワイアンズは規模が大きくて、プール、風呂、フラダンスの見学など、2日間たっぷり楽しめる。
でも、関東に住んでいると行くのも大変。
ユネッサンは関東なら日帰りもできる距離で気軽ですが、基本的に「温泉での水遊び」だけです。
ただ、温泉ならではのパフォーマンスが行われていて、見学ではなく参加型。これがすごく面白い。
3時間では時間が足りないけど、6時間滞在すれば十分かな。
旅行時の情報を書いておきましょう。
我が家は家族5人。子供は、小学校6年生、3年生、1年生の3人です。
訪れた日は大雨警報の出る荒天で、気温も低く、水着で外に出ているのは寒い状態でした。
神奈川県内から車で訪問しています。
ユネッサンは本来ホテルの一部としての施設で、宿泊するとお得になるシステムもありますが、今回はユネッサンのみの利用です。
併設された温泉施設「森の湯」は利用していません。
(ユネッサンは温泉を利用していますが、水着着用のプール扱い。森の湯は裸で入る温泉施設です。
それぞれ別料金で、両方入れる共通パスポートもあります)
まず、ユネッサンのシステムと、準備するとよい持ち物から。
特にシステム。公式ページにあまり書いていないので、行くまでよくわかりませんでした。
入り口から長いエスカレーターで4階にのぼり、入園手続きをすますと、人数分のリストバンドが渡されます。
親の分には鍵が付いており、子供の分には(基本的に)鍵がありません。
この時点では入園料は不要です。帰るときの後払い。精算時にはクレジットカードも使えます。
リストバンドには番号とバーコードがついていて、園内での買い物はすべて腕輪で行えます。
#子供用でも買い物ができるのだと思いますが、未確認。
また、一緒に渡したリストバンドでグループを管理していて、迷子時には身元確認代わりになる、と書かれているページもありましたが、これも公式には書かれていないので未確認。
鍵付きリストバンドの番号が、そのままロッカー番号になります。
ロッカーは大きいです。長い傘がそのまま入れられるサイズ。
ハンガーもついていて、上着を着ていてもしわにならずに掛けておけるサイズ。
だから、子供の荷物を一緒に入れても大丈夫。
コインロッカーではなく、鍵を借りている形なので、開け閉め自由です。
ロッカールームの端にはシャワー・石鹸・洗面所なども完備していて、水着用の脱水機もあります。
帰るときには利用しましょう。
当然ながら男性と女性はロッカールームが別。
ロッカールームを過ぎた先にプールがあるので、待ち合わせはプール側で。
「時計広場」と名付けられていて、特に大きいわけではないけど、見やすいデザインの時計があります。
実はこの時計、園内のいたるところにあります。防水の腕時計など持っていなくても大丈夫。
ただし、園内でも屋外部分にはありませんでした。
園内には、いろいろな所の壁にフックがつけられています。
なので、手回り品などはプールバックに入れて持ち込んでおけば、フックに掛けておけます。
貴重品をそのまま見える状態にしておくのはさすがに不用心なので、上からバスタオルなどを入れておくといいかと思います。
また、スマホなどには「自分の位置を検索できる」機能があることが多いので、盗まれた際の対策として、仕込んでおきましょう。
レストランはプールサイドにあり、水着のまま利用できます。
室温は水着でも寒くないように調整されていますが、上から羽織るシャツとか、バスタオルなどがあるとよいかもしれません。
ただ、うちの家族は用意していた服を使いませんでした。
実はレストランとは別に目立たない場所にファーストフード店があり、こちらも覗きに行ったのですが、座席付近の室温が少し下がっていました。
こちらを利用しようと思ったら、服は必要かもしれません。
ところで、ユネッサンは水着もタオルも有料で貸してくれます。
箱根では珍しい、「雨でも1日楽しめる施設」なので、急に予定変更してきても大丈夫なようにしているようです。
もちろん、最初から目的に入っている場合は、水着は持って行くべきです。
水深は 90cm 程度ですが、小さな子供がいる場合は浮き輪があると楽しいかもしれません。
浮き輪は 100cm 以下のもの(大人用でないもの)であれば持ち込み可能で、無料の電動空気入れがあります。
タオルに関しては、WEB で配布しているクーポンを使うと、サービスで無料になる場合もあります。
クーポンは当然入園料も安くなるのでありがたいのですが、タオルを借りられると荷物が減るので地味にありがたい。
ぜひ利用しましょう。
ただし、クーポンは時期により変わるので、必ずタオルセットがあるかは知りません。
このクーポン、スマホ画面を見せるだけでも良いので、雨が降ったので急遽…という場合でも、利用できないか検討してみるとよいかと思います。
#クーポンは予告なく配布終了する場合もあるそうですが、その際も印刷してあれば期限までは有効だそうです。
旅行の予定に組み入れてある場合は、印刷しておいた方がよさそうです。
話が長くなるのでいったん区切ります。
次は、屋内お風呂・プールの見どころを紹介しましょう。
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おもしろ歴史ミュージアム・かまぼこの里【日記 16/09/26】
別年同日の日記
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家族で旅行で行った、ユネッサンの紹介をしています。
屋内エリアの紹介をしましょう。
ロッカールームから先に進んで園内に入ると…記念撮影されます。
撮影は無料ですが、写真が欲しければ有料、という良くあるシステム。
レイ(花の首飾り)を渡され、子供が興味を持ってしまったので、順番待ちの間に家族で持っているカメラで子供を撮影しました。
有料の写真は買いません(笑)
▼神々のエーゲ海
園内に入ると、目の前に大きなプールがあります。
…学校の 25m プールよりも小さいし、浅いですけど。
プールを期待している場合、これが全てです。あとは「お風呂」。
先に書きましたが、水深は一番深いところでも 90cm 程度。
子供が泳ごうと思えば泳げなくはない。大人が泳ぐにはちょっと浅い。
「水遊び」が中心だと考えていいでしょう。
30分おきに 10分程度、照明が点滅して音が轟く「雷」の演出があって、入り口から見て奥にあるステージの上から、水とシャボン玉が飛び出します。
子供にはこれが楽しいようで、シャボン玉をいっぱい「浴びる」こともが多いです。
水に濡れていると、体や手のひらにシャボン玉がくっついて、割れないのを楽しめます。
…子供の滑らかな肌だから割れないけど、僕がやっても全然ダメでした。
このプールの横には、壁からお湯が3本噴出している、打たせ湯のスペースもあります。
狭くて地味だからあまり気づかれない。でも、子供は頭からお湯を浴びて修行僧ごっこしていたり、結構楽しんでる。
うちの子供だけでなく、場所が狭いからこそ奪い合いになるスペースでした。
(親としては譲り合うように促しましたけど)
▼ワイン風呂
▼本格コーヒー風呂
どちらも「風呂」と名前にあるように、泳ぐようなスペースはありません。
名前の通り、ワイン・コーヒーが入った風呂で、1日3~4回の「投入パフォーマンス」があります。
これがね、非常に面白い!
公式ページの写真を見る限りだと、ただドボドボと本物のワインなどを入れて見せる、というだけのように見えます。
でも、実際には希望者の頭上から、思いっきり巻き散らかし、降り注いでくれるのです。
しかも、その前に全員で「コーヒー頂戴!」などと連呼する。妙な連帯感が生まれます。
ちなみに、より面白いのはコーヒー風呂の方。
ワインはさすがにたくさんは入れられず、ボトル3本とバケツに1杯だけでした。
でも、コーヒーは事実上無制限。何度も繰り返すから掛け声の連帯感もより高まりますし、1人づつに頭からドボドボとコーヒーをかけてくれたりもします。
また、ワインは子供に言わせれば「臭い」らしい。
その上、ワインが目に入るとちょっと痛い。子供にはあまり楽しめない。
さらに、コーヒー風呂のほうがお湯の温度も高く、水深も深いです。
屋外への出口付近にあることもあり、寒くなったらここに戻ってくる、という拠点の一つとして使ってました。
▼緑のテラス
風呂の名前としては「緑のテラス」で、小さなジャグジーが3つあります。
それぞれ泡の出具合が異なります。
実際には季節イベントに使い、名前が変わっていることが多いようです。
今回行った際には、「ガリガリ君ソーダ風呂」になっていました。
そして、ここでも投入パフォーマンスがあります。
コーヒーやワインとは違い、本物のガリガリ君ではありませんが。
最初に、小さなガリガリ君を3つある各風呂に入れます。
「当たり」が出た風呂から順に、特大のガリガリ君を投入していきます。
ちなみに、小さなものも大きなものも、入浴剤で色を付けた氷なのだそうです。
特大のものは、しばらく風呂につけても溶けずに3つの風呂にそれぞれ2回づつ投入できるほど大きいです。
あたたかい風呂に特大の氷を入れて、子供たちは喜んでそれに抱き着く。
「冷たーい!」って大喜びしているけど、夏に動物園のシロクマが氷に抱き着いているのを見るようです。
ちなみに、ワイン・コーヒー・ガリガリ君の3つの風呂で投入パフォーマンスをやっているお兄さん、同じ人でした。
ガリガリ君風呂でのパフォーマンスは、お兄さんのテンションがちょっと低かったです (^^;
頭からかける、という一番盛り上がることができないからかな。
ワイン・コーヒー風呂の盛り上がりは、この人の会話術が非常に上手だったからです。
でも、この人が常にやっているのかは知りません。
屋内にはこのほかにもいくつかの風呂がありますが、それほど面白くないのでまとめて説明。
▼緑茶風呂
コーヒー風呂の横にありました。小さいです。
本物の緑茶、となっているのですが、色は青っぽかったし、香りも特に感じません。
コーヒー風呂のほうが強い香りがあるため、香りが感じられなかっただけの可能性もあります。
▼酒風呂
こちらも、緑茶風呂と並んでコーヒー風呂の横にあります。
同じく小さいです。
お湯が流れ込んでくる樋の上に、なにかがポタポタと滴る筒が…
手に受けて匂いを嗅ぐとわかりますが、本物の酒です。
▼アロマルーム
こちらも、上の2つの風呂の並びにあります。
扉の付いた部屋なのでサウナかと思ったら、特にあたたかいわけではなく、香りのする部屋でした。
▼温石処
オンドル浴…というほど暖かくはない。
ほんのりあたたかい石のステージがあります。
…でも、それだけ。
寝そべってみた人も、すぐに次のところに行ってしまう程度。
スペース的には2~3人分くらいしかないのだけど、特に混んではいません。
▼ボザッピィの湯ゥ遊広場
子供遊びスペースです。
3歳くらいまでなら楽しめそう。
プールなんかにもある水遊びスペースだと思ってもらっていいのですが、お風呂なのでソフト素材のお風呂おもちゃがたくさん浮いています。
ちなみに、この脇には水飲み場があります。
子供に「喉が渇いた」と言われたとき、ここに来ればいいので、覚えておくといいです。
▼ドクターフィッシュの足湯
ここだけ時間限定で有料なので、僕は体験してません。
有料と言っても 100円だから、気軽に体験できると思うのですが、人気があるので時間前から列に並んでないと入れない…
名前の通り、魚が足の角質をついばんでくれます。
ドクターフィッシュは皮膚病などの疾患部を食べてくれることで治療効果がある、とされるためにこの名前があります。
でも、感染症予防のため、皮膚疾患がある方は体験禁止だそうです。
屋内は以上。
続いて屋外の紹介に行きますが、長いのでいったん区切ります。
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別年同日の日記
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家族で旅行で行った、ユネッサンの紹介をしています。
つづいて、屋外設備の説明に行きましょう。
ちなみに、体験日は雨でした。屋外に行けば、当然雨が降っています。
▼ロデオマウンテン
屋外に出ると、目の前に人工の山があり、山肌にスライダーが作られています。
いわゆるウォータースライダーです。
「ロデオマウンテン」は一応このスライダーの名前のようですが、山の名前でもあるようです。
スライダーには、イージー・ノーマル・ハードの3コースあります。
イージーは小さな子供向け。勢いが出ないため、体重が重いと途中で止まってしまいます。
小学校1年の次女はイージーばかりやっていたけど、6年の長男だともう止まってしまう感じ。
ノーマルは適度に速度も出て、左右に振られて誰でも楽しめます。
妻と3年生の長女は、ノーマルが一番楽しいと言ってました。
ハードは、激しく左右に振られ、多くの人が転倒します。
慣れると態勢を保って転倒しないようにするのが面白いのだけどね。
僕はハードばかり滑ってました。
妻によれば、ある程度体重がないと、カーブの際に速度が落ちてしまうようです。
これが妻がノーマルが楽しいと言っていた理由で、自分の体重に合わせて選んだほうが楽しめるらしいです。
僕が行ったときは雨も降っていたため寒く、人気があるロデオマウンテンに並んでいると体が冷えました。
山頂には温泉があるので、グループの場合は交代で温まりながら並ぶのが良いかと思います。
また、滑り降りたところにあるプールからは速やかに出なくてはならないのですが、出てすぐのところに小さな風呂があります。
グループの他のメンバーを待つときは、そこに入っているとよいでしょう。
ところで、ロデオマウンテンは 110cm 以上でないと利用できません。
うちの次女は 108cm なのですが…「ほぼ 110cm」ということで、係のお兄さんに OK をいただきました。
背の高さが微妙な子は、一度 OK が出れば、「110cm 以上だった」という印の腕輪をもらえます。
これがあれば、後は何度でも楽しめます。
係の人は、時々交代します。そして、人によって判断も甘かったり厳密だったりするようです。
子供の背が微妙な時は、何度も足を運べばあるいは、許可が出るかもしれません。
▼龍の水辺
ロデオマウンテンの山頂から温泉の滝が流れ落ち、山の脇に池を作っています。
ここが龍の水辺。もちろん暖かいです。屋外なので温度は高め。
滝に打たれて修行ごっこもいいと思いますし、滝の裏には洞窟があります。
▼洞窟風呂
滝の裏の洞窟は、洞窟風呂になっています。
中で繋がっているのですが、滝の裏も含めて入り口は3つ。
そして、洞窟風呂も3種類。
ひとつは、洞窟らしい薄暗い風呂です。
中央に「マリンローズ」という岩手県の野田村でしか産出しないという珍しい石で作られた玉が飾られているのですが…
なぜ岩手県? 箱根で産出する石、とかならわかるのだけど。
調べてみると、過去にユネッサン内に「縁むすび風呂」というのがあって、そこに飾られていたのね。
マリンローズ自体がパワーストーンとして「縁むすび」の意味を持つようですが、それ以上に震災復興支援の一環でもあったようです。
それなら岩手からわざわざ運んだのも納得。
さて、残る二つは、上部から橙色の光が注ぐ風呂と、水面下で緑色の光が輝く風呂。
おそらく、橙色の風呂は、洞窟の天井に穴が開き、太陽光が降り注ぐイメージなのでしょう。
そして、緑色の風呂は、イタリアのエメラルドの洞窟。
ところで、先に「入り口は3つ」と書きましたが、実はもう一つあります。
洞窟内から階段を登ると、ロデオマウンテンの山頂に出られます。
▼サウナ
龍の水辺の横に、大きな窓があり、中のサウナが見えます。
というか、サウナからロデオマウンテン全体が見えるようにしてあるのですね。
サウナの温度はちょっと低め。
長時間入っていられるので、子供がロデオマウンテンで遊んでいるけど、寒いから暖かい場所にいたい…という人向けのようです。
中は木の香りがする落ち着く空間でした。
▼ボザッピィのジャングルジム
屋内にも「湯ゥ遊広場」というのがあったボザッピィ。
…彼はいったい何者なんだ、と思いますが、一応ユネッサンのキャラクターです。
四角い顔の猫で「ハコネコ」。箱根と掛けてます。
それはともかく、名前の上ではジャングルジムで、格子状にパイプをくみ上げてあるのですが、登ることはできません。
上から落ちる水をいろいろな仕掛けが受け止め、流れ落ちてくるのを楽しむもの。
水車にたまった水が時々一気に流れ落ちてきたり、ホースから強く流れ出してくる水があったり、滝のように流れる水があったり…
…いや、面白そうに書いてみましたが、保育園児向けです。
小学校1年生の次女が興味を持ったので行ってみましたが、水車から水が落ちてくるのをゆっくり待って2回ほど浴びたらそれで満足しました。
一応屋外施設としてはこれだけなのですが、イベントとしてフジテレビの「めちゃ×2イケてるッ!」の企画で作られた、「小涌園のわき園」という温泉もありました。
番組は、一時期楽しく見ておりました。…15年くらい前までね。
今でも続いていることを知らなかった。もともと内輪うけの好きな番組だったけど、温泉も非常に内輪うけだった。
つまりは、番組を見てないと面白くもなんともない、ということです。
子供受けを狙った仕掛けも多数あったのだけど、うちの子供としては、すべて「面白くない」という反応だったし。
楽しんでいるらしい家族もいました。おそらくは番組を見ているのでしょう。
一方で、うちと同じように、とりあえず見に来たけど面白くないのでひとめぐりして帰る、という人も…こちらの方が圧倒的多数で…いました。
あの番組の芸人さんて、基本的に「空気を読んで面白いことを言える人達」だと思うから、本人不在で面白がらせる仕掛けってできないのだろうな、という印象。
まぁ、こういうのはファンサービス的に行う企画なので、見ている人だけが楽しめるというのも、それはそれでいいと思います。
さて、記事を3つに分けて書いてきましたが、最後にまとめを。
半日では物足りない施設だけど、1日楽しむのはちょっと難しいかな、というボリュームです。
着替えなどの時間も含めて6時間くらいが目安かな。
我が家の場合、朝9時半に到着し、10時ごろから遊び始めました。
まずはどんなものがあるのか見てみよう、と、屋内をひとめぐりして11時。
実は、この間にガリガリ君の投入ショーも体験しています。
そして、屋外もひとめぐりして12時。
多分、飽きる人はこれで飽きます。全部見てしまったのだから。
これなら「半日しかもたない施設」です。
屋外で寒かったので、暖かいコーヒー風呂に戻ります。
そうしたら、なんだか妙に混んでいる。ここで、投入パフォーマンスの時間が近いことに気付きます。
折角だから見て行こう…と、特に期待せずに見たら、これが非常に面白い。
この後は昼だったのでご飯を食べたのですが、レストランからはワイン風呂が見える位置にあります。
食事をほぼ食べ終わった時に、投入用のワインを運んでいるのが見えたので、慌てて駆けつけました。
こちらも是非見たいと思ったから。
ちなみに、パフォーマンス自体は1回15分程度。
次々と見て行けるような時間設定になっています。
でも、ワイン風呂見たらそれで「全部」だったんだよね。うちのばあい。
もういちどロデオマウンテン行きたい、とか子供の要望に答えてましたけど、15時には出ようと思ってました。
そうしたら、「コーヒー風呂のパフォーマンスが面白かったからもう一度見たい」と長男からの提案。
ちゃんと時間をチェックしていて、15時からガリガリ君、15時半からコーヒー風呂だそうです。
結局終了は、予定から1時間延長しての、16時。さすがにもういいや、という感じ。
19時までは営業しているので「丸1日」ではありませんが、十分に楽しめました。
最初に書いた通り、施設を見て回るだけなら2~3時間でできます。
投入パフォーマンスの面白さに気付くと、さらに2~3時間楽しめます。
ということは、投入パフォーマンスを見ないユネッサンは、料金の半分損してます。
「ただワインやコーヒー入れるだけでしょ? 興味ない」って思わずに、時間調整してでも見ましょう。
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別年同日の日記
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秋の家族旅行の話を書いています。
僕は子供の頃と、大学生の頃に小田原城に行っています。
その時の印象は、本来の格式が感じられず、客集めのためにわけのわからない空間になっている、というものでした。
申し訳ないけど、見る価値がない、と思いました。
だって、そのころは天守閣の前が動物園になっていて、象や猿がいたのだもの。
でも、さすがにこれが不評で、段階的に動物園は廃止になっています。
動物の引き取り先が見つかるか、老衰して死ぬまではちゃんと飼育する方針なので、今でも猿はいたのだけど。
小田原城は今年の5月までに平成の大改修が行われ、本来の姿に近づいた、とされています。
それも今のタイミングで見に来たかった理由。
でも、久しぶりに見て初めて知りましたが、子供のころに比べて参道の門が順次復元されたりしているのね。
城の外郭、三の丸はすでに市街地になっています。
二の丸の入り口、馬出し門から歩き始めてみます。
門は2つあり、外の門を突き破って中に入っても、そこに閉じ込められる仕組みです。
そして、閉じ込められれば周囲からの集中砲火を浴びます。
さらに、2枚目の門は、天守を目指した際の背後側です。
もちろん門の横には銃眼があるので、背後から撃たれます。なんて恐ろしい。
馬出し門の2枚目を突破しても、銅門があります。
ここももちろん、扉は2枚。
1枚目は普通の木の扉です。
突き破って入ると…その先に、ひときわ大きい、銅で装飾された扉があります。
あくまでも「装飾」で、金属製の扉ではありません。
でも、ここまで3枚の扉を突き破るまでにかなりの戦死者を出しているだろうに、ここで「金属製」と見せかけるだけでも心を折るには十分なはず。なんて恐ろしい。
ここまで一気に解説しましたけど、実際には結構距離ありますよ。
子供と一緒に歩きながら解説していると、子供は非常に楽しんでみています。
ところで、ちょうど秋分の日の頃に行ったので、彼岸花が土手に咲いています。
お堀の土手を強化するために彼岸花を植えたのでしょうね。
彼岸花は根が密集するので、土手を強くします。
そして、毒があるのでネズミが根を食い荒らすこともありません。
さらに、彼岸花の根は水にさらせば毒を抜いて食べられます。
籠城の際の食料にも転用できるわけです。
銅門を抜けると、一気に本丸まで駆け上る、長い石段があります。
鎧を着た歩兵は、ここを一気に駆け上るのはつらいでしょうし、騎馬兵も馬を捨てる必要があるでしょう。
そして、石段の上には常盤木門があります。これも鉄で装飾されています。
どこまで心を折れば気が済むんだ。
常盤木門を突破したら広い庭があります。
今は先に書いた猿がいますが、戦国時代には住居があったようです。
その住居の向こうには天守が見えていますが、住居の間の細い道は行く手を塞ぐ関門になったでしょう。
いよいよ天守閣。
長くて細い石段を登り、中へ。
天守は再建されたもので鉄筋コンクリート製。
昔来た時は…残念ながらよく覚えていませんが、中はそれほど「お城らしさ」がないものだったはず。
今は、小田原城の歴史や構造が学べる博物館になっています。
天守の高さでは、現存する(再建含む)城の中で7位。
模型により木造時の骨組みの構造もわかります。
古地図や発掘を元に作られた当時の様子を、模型やCG画像で解説します。
数分間の映画が上映されていて、北条氏の歴史などをドラマ仕立てで学べます。
小学校6年生でちょうど日本の歴史を学んでいる長男から「北条氏って、鎌倉幕府の北条氏の末裔?」と質問が来ました。
わからないけど、近いしそうなんじゃないかな…と答えたのですが…
すぐ後に、パネル展示で北条一族の歴史がありました。
鎌倉幕府の北条氏とは無関係。関西からやってきて小田原周辺を攻め、我が物としたそうです。
でも、それは「よそ者」であり、風当たりが強かったために2代目から北条を名乗ります。
鎌倉幕府の有力者の名前を使うことで、「よそ者」感を無くしたわけです。
あー、小田原北条氏、ってわざわざ区別する理由はそこだったのか。
勉強不足で知りませんでした。
さらに、小田原北条氏滅亡に繋がる小田原合戦の様子を伝える数分の映画がありました。
先の、歴史を伝えるドラマと同じ俳優を使い、2画面を使ってドラマの進行と当時の時代背景を同時に伝えるなど、非常にわかりやすい工夫された内容です。
小田原城が秀吉の「日本統一」に最後まで立ちはだかっていたこと、なぜそれほど守りが強かったのか、攻め落とした秀吉の作戦は、当時の常識をどう破っていたのか、などなど、勉強になりました。
#ところで、「のぼうの城」という映画を見たことがある。
小田原合戦の際の周辺の支城の一つの戦いを描いたもの。
合戦で残ったのは、舞台となる「忍城」だけだったのだけど、このこともちゃんと合戦映画の中で描かれていた。
支城というので小田原周辺かと思っていたら、埼玉にあるのね。
小田原北条氏の勢力が広かった、ということなのだけど。
そのあとは、小田原城に伝わる美術品・宝物品などの展示などがあります。
北条氏が滅び、小田原城の開城後は、小田原合戦に参加した武将たちが、国に戻って自分の居城を「小田原城式に」改良しています。
皆が真似したがるほど、守りの強固な城だったのです。
ある意味、合戦への動員が、優れた技術を学ぶ「社会科見学ツアー」になっていたのでしょう。
小田原城も、江戸時代は徳川家が利用しています。
しかし、江戸に比較的近く、あまりに守りが固すぎるため、弱体化するために堀を埋めたり土塁を壊したりされています。
「その後の小田原城」として、明治期の写真が多数展示されていました。
小田原城の天守は江戸期の震災(1703)で焼失した、と思っていました。
だから昭和になってから鉄筋コンクリートで再現したのだと。
でも、江戸期の焼失は、その後再建されていたそうです。
それが、江戸末期の大地震で再び損壊(1853)。
そのまま幕末の動乱期となり、修復の機会のないまま大政奉還(1867)を迎えます。
そして、廃城願いがだされ、解体されます(1870)。
解体は明治期に行われているため、解体前・解体中・解体後の写真が残されています。
展示されているのは、これらの写真から始まる、再建までの歴史写真集。
解体後は天皇の御用邸として新たな建物が作られますが、関東大震災で損壊。
一部は学校として、一部は子供のための動物園・遊園地としての利用が始まります。
この頃、天守閣の跡地に観覧車が立っていた写真があります。
それほど大きなものではありませんが、石垣の上に立っていたので見晴らしは良さそう。
これを見て、子供の頃の思い出が重なりました。
天守の付近に動物園などがあって「歴史の重みを感じられない」と思ったのですが、そもそも天守閣の再建前に遊園地が作られているのですね。
もっと言えば、小田原城天守閣の見晴らしのよさは昔から有名だったそうです。
天守閣解体後、少しでもその見晴らしに近づきたいと思えば「観覧車」はよく考えられた策だったのかもしれません。
城の中は5階建てで、小学校1年の次女は歩き疲れていました。
歴史の話は難しすぎることもあり、文句たらたら。
最上階から外を眺めてちょっと笑顔になりましたが、今度は「おなかすいた」と。
時計を確認すると12時半でした。
ご飯食べにいこう、と階段を下りていきます。
「早くご飯」とさんざん言っていたのに、出口付近のお土産物屋では一生懸命お土産を選んでいましたけど。
長くなったので続きます。
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おもしろ歴史ミュージアム・かまぼこの里【日記 16/09/26】
別年同日の日記
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秋の家族旅行の話を書いています。
小田原天守閣の出口まで行くと、外は雨が降っていました。
実は、入館チケットは近くにある「おもしろ歴史ミュージアム」とのセットを買っています。
ご飯を食べるために外に出たくないので、天守閣付近の蕎麦屋で済ませることにします。
ここの蕎麦屋、まぁ味は普通なのですが、ちょっと工夫したメニューがありました。
二つだけですけど。
・北条氏うどん
小田原北条氏の初代、北条早雲は、関西のほう(生まれは定かでない)から小田原にやってきました。
そこで、関西風の出汁の効いたうどんに、小田原名物である梅干しを入れたうどんになります。
食べましたが、梅干を細かく潰してつゆに混ぜると、ほのかな酸味がおいしかったです。
・早雲そば
こちらも早雲の名前を取っていますが、イメージとしては箱根の早雲山のようです。
ロープウェイでいえば中腹の駅ですが、天候が悪くなると雲がかかりやすいあたりです。
というわけで、早雲そばは雲をイメージした「とろろ」(昆布ではなく、山芋のほうね)が入っていて、月をイメージするうずらの卵が乗っています。
…えーと、普通の蕎麦屋さんでいえば、とろろ月見そばですね。
子供が頼んだので味見させてもらったけど、普通にとろろそば。
名前を変えただけと言われればそれまで。
でも、少しでも小田原城らしくしようという工夫が良いです。
銅門から平地を歩き、石段を登り始めるふもとに、「おもしろ歴史ミュージアム」があります。
子供にはこちらの方が楽しみやすいだろうと思って最初からセットで考えていたのですが、小学校1年生にはやはり難しかった (^^;;
早雲が小田原を手に入れるまでのいきさつが、電気紙芝居(というより影絵)で紹介されます。
武士でないものには優しいが、武士に対してはとことん追い詰める早雲。
出家して坊主になっても追撃の手を緩めず。恐ろしい。
小田原北条氏最大の勝ち戦、河越夜戦が書割人形劇で紹介されます。
北条氏3代目氏康の時代、北条氏の城であった河越城が上杉連合軍に襲われ、籠城に入る。
氏康は8千の兵を率いて救援に向かうが、上杉は8万。戦力差10倍という無謀な戦い。
そこで、最初から認めて和議を申し入れる…ふりをする。
和議が受け入れられずに攻撃されたら、戦わずに逃げ回る。とにかく「戦う気がない」ふりをする。
これで相手側が気が緩んだら、風魔忍者を送り込んで旅芸人などのふりをさせ、さらに相手側の戦意を失わせる。
そして、タイミングを見て反撃。
これも、相手を「殺す」ことを目的とせず、攪乱して相手が逃げ出すように仕向け、統制力を奪う。
そして、小田原城の最期の劇。
こちらは、マネキン人形とスクリーンへの上映、客席の周囲に描かれた絵などを駆使した、非常にユニークなスタイル。
あの手この手で子供に興味を持たせようとしているのはわかります。
でも、文語口調で語るので子供には内容が理解しづらいし、音声自体が小さくて聞き取りづらい。
(マネキン劇だけは、音が大きくて聞き取りやすかった)
さらに、内容が古い。
多分歴史研究によって新事実が発掘されているのだろうけど、小田原城内の映画での説明と食い違う部分もある。
とはいえ、早雲の生涯や河越夜戦については、城内では説明されていません。
(最期については城内でも説明され、それが微妙に食い違ってます)
補完する内容なので、両方見るとより楽しめるでしょう。
一通り見て、時間は2時過ぎ。
帰るには少し早いので、少し箱根側にもどり、風祭にある「かまぼこの里」を目指します。
というか、最初からその予定だったのだけど。
今年に入って改装工事を行っていて、旅行の前日に仮リニューアルオープンしたばかりです。
(一か月後に本リニューアルオープンで、3階にキッチンラボができるそうです。
今までもかまぼこ・ちくわづくり体験ができたのですが、キッチンラボでは揚げかまぼこや、かまぼこを使った料理などが作れます)
改装工事は、おそらく「綺麗にした」だけで、内容は全く変わってません。
13年前に体験した内容を書いてますので、詳細はそちらをご覧ください。
今回は手作り体験はしていません。
小田原城がリニューアルして、どれくらい楽しめるか不明だったから、予約入れなかったんだよね。
でも、かまぼこ博物館や、その2階にあるかまぼこ板美術館は、子供には非常に面白かったようです。
最後に、隣にある売店でお土産を買って帰りました。
サツマイモを練り込んだ しんじょう と、高級魚肉ソーセージ。
高級魚肉ソーセージは、魚肉ソーセージなのにあらびきウィンナーっぽいの。
プレーンと、エビ入りフランクを買ってきました。
#ソーセージではなく「シーセージ」「シーフランク」と呼ぶのが正式名。
プレーンは、味は明らかに魚肉ソーセージなのだけど、歯ごたえがちょっと違う。
フランクは、あらびきのエビが肉っぽい感触と味を作り出している。でも魚肉ソーセージ。
お土産としては面白いけど、普通にスーパーに売っていたら買うかというと、微妙です (^^;;
旅行の2日間、大雨警報が出っぱなしでした。
でも、車に乗っている間とか、屋内にいる間とかに大雨が降り、少しやんだタイミングで移動…という形で楽しめました。
実は、スマホの天気予報アプリを使って、雨雲レーダーの予測で時間調整していました。
ピンポイントの雨の様子を、1時間先まで5分単位で予測してくれるので非常に便利。
以前から使っているのですが、大活躍の2日間でした。
最後に、今回泊まったホテルが素晴らしかったので、その話を書きましょう。
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秋の家族旅行の話を書いています。
旅行記の最後に、宿泊したホテルが非常に素晴らしかったので記しておきます。
本文中にちょっと触れましたが、
・ユネッサンの近く
・早雲山駅の近く(星空がとてもきれいに見える、と聞いていたので)
・2食付きで大人1万円程度
という条件で探したものです。
特に最後の条件は、「安宿」の部類です。
(もっと安い宿だってありますけど、決して高級な部類ではない)
でも、ホテルグリーンプラザ強羅は高級感あふれるホテルでした。
安いのに高級ホテル、という時点で、もちろん裏があります。
それを先に書いておかなくてはフェアではないでしょう。
すごい不便な場所にあります。
箱根旅行の楽しみのひとつは「乗り物に乗ること」で、箱根登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ…と乗り継ぐのが正解。
でも、ホテルグリーンプラザ強羅に行こうと思ったら、歩いてはとてもいけない。
タクシーか、送迎バスを使うことになります。
送迎バスの時間は駅からホテル行きが15時30分。
旅をゆっくり楽しんでから行きたいのであれば、タクシーを使うか、自家用車で行くしかない。
今回は最初から車で旅行するつもりでしたので、この点は問題ありませんでした。
ホテル自体は、結構古そうです。
部屋の内装なども古びている感じがありました。
これも、値段を安くしている理由なのでしょう。
ただ、古くても非常に清潔感があるのね。だから、嫌な感じはしない。
さらに、激安のプランは1日5部屋限定のようです。
いろんな部屋があるみたいですが、ホテルにお任せで選べません。
今回の部屋は、建物の角で窓は多かったけど、目の前は木が立っていて特に見晴らしがいいわけではありませんでした。
多分、景色の望めない部屋を割安にしているのでしょうね。
大雨だったので景色は関係ありませんでしたけど。
#最初の目的の一つ「早雲山で星を見る」もできませんでした。
ホテルについて、まず入り口の重厚感に驚きました。
分厚い木の扉があります。自動ドアですが、重々しい。
安宿だと思ったのに、カーナビが間違えた場所に案内しているのではないかと心配になりました。
木の扉の内側には、さらにガラスの扉が付いていて外からの風が吹き込まないようになっています。
この日は大雨でしたが、このスペースに自由に使えるタオルが多数用意されていました。
ここでまた、サービスの良さに不安になります。安宿だと思ったのだけど…
フロントで名前を告げると、ちゃんと予約が入っていました。
何かを間違えたわけではないようです。
部屋の鍵を渡されて、部屋に入ります。
とても広いです。10畳床の間スペース付きの和室と、8畳くらいの広さの洋室が一続きになっていて、洋室側にベッドが2つ。
今まで泊まってきた同じくらいの値段のホテルだったら、10畳の和室で家族5人で寝てたよ?
今度は値段を1桁間違えてないだろうな、って心配になります。
スマホで予約時のメールを確認していますが、大丈夫でした。とても安い宿です。
しばらくくつろいだり荷物を運んだりしていましたけど、夕ご飯までまだ時間があります。
到着順に夕ご飯の時間を決めるそうですが、この日は雨だったこともあり早めのチェックインが多かったみたい。
17時前の到着の我が家は遅い方だったようで、夕ご飯は19時半から。
じゃぁ、先に風呂に入ってしまおう、と支度をします。
ちゃんと、大人と子供の浴衣が置いてありました。
年齢を伝えてあったので大体サイズを揃えてくれていましたが、サイズ違いの際は、各階のエレベーター前に各種サイズの浴衣が置いてあります。
子供向けが大中小の3つ、大人向けが特大・大中小の4つ。7サイズあります。
さらに、風呂に行くときに下着などを入れるための、持ち手つき不透明ビニール袋が人数分。
後で使ったものですが、歯ブラシは人数分すべて色違いでした。
旅館の歯ブラシって大体一緒だから、置く位置とかで誰のものかわかるようにしたり、工夫が必要なんだよね。
とにかく感心しっぱなしです。部屋に用意されたものの心遣いが細やかです。
風呂は決して豪華ではありません。
温泉ではあるけど、こじんまりとしている。
大文字の湯と早雲山の湯があります。どちらも箱根の山を意味する名前。
夜中に男女の湯を入れ替えているようです。
この日の夕方の男湯は、大文字の湯。内湯だけでした。
翌朝に早雲山の湯に入りましたが、そちらには露天風呂あり。
まぁ、露天風呂も小さいし、特に景色もないのですけど。
ちなみに、大文字の湯の横には、露天風呂の代わりに(?)ゲームコーナーがあります。
UFO キャッチャーが並んでいるだけで、面白くありませんでしたけど。
#レトロゲームでも並んでいたら喜んで遊ぶのだけど…
風呂場の入り口でスリッパを脱ぐわけですが、ここに「クリップとタグ」がありました。
同じ数字が書いてあり、タグがクリップに挟んであります。
スリッパをクリップでまとめ、タグをお持ちください、とのこと。
スリッパを間違えて持って行かないようにする配慮です。
服を脱いだらかごに入れるわけですが(スリッパのタグも入れてしまえばよい)、このかごのところにも、番号札の付いた腕輪があります。
かごの番号に対応していて、腕輪をつけて湯に入れば、湯上りで間違える心配がない、というわけです。
とても細かな配慮。
もちろんアメニティはそろっています。髭剃りも乳液もありますし、シャワーキャップもあります。
ドライヤーだって無料で使えます。
さらに、湯上りに濡れたタオルを入れるための小さなビニール袋も置いてあります。
男湯と女湯の分かれる場所には、冷たいお茶が置いてあります。自由に飲んでいい。
なんか、健康茶でお土産物屋さんで売っているようです。
実は、ホテル入ってすぐのところにも「ウェルカムドリンク」として置いてありました。
そば茶のような味がしました。不味くはないけど、買って帰ろうというほどでもない。
しかし、湯上りに冷たいお茶が飲める、というのは嬉しい気配りだと思いました。
夕食。
17時から調理を開始し、18時から提供開始だそうで、17時までにチェックインした大人は料理を選べます。
3種類あって、妻は魚と和牛のしゃぶしゃぶ、僕は和牛と地鶏のすき焼きを選びました。
ちなみに、もう一つは牛フィレ肉とヨーグル豚の陶板焼き。
子供の料理は選べません。
まずは、子供の料理から持ってきてくれました。
3段の重箱に入っているのだけど、その形が御所車になっている。
小学校6年生の長男が「ちょうどよかった」という分量。
3年生の長女と、1年生の次女には多すぎました。とはいえ、美味しいと喜んで食べていましたが。
大人のほうは、最初に先付だけ持ってきてくれました。
毎日メニューが変わるようですが、この日の突き出しは「もろこし豆腐」。
どうやら、トウモロコシをすりつぶして濾したものを、葛で固めたもののようです。
と、ここで妻が気付きました。子供にはトウモロコシのポタージュスープが付いています。
これはトウモロコシをすりつぶして濾したものを、コーンスターチでとろみをつけたもの。
…ということは、同じ素材で料理方法を少し変えただけです。
次はお造り。刺身ですね。これも量が違うだけで、子供にも入っていました。
刺身のツマが、ちょっと変わっている。
寒天のような、おそらく海藻を成形し直したものなのだけど、プチプチとした触感があり、ツマだけ食べてもおいしい。
また、レモンが添えてあるなー、柚子の代わりかなー、と思ったら、これがグレープフルーツ。
柚子醤油で刺身を食べれば美味しいくらいで、グレープフルーツでも当然美味しい。
絶妙なミスマッチ。ちょっと驚きでした。
次は蒸し物。冷製茶わん蒸し。
これにあたるものは、子供にはありませんでした。
…いや、鶏肉をすりつぶして野菜と一緒に固めた、つくねのようなハンバーグのようなものがあったので、もしかしたらそれが「同じ素材」かも。
長女は茶わん蒸しが好きで、食べたいというので分けてあげます。
次はメインで、先に書いた選べる料理。
まぁ、基本肉なのですが、子供にはハンバーグとチキンソテーが入っています。
続いて揚げ物。
豆乳のもろこし揚げ、というのが入っています。
なんかトウモロコシが多い。新鮮なものでも入手できたのかな。
それはさておき、名前の通り、トウモロコシのピューレに豆乳を混ぜて練り固めたものをてんぷらにしたようです。
子供には、トウモロコシのクリームコロッケが入っていました。同じような素材、似た料理方法だけど、違う料理。
他にも、オクラに海老真薯を詰めたものと、モロッコインゲンのてんぷらがありました。美味しかった。
酢の物。
〆小肌ともずく、わかめの酢の物だったのですが、「キノコ」が入っていました。
美味しかったのだけど、キノコの酢の物ってあまり食べたことが無い。
先ほどの「刺身にグレープフルーツ」もそうですが、ちょっとした変化球を入れてくるのが、食べていて非常に楽しいです。
酢の物は、子供には入ってません。
子供には酢の物嫌いな子が多いからね。
この後は、ご飯。白米か、梅しらすご飯を選べます。
でも、この時点で下の二人がお腹いっぱいになっていて、ご飯に一切手を付けてなかった。
梅しらすご飯おいしそうだな、と妻が興味を示しつつ、「子供のご飯あまりそうだから、それ食べます」とウェイトレスに伝えます。
そうしたら、厨房に行ったウェイトレスが戻ってきて、「梅しらすふりかけだけ持ってこられますが、いかがなさいましょう?」と。
これも素晴らしい対応。
もちろんいただきます。そして、僕もご飯は子供の分を食べることにします。
最後に、デザートがありました。
子供のご飯はいっぺんに重箱で出されていましたが、デザートはこのとき提供されました。
子供はフルーツたっぷりのプリン・アラモード。
大人は、イチゴケーキ、花豆のコーヒー煮、夏みかんゼリー。
花豆のコーヒー煮、甘くて苦味と香りがあり、非常においしいものでした。
結局、コース料理とほぼ同じ内容が、子供向けに違う料理方法として提供されています。
だから、大人と子供がそれぞれの口に合う違うものを食べながらも、共通した話題で会話ができる。
さらに、大人向けのほうは、見慣れた料理でありながら、どこかに変化球が入っているものが多い。
全ての料理に、どこか「驚き」を仕込むことで、これも会話の弾む料理にしている。
素晴らしい夕食でした。料理長の腕前に感心しました。
ちなみに、毎日料理を変えていると思う根拠の一つは、席に献立が置いてあり、日付が入っているため。
その日入った良い素材だけを使っているのかな、と思います。
この献立には、料理長の名前と、職務上の印も押してあります。
自信があるのでしょう。
詳細に内容を思い出しながらここに記せているのも、この献立が手元にあるためです。
朝食。
朝食は7時から。早い者勝ちで、席が満席になると少し待たされるようです。
うちは全員早起きして朝風呂に行ったので、子供たちもおなかをすかせている。
7時少し前にレストランに向かいましたが、一番乗りではありませんでした。
最初に「お留守番カード」と一緒に、席に案内されます。
幼稚園の子が描いたと思われる絵のある、A4 サイズのラミネート加工された板です。
全てのカードで絵柄が違います。子供の描いた絵がほほえましい。
必ず、人や動物が描かれていて、「私たちがお留守番します」と書かれています。
これ、食事をとるために頻繁に席を立つバイキングで、席を間違えないようにする工夫です。
また、食事が終わったらカードを返すようになっているので、食事の終わった席をスタッフが片付ける際の目安となります。
簡単な工夫だけど、細かな心遣いを感じました。
朝食は和食バイキング、となっていました。
でも、パンもソーセージもスクランブルエッグもあります。
和食「中心」ではあるけど、普通のバイキングスタイル。
でも、やっぱりメニューが一工夫あるのね。
金目鯛の頭の煮つけ、というのがでていました。
美味しいけど、食べにくいから、普通はあまりバイキングに出すようなものではない。
でも、考えてみると昨夜の「お刺身」に金目鯛が出ていました。
つまり、新鮮な魚を丸ごと、余すことなく使っているのでしょう。
そういう考え方、すごく好きです。
デザートに置いてあったフルーツの中で、パイナップルが不思議な切り方をしていました。
三日月型というか、それに少し皮の部分がついて「鎌」のような形になっているの。
そういう有名な切り方でもあるのかと思って検索してみましたが、見つかりません。
些細なことだし、気づきにくいのだけど「どうやって切っているのだろう?」とちょっとした話題を提供してくれました。
取り立てて書くことはこれくらいかな。
あとは、よくあるホテルの「朝食バイキング」。
小田原が近いのでその名産物が多い。
小田原の梅干し、小田原蒲鉾、筍と梅干を和えたサラダ、なんてのもありました。
でも、基本的に調理してなくて並べただけね。
なんか近いところの名物らしい豆腐の奴もありました。
これは、お土産物として販売している、という宣伝付き。
ご飯に載せて食べる珍味系も多いです。
こちらも大抵はお土産物コーナーで売っているみたい。
朝は準備に使える時間が短いし、すぐに食べて速く出発したい人もいる。
だから、あまり料理せずに出来合いのものを並べるバイキング形式は、どこのホテルでもやっていることです。
でも、その中でも細やかな工夫がいろいろ見られた。
やはりいいホテルだと感じました。
以上。
旅行した時には大抵宿泊した宿のことも書いているのだけど、こんなに「お勧め」したくなる宿も珍しい。
ちょっと不便な場所にあって、ちょっと施設が古いです。
そして、「非常に安い」部屋は1日5部屋しかないから、かなり早めに予定を立てておかないと予約を入れづらい。
条件は難しいかもしれませんが、箱根旅行の際にどうぞ。
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